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2月8日(朝)

リビングの電気がついていた。

―今日は遅番ですかね?

案の定、母がいた。
洗濯ものをたたんでいるようだ。
「おはよう」
「…ぁよう」
朝は正直、誰の顔も見たくないので、反応が極端に薄い。
低血圧ってわけでもないのだが、なんとなく、嫌なのだ。
逆にこの母は、割と朝から元気なので、テンションが嚙み合わない。
今に始まったことじゃないので、慣れてはいるが。
この母、異常にテンションが高いというか、お喋りなのだ。
聞いてもないのに話し出すし、テレビ見てるのに話しかけるし、携帯いじってても話してくるし。
とにかくまぁ、割と面倒。
「先風呂入っていい?」
「どぞ……」
お互い、仕事の日は朝シャワー派なので、譲り合いだ。

―正直、私が起きてくる前に入っていてほしかったが。

とりあえず、準備をしていくか。
キッチンに入り、ケトルに水を入れる。
お湯を沸かして、白湯の準備。
アイロンと、朝食と、水筒と……。
マスクも忘れないように。
「……」
出勤用の鞄に入れて、炬燵の横に置く。
キッチンに戻り、少しぬるくなった白湯を飲む。
この、ジワリと広がっていく感じが、好きでいい。
「……」
まだ出てこないなこれは……。
朝食は、おにぎり1つとコップ一杯のお茶。
海苔も忘れずに。
それを手に取り、炬燵に置く。
ん。
今日の果物は、イチゴと柿か。
「……」
この時期に柿なんて、売ってるものなんだな。
秋にしか見ないものかと思っていた。
季節外れの柿が果たして、おいしいのか。
「……」
オレンジ色の、柔らかい味。身自体は固くて、触感もなかなかに良い。
果物の中では、好物の方だ。一番好きなのは梨。
秋が旬と言われる果物は、割と好きだ。おいしい。
味にすっぱいとか苦いとか、棘がなくて。食べやすい。
刺激物が基本的に無理なので、食べやすさは大切だ。
「……」
苺もまぁ、嫌いではないが。
はずれを引くと、すっぱくて損をした気分になってしまう。最近のは甘いが。
妹が酸味がある方が好みで、母がそういう苺を買ってくるので、あまり食べないというのもあるが。
「どうぞ~」
「……」
ん、出てきた。
さて、さっさとシャワー浴びて、ご飯を食べよう。
柿は……仕事から帰ってきてから食べるかな。


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