全日本「販促師」協会

地方スーパー繁盛請負人。開店前に行列ができ、売場面積500坪・年商40億円のSMを全国…

全日本「販促師」協会

地方スーパー繁盛請負人。開店前に行列ができ、売場面積500坪・年商40億円のSMを全国各地に誕生させる。安売りと本物を昇華させ、買物をエンターティメントに変える。1坪に1つの仕掛け、売るものは満足というより、感動。また行きたくなるお店を目指す。「250円弁当」仕掛け人。

最近の記事

SM狂騒曲第4章~ロピア戦法早わかり

「鉄量戦略」とは、上陸時に火力で徹底的の敵の陣地を壊滅させることです。  北海道から九州まで全国に店舗展開を急ピッチに進めるロピアはオープン時に圧倒的な価格攻勢を仕掛け、ライバル店の戦意を削ぎます。「鉄量作戦」です。  コカ・コーラ1.5ℓ99円(当時)、揖保乃糸3袋499円(当時)、ハウスバーモントカレー99円(当時)など仕入原価を大幅に下回る価格で一定期間ぶっ通し販売を続けます。  ロピアの進出を水際で抑え込もうとライバル店はオープン直前「まんぷく作戦」と称して、日

    • モチベーション経営

       チェーンストアのマネジメントは、野球に例えれば、選手が一球ごとにベンチのサインを覗き込む高校野球です。選手はいつも監督の意向を忖度し、バットを振りたい気持ちを押し殺してバントします。一方で、ロピアのマネジメントは選手を一人前の大人として扱います。野球に例えればメジャーリーグです。上司や世間の目を気にせず、臆面もなくバットを振るのです。でも、全力で振り続けていれば、そのうちホームランが出ます。  経営とは不思議なもので、会社が決めたことでも実行するのは社員です。社員に実行す

      • SM狂騒曲第3章~ディスカウントの成立要件

         2023年10月17日、オーケー銀座店がオープンしました。銀座店出店以前のオーケーの真骨頂は買上点数の多さでした。郊外型店舗では、買い物カートに大容量カゴを2杯満杯に積んだお客を多く見かけます。買上点数は18~24点前後と推察されます。ところが、銀座店の買上点数は6~8点なのです。  ディスカウントの成立要因は、大量仕入れでも、ローコストオペレーションでもありません。最大の要件は買上点数の多さなのです。  スーパーマーケットの元祖と言われるのが「キングカレン」。「キング

        • SM狂騒曲第2章~マミーマートTEPPEN!へ

           この30年、流通の世界でも、コンビニが飽和状態になり、不採算店舗が急激に増えてきました。ドラッグストアも出店攻勢も陰りが見えてきました。スーパーマーケットもこの20年で既存店の坪効率は半分まで低下し、年商20億円のSMの年商は10億円以下になっています。出店しようにも過当競争と人手不足で、2ケタ出店などとんでもない話で、ここ数年新店0という企業がほとんどです。  既存店の売上げ低下をM&Aで解消しようと試みましたが、ことSMに至ってはM&Aの成功事例は少ないのです。その一

        SM狂騒曲第4章~ロピア戦法早わかり

          SM狂騒曲第1章~ロピアの全国制覇

          「泰平の眠りをさます上喜撰(蒸気船)たった四盃(4隻)で夜も寝られず」という有名な狂歌があります。幕府も町民も、これほど人々が右往左往したのは、この艦隊が浦賀という江戸にほど近い場所に姿を見せ、江戸の町を砲撃するという噂が広まったからです。  2024年3月9日、イトーヨーカ堂が北海道と東北、信越地方から撤退すると発表しました。展開する17店舗の看板を下ろします。そのうち9店は、食品スーパー「ロピア」を運営するOICグループ(川崎市)などに事業承継を進めているそうです。北海

          SM狂騒曲第1章~ロピアの全国制覇

          凡人・軍人・変人

           経営者は3分類されます。「凡人」「軍人」「変人」です。経営者には特殊能力が求められます。それはスキルではなくセンスです。センスとは、商売丸ごと動かし、結果を出す能力です。  2024年(令和6年)1月17日、日本航空は4月1日付で、客室乗務員出身の鳥取三津子専務を社長に起用する人事を発表しました。鳥取氏は59歳。1985年に入社し、客室乗務員を長く務め、客室本部長などを経て、現在は専務でグループの最高顧客責任者を務めています。  生え抜きが社長になるものが当たり前と世間

          見込み型で入って受注型で出る。これが地方スーパーの生きる道

           事業には受注型事業と見込み型事業があります。スーパーマーケットで例えれば、チェーンストアは受注型、個店主義の店は見込み型です。受注型は競争の激化でジリ貧になるのは火を見るより明らかです。顧客の成熟化に対応するため品揃えを変え続けるとともに奇抜な商品を投入し続けなければなりません。一方、見込み型はダイナミックな価格設定と独自の品揃えで顧客を増やし続けるのです。  「社長業」著者・牟田学氏は、事業には、受注事業と見込み事業の2種類あると言っています。ほとんどの会社は、このど

          見込み型で入って受注型で出る。これが地方スーパーの生きる道

          商いとは人の心に灯をともす技

           「働く」ことの意味は何か。私は、「働く」とは神様のお手伝いをすることだと思います。英語で「働く」に対する単語は2つあります。「work」と「job」です。「work」は動くこと、「job」は金銭をもらって要望されたことをすることが意味で日本語の「働く」とは違う気がします。私の感覚では「働く」とは「art(わざ、研究)」であり「act(演ずる、立ち回る)」に近い気がします。  一方で、「働く」に近い言葉に「仕事」があります。「仕事」に対する英語は3つあります。一つは「lab

