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The blue sky of the outlook25 hecto

Treasure of iron scraps

「鉄屑の宝」

私は廃棄されていた者です。

名前さえありません。

なのにあの方達ときたら‥


ご興味がお有りですか?
経緯のご説明が必要でしょうか‥

私はスクラップにいました。
幸いCoreのメモリーが
現存していたためか、
雨の日、風の日‥

鉄屑のど真ん中で
Coreの消失、あるいは消去待ち‥
と、言ったところであります。

そんな時、半魚のご老人が
私を見るなり、立ち去ったと
思ったら、お孫さんを
連れて来るではないですか。


私を担ぎ上げ、
身体が動くまで
直して頂き

家族として、
薬の調合をお手伝いさせて頂く
手筈となりました。

程なくして、ご老人は帰らぬ人となり
残されたのは、お孫さん、お婆さん。

以前、お客様としてご来店下さった
お孫さんのクラスメイトが、
私に会いたいと言うので、
対面した時は、
あれ程興味深々でご覧になるとは
正直思ってもいなかったんです。



私は、LINKを利用した
彼女の端末と
データ通信出来ると言う理由から
会話する事が出来る様にと
依頼がありました

その、恥ずかしながら
初めての友達となりまして。

私の趣味をお聞きになりました。
スクラップ探しと教えました。

私の経緯を聞いた彼女が
何故涙したのか‥

それは分かりかねます。

しかし、彼女は優しいのです。

失敗し、落ち込んでいる
私の相談も彼女は
して下さいました。

新しい体を鉄屑から集め
頭を付け替えて遊ぶのが私の
新しい趣味でございます。

鉄屑のど真ん中にいた私の生活は
一変して楽しみ深いものとなり

ついには鉄屑の山を全て使い切り、
また新しい体を作りました。


お婆さんも環境には良いだろうと
喜んでもらえて嬉しいです。

彼女が連れて来た新しい友達も
出来ました。



けれど‥

どんなに新しい体を
作ったとしても
私はこちらの体がしっくり
来ます。

それでは、皆様。
私のつまらない話に
お付き合い頂き、感謝感激です。

ごきげんよう。

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