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ベトナム人事労務 | ビザ・ワークパーミットなどに関する政令70/2023/ND-CP

今年8月に変わると言われていた政令152/2020/ND-CP
今週月曜にいきなり公布、即日施行されました。

定期報告をさせていただいているお客様には、8月末時点の最新草案サマリーをお送りしていましたが、そこから変わっている部分もありました。

以下、主な変更点です。

1、管理者としてのワークパーミット

国外側(日本側)で準備する「学歴証明書」に加え、「会社の定款或いは活動規則」「任命にかかる議決或いは決定」が必要とされます。
(実務上は、学歴証明書を要求されないケースが多くなっています)

2、役員(エグゼクティブ)でのワークパーミット

これまでは「機関・組織・企業に直属する部署を直接指揮するトップ」と定義されていました。

今回は「支店・駐在員事務所・営業所のトップ」或いは「機関・組織・企業の少なくとも一分野を直接指揮するトップで、機関・組織・企業のトップの直接の指示や指揮を受ける者」とされました。

国外側(日本側)で準備する書類は、管理者同様です。

3、専門家でのワークパーミット

専門家にはいくつかの種類がありますが、その一つでは、これまで「大卒以上の卒業証明書又は同等の証明書」「訓練を受けた専攻」が必要とされていました。

今回は「大卒以上又は大卒相当」とされ、「訓練を受けた専攻」という文言は削除されました。

国外側(日本側)で準備する書類は変わりませんが、直近の職歴がベトナム国内であった場合に前職のワークパーミットやワークパーミット免除確認書が有効と明記されました。

4、技術者でのワークパーミット

技術者にはいくつかの種類がありますが、その一つでは、「技術専攻又はその他の専攻での1年以上の訓練と訓練を受けた専攻に応じた3年以上の実務経験」が必要とされていました。

今回は「業務に適した1年以上の訓練と3年以上の実務経験」とされました。

国外側(日本側)で準備する書類は変わりませんが、直近の職歴がベトナム国内であった場合に前職のワークパーミットやワークパーミット免除確認書が有効と明記されました。

5、その他のポイント

2024年1月1日より、外国人を雇用する際には、なぜベトナム人雇用ではダメなのかを説明しなければなりません。これまでも形式的な説明はありましたが、2024年からは具体的にベトナム人募集を行い、どのような経緯で雇用できなかったかを説明する必要があります。

こちらは、今後、本件手続きを司るDOLISA(各省・各市の労働局)の担当者裁量が発動されやすいところとして懸念すべきところです。

一方で、大卒者ではない外国人労働者がワークパーミットを取得できない、取得しにくいという問題は、少し緩和されるのではないでしょうか。

旧政令である152/2020/ND-CPはコロナ禍の2021年2月15日に施行されました。大卒者ではない外国人労働者がワークパーミットを取得できないのでは、更新できないのではという懸念が騒がれ、それでもコロナ禍はコロナオペレーションのため実務上の問題は生じませんでした。2022年3月から「ニューノーマル」となり、実務上5月頃から懸念が現実となり、日本とベトナムの外交上のテーマにもなった経緯がありました。


以前は多かった悪徳なビザワークパーミットエージェントによる「虚偽登録」「虚偽証明」。

コロナ禍にほぼ一掃されました。
ただ、悪徳業者だけではなく、真面目な業者も。

私の会社は、外資として多くはないビザ・ワークパーミットエージェントとしての正式な登録があり真面目な業者なのですが、顧客の業務を私の会社名でやると不可で、顧客の会社名でやると可という状況になってしまいました(最近少し緩和された気もしますが)。

公安省(日本でいう警察庁)に書面で問い合わせましたが、冷たい回答が返ってきた記憶があります。

要するに、ビザもワークパーミットも、手続きは企業が直接行わねばならず、第三者(法人)に委託してはならないという謎オペレーションがここ2年ほど続いています。

そんなこんなも含め、今回の政令変更によって在ベトナム企業の悩みの一つである外国人雇用時の手続き時間が少しでも短縮されることを願います。


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