          商いとは人の心に灯をともす技

          憚りながら・・・。

           オーケー銀座店が、10月17日オープンしました。ユニクロが入居するマロニエゲート2の地下1階と2階の2フロアです。何しろ売場へのアクセスが悪すぎるのです。レイアウトもめちゃくちゃ。品揃えも湾岸エリア・豊洲などのタワーマンションの居住者をターゲットにしているのか、数多ある料飲店を見据えているのか。銀座という魔界でオーケーのセンスが問われます。  繁盛するか、繁盛しないかは、経営者のセンスです。ユニクロのマロニエゲート店は、品揃えや見せ方が通常の郊外店とは異なります。ユニクロ

          憚りながら・・・。

          経営センスを磨く早道は「商人道」に戻ること

           センスとスキル、テクニックは異なります。センスとはその人そのもの。余人をもって代えられないものがあります。スキルは、お金と時間をかければ身に着けることができます。転職市場など労働市場から持ってくることもできます。一方テクニックは、即効性のある技術です。お客の心を動かす裏技や盛り付けの芸術性などに例えられます。  一橋大学ビジネススクール教授の楠木建氏は、「経営者と担当者の違いは、センスとスキルの違い」だと言います。楠木氏は、「スキルは、全体が部分に分かれて初めて出てくるも

          経営センスを磨く早道は「商人道」に戻ること

          変な人がやっている変なスーパー

           規模の拡大と効率化を推進することに躍起となっている食品スーパー業界ですが、不振企業が続出しています。一方で、個店経営を掲げ、売場の人員を増やし、品揃えと売り方で「変な動き」をしている食品スーパーが好調です。  一橋ビジネススクール特任教授・楠木建氏の著作「ストーリーとしての競争戦略」は「変なスーパー」を理論的に解説してくれます。  楠木教授は、優れた戦略とは、ストーリーがある戦略だと言います。思わず人に話したくなるような面白いスト―リーがある戦略こそ素晴らしいのです。要

          変な人がやっている変なスーパー

          「環境整備」は経営者を超能力者にする

           「環境整備」を数値化すると、従業員の脳波はイライラ・カリカリの「ベータ波」となり、「利他の心」は失われ、現状維持さえ難しくなります。  連日、中古車販売歳大手「ビッグモーター」がマスコミをにぎわせています。保険会社とグルになって保険金をだまし取ったとか、創業者の息子で前副社長のパワハラが問題視されています。マスコミは社員全員に配られる経営計画書を入手し、その内容を公開しています。  そこには、組織や人事に関して、「社長の意図が素早く実行されるフラットな組織にする」「会社

          「環境整備」は経営者を超能力者にする

          「利他の心」で地域一番店の集合体を目指す

           ヨーカ堂が「物言う株主」からスーパー部門を分離することを迫られています。スーパー部門が株主の利益を損なうからです。  会社は株主の持ち物でしょうか。私は会社は株主だけの持ち物ではなく、お客の持ち物であり、従業員の持ち物であり、関係取引先、地域社会の持ち物であると思います。  会社は、税金を納め、雇用を維持し、経済を回し、社会の立派な構成員です。特に食品を扱う我々は、「食」は「人」を「良」くすると書きます。食べ物は健康な肉体を構成し、美味しものは人の心を豊かにするのです。

          「利他の心」で地域一番店の集合体を目指す

          数値化できない部分に挑戦する

           近頃、「数値化の〇」とか、なんでも数値化することが流行っています。数値化すればするほど、組織は崩壊するとともに、業績はきりもみ状態で失墜するのです。  脳波には、「顕在意識の領域」と「潜在意識の領域」があります。「顕在意識の領域」はたかだか15%で残り85%は「潜在意識の領域」です。数値化できるのは実は「顕在意識の領域(見える部分)」で15%にも満たないのです。残りの85%「潜在意識の領域(見えない部分)」は数値化できません。  数値化できることに躍起になると数値化でき

          数値化できない部分に挑戦する

          渥美俊一と清水信次は対発生

           日本のチェーンストアの父・渥美俊一氏とライフストアの創業者・清水信次(のぶつぐ)氏はは同じ1926年(大正15年)生まれ。二人とも三重県出身で、渥美俊一氏は松阪市、清水信次氏は隣の津市生まれです。  渥美氏は、三重県旧制津中(三重一中)、官立第一高等学校文科を経て、1949年(昭和24年)東京大学法学部入学。1952年(昭和27年)、東京大学卒業後、読売新聞社に入社します。  1957年(昭和32年)から、週1回、「商店のページ」を主任記者として1人で担当。その仕事を通

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          社長はつらいよ

           リクルートの創業者・江副浩正氏は、経営者は一つの職能であると言っています。管理職、ワーカーとは全く異質の職能なのです。  江副氏は次のように語っています。 「経営者は、相手によって言うことを変えなければならない。場所によって言うことを変えなければならない。本来、取締役会に話をしてから新聞発表するところを、新聞発表してから事後的に、取締役会がそれを追認する、と言うこともある。人に対する好き嫌いがあってもそれを表に出してはいけない。社員に対しても取引先に対しても非常な面と温