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「版画家たちの世界旅行」町田市立国際版画美術館

9月中旬になるのに、まだ夏の終わりが見えない暑い日、町田市立国際版画美術館に行ってきました。

今回の目的は、「版画家たちの世界旅行-古代エジプトから近未来都市まで」です。

旅をテーマにして、年代と地域別に鑑賞できるようになっています。

始めは、第1章 イタリアを目指す旅。
芸術家にとって、古代ローマは憧れであり、遺跡など見に行くべき場所だったそうです。

トレヴィの泉

トレヴィの泉は、18世紀に整備されたそうです。
この版画を見ると、(貴族か裕福な階層でしょうか)馬車で乗り付けていたりして、当時から人気観光地だったのですね。

次に第2章 「オリエント」をめぐる旅。
やはり、エジプトですね。エキゾチックな雰囲気が漂います。

スフィンクスと大ピラミッド
神殿の室内
美しい色づかい でも映り込みが残念…

ナポレオンがエジプト遠征に行ったときに、芸術家を帯同させてピラミッドをはじめ、様々な遺跡の絵を描かせたことを聞いたことがあります。
ヨーロッパ人はエジプト大好きですよね。でも、私も負けずに古代エジプト文明が大好きなので、興味津々に鑑賞しました。

第3章 「絵になる風景」を発見する旅 の中で、今回最も印象に残る作成に出会いました。

雨の印象

ちらりと見ただけでは”何となくぼやけて、ざっと描いた絵”と思えるかもしれません。
けれど、心を落ち着かせて、ゆっくりと眺めると、雨の日の情景が目の前に広がりました。”背景が雨に滲んだ感じ”がどこか東洋的、というか水墨画を思い出して、ヨーロッパの風景なのに、とても親しみを感じたのです。

この後も、
第4章 都市に集う芸術家の旅
第5章 現代の「旅する芸術家」
と続きます。

同時開催されていた、「大正・昭和初期の東京風景 織田一磨を中心に」も鑑賞しました。

約100年前の東京です。
先ほどの展示は、ヨーロッパの作家を中心としていたのですが(多少、日本を含むアジアの作家の作品もありました)、日本の作家による作品群を鑑賞すると、馴染みやすい印象を受けました。
版画内の風景は、100年の時の流れとして違いがありましたけど。

銀座や浅草の都会、カフェーや酒場の雰囲気が当時の人気素材だったのでしょうか。現代とはかなり違う雰囲気が興味をそそります。

去年、川瀬巴水展を観に行ったのですが、その時の版画も含めて展示されていました。夕暮れや夜、または雨の日の表現がとても好きなんです。

こちらは、織田一麿「銀座千疋屋」です。

銀座千疋屋(昭和3年)

この素敵な店構えが印象に残って、銀座千疋屋の歴史を調べてみました。
公式サイトに古い店舗の写真を見つけ、「まさに、ここ!」と感動です。
西洋風なショウウインドウが、憧れと豊かさを象徴していますよね。

たっぷり鑑賞して、友人と感想を言い合い、一人行動ではない楽しさがありました。

窓越しの緑が美しくて

展示室を出ると、窓越しに緑の木々を通り抜けた光が、とても眩しくキラキラ輝いて感じました。
思わず、写真に収めました。
この美術館の環境がとても恵まれていることがよくわかります。

さぁ、ゆっくりと楽しんだ美術館を出ましょう。

見上げる背の高い並木

しかし、この後ランチ難民になりかけるのだけど、今はまだ誰も知らない…

顛末は、こちらで。


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