見出し画像

A級野菜

 青果物の等級は品質(形、色、味など)を格付けしたものです。トマトでは、AやBと等級表示する事もあれば、優や良と表示することもあります。これに対して「A級野菜」とは、「また食べたくなる味」「指名買いしたくなる美味しさ」を特徴とする野菜たちです。

 「梨大根」と呼ばれる大根を育てている生産者もいます。生のまま食べたときに梨のような食感が特徴です。

 「嶽きみ(だけきみ)」は、青森県弘前市の西部にある岩木山の麓、標高400~500メートルにある「嶽(だけ)高原」で栽培、収穫されたとうもろこしです。糖度は約18度~20度。メロンよりも甘い!フルーツとうもろこしです。

 「大浦ごぼう」は千葉県八日市場市大浦地区で栽培されてきたごぼうです。太さが10センチ、長さが1メートル、重さが3キロにもなるほど巨大なうえ、中心に大きな空洞ができます。2センチくらいの厚い輪切りにしても、30分ほどコトコト煮るとやわらかく煮上がります。外観からは想像できないくらい、やわらかくて滋味あふれるごぼうです。歳末になると築地市場場外で手に入れることができます。

 もう30年以上前になります。京都中央市場で、鳴門金時「里むすめ」が相場の3倍~5倍つけたときがあります。生産者番号は確か52番だったと覚えています。52番の生産者が作った「里むすめ」を焼いた焼芋が大阪キタのホステスさんに大人気だというのです。舌の肥えたホステスさんは、「52番じゃないとダメ!ほかのじゃイヤ」と答えるそうです。「そんなにおいしいさつま芋なら自分も食べてみたい」と注文が殺到したのです。

 私もやっとこさで手に入れて、依頼主に送ったことを覚えています。

 「本当においしい野菜・果物の見分け方」の著者で、青果仲卸人・藤井雅人氏は、カネ井青果株式会社の社長です。全国1,000人の生産者とつながりを持ち、500社に青果物を卸しているそうです。

JA伊勢極早生みかん「柑」

 私はこの本を読んで感動し、新幹線に乗って、名古屋市中区栄にある「カネ井青果セントラルパーク店」に買い出しに行ってきました。購入したのは、極早生みかんと里芋、大根、ミニトマト、トウモロコシ、南瓜です。 

 女房殿からは「名古屋まで新幹線で行って野菜買って帰ってくるなんて馬鹿ね」と呆れられましたが、愚痴も言わず楽しみながら料理してくれました。野菜の色艶を見て、調理したくなったようです。

 「極早生ミカンは、酸っぱいだけで美味しくないから売ってはいけない」と先輩から教わりましたが、カネ井青果が扱う「三重県のJA伊勢」のものは酸味がほどほどで濃厚な味でした。「静岡の赤柄里芋の2Lサイズ」は、トロトロでやわらかく美味しかったです。

 「ひるがお高原(岐阜)の大根」は、これが大根と言うくらい瑞々しく甘みが強かったです。「ミニトマト」は、ブランドものに負けない甘さです。「北海道の白いトウモロコシ」はフルーツと思えるくらい甘い、甘いとうもろこしでした。

 「青森の『栗こ』カボチャ」はホクホクでとても甘いカボチャでした。南瓜にはネットリ系とホクホク系がありますが、私はホクホク系が好きです。だから格別の美味しく感じました。

 カネ井青果の店頭に並んでいる商品は「また買いたくなる味」を追及していることが自分の目で見て舌で味わって確信することができました。

 あらためて、野菜は「食べ物」であり、「また食べたくなる味」を提供し続けるのが大切であると感じます。

 「こだわり」は自分評価、「本物」は他人評価であると思います。「カネ井青果」が売っている商品は「本物」でした。

 私は「こだわり」ではなく「本物」の「A級野菜」を広めていくことが、豊かさ、食の喜びの実現だと考えます。それが生産者と販売者の「絆」になり、しいては「国守り」になると確信しています。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?