意外と知らない言葉の語源や由来「続・続編」
何気なく使っている言葉でも、その語源や由来については分かっていないのではないでしょうか。
前回は「16」の言葉を紹介しましたが、今回はその続編として更に「21」の言葉をご紹介します。」
1. 駄目
【囲碁用語】
由来: 双方の境界にあってどちらのものにもならない場所のことを指します。
石をそこにおいても何の意味もないことから、無駄なこと、やる価値のないことを意味するようになり、さらに広く悪い物事、無意味な物事を指すようになりました。
2. 高飛車
【将棋用語】
由来:将棋で飛車を前方に置く攻撃的な布陣のことを意味する語です。
攻撃的という性格から、相手を威圧するような頭ごなしの態度、言動を指すようになりました。
3. 捨て台詞
【歌舞伎用語】
由来: もとは脚本にない台詞を役者がその場に合わせていった場合のその言葉です。
さらに無責任な発言を指す「捨てことば」の意味が加わり、立ち去る時に軽蔑や脅迫の意味を込めて言い捨てる、返事を要求しない言葉の意味になりました。
4. 月並み
【和歌俳諧用語】
由来: もとは「月例の、月ごとの」という意味を持つ語でしたが、和歌や俳諧などの月例の会のことを呼ぶようになり、さらに正岡子規が従来の俳句革新運動の中で、従来のものを「月並調」と呼んで批判したことから、ありふれてつまらないものという意味になりました。
5. 旦那
【仏教用語】
由来:梵語「dana」の音訳語です。
もとは、「与える、ほどこす」という意味でしたが、寺院に寄進をする後援者の意味で用いられるようになり、そこから妻から見た夫、商人から見た客、被雇用者から見た雇用者 などの意味になりました。
6.ないしょ
【仏教用語】
由来: もとは「内証」で、自分の心の内で真理を悟ることの意です。
そこから他人に知られず、自分だけの秘密として、といった意味が生じました。
7.辻褄(つじつま)が合う
【裁縫用語】
由来: 「辻」は十字の縫い目 となる部分、「褄」は着物の裾の左右の端の部分のことです。
共にきちんと合わなければ裁縫が完成したとはいえず、「辻褄が合う」ことは重要でした。
ここから、広く物事の道理や主張の理屈などがきちんと合うことをさして用いられるようになりました。
8.道楽
【仏教用語】
由来:仏道修行で、悟という楽しみのことです。
これが意味を拡大し、趣味などで得られる喜び、さらに酒色・遊興など、楽しみをもたらすもの自体を指すようになりました。
9.にっちもさっちも
【算盤用語】
由来: 「にっち」は「二進」で二割る二、「さっち」は「三進」で三割る三のことです。
共にきちんと割り切れますが、それが「いかない」のは、物事がきちんと運ばないことですから、「にっちもさっちもいかない」で行き詰るという意味になりました。
10.成金
【将棋用語】
由来:将棋で本来は、敵陣に入って「金」となった「歩」のことを言います。
そこから突然金持ちになること、または突然金持ちになった人を指して使われるようになりました。
11.鳴り物入り
【歌舞伎用語】
由来: 「鳴り物」は太鼓や笛のことです。
楽器を鳴らすことで舞台が賑やかになる。
ここから大袈裟な宣伝などをして登場することを「鳴り物入り」というようになりました。
「ドンちゃん騒ぎ」の「ドンちゃん」も、歌舞伎の合戦場面などにおける鳴り物の音を形容するのに用いられた言葉で、そこから宴席などで騒ぐことの意味にもなりました。
12.二の舞
【舞踊用語】
由来: 古い舞楽の一つ「安摩(あま)」に基づきます。
翁と嫗が安摩の舞を真似ようとするがうまくできず、そこに滑稽さが生まれます。
この滑稽な舞を「二の舞」といい、人真似からさらに、人の真似をして失敗することと言う意味になりました。
13.二の句が継げない
【邦楽用語】
由来: 雅楽の朗詠を三段に分ける時の二段目の句のことを「二の句」と言います。
二の句は高音で朗詠し続けることで息切れしやすいです。
そこから、声を出せない様子をいう意味となり、あきれたり驚いたりして言葉が出てこないという意味になりました。
14.二枚目/三枚目
【歌舞伎用語】
由来: 顔見世興行で劇場正面に掲げられた看板には、一枚目が主役、二枚目が恋愛劇を演じる美男の役者、三枚目が滑稽な役をする道化役の名前が記されました。
そこから美男を二枚目、滑稽な言動をする人を三枚目というようになりました。
15.派手
【邦楽用語】
由来:三味線の用語で、古典的な曲を「本手」といい、そうした従来の曲ではない新しいものを「破手」と呼びました。
この新しい曲の調子が、激しく賑やかなもので目立つことを「ハデ」というようになりました。
16.根回し
【造園用語】
由来:樹木を移植する場合にも、事前にその周囲を掘って根の一部を切り、細根を発達させておくことを「根回し」と呼びました。
そこから、物事を行う際に、事前に関係者に説明をして了解を取り付けておくという意味で用いられるようになりました。
17.皮肉
【仏教用語】
由来:達磨がインドへ去ろうとした時、門人たちに修行で得たものは何であったかを質問したところ、四人の弟子がそれぞれに答えました。
それに対し達磨は「吾が皮を得たり」「吾が肉を得たり」「吾が骨を得たり」「吾が髄を得たり」と答えました。
「骨髄」に比べて「皮肉」は、まだ表面的な理解に留まっているという意味から、相手の欠点などを遠回しに批判するという意味になりました。
18.花道
【歌舞伎用語】
由来:客席の間から舞台まで作られている通路のことで、役者の登場や退場に用いられます。
この通路を花道と呼ぶのは「花(祝儀)」を渡す道という意味だったと考えられます。
ここから人生における節目の大切な場面などを指しても用いられるようになりました。
19.やくざ
【博打用語】
由来:「三枚」というカルタによる賭博の一種で「八・九・三」という手札の組み合わせが最悪なものであることから、これを「やくざ」と呼ぶようになり、さらに役に立たないものという意味が派生しました。
さらに人にも用いられるようになり、博徒や道楽者を指すようになりました。
20.めっぽう
【仏教用語】
由来:すべての因果関係などを超越した絶対的な心理のことを「滅法」といいます。
そこから、関係をすてて無茶苦茶なことをすることを「滅法な」というようになり、さらに「とても、大層」という意味になりました。
21.呂(ろれつ)律が回らない
【邦楽用語】
由来:「呂律」は「呂律(りょりつ)」の音訛で「呂」と「律」は中国の古代の音階名です。
その音階が調和しないと曲調が全くだめになることから、話し方がはっきりしないで何を言っているか分からないことを「呂律が回らない」というようになりました。
まとめ
三回にわたって「意外と知らない言葉の語源や由来」について計「62」の言葉を紹介しました。
普段何気なく使っている言葉の語源や由来が、少しはお分かりになったのではないでしょうか。
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