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世田谷さんぽ「向井潤吉アトリエ館」

向井潤吉アトリエ館を訪ねたのは、去年の1月の寒い日のことでした。
世田谷ボロ市をさっとひやかして、その後に散歩がてら行けばいい、となりました。

ところが!
その年の1月世田谷ボロ市は、日曜日ということもあって、とんでもない混雑でした。まず、代官餅の行列の長さに驚きました。これは何時間かかるのでしょうかね。すっかり意気消沈、下調べ不足でした。
ということで、ボロ市見学は早々に切り上げて、向井潤吉アトリエ館へ向かうことにしました。

ボロ市会場からは、それなりの距離があります。まぁ、歩ける距離ではあるけれど。

向井潤吉アトリエ館は、世田谷美術館の分館なので、世田谷区の施設なのですね。そういえば、ふるさと納税で税金が流出して困った世田谷区が、所蔵している向井潤吉の版画作品を返礼品にした、というニュースがありました。

洋画家・向井潤吉(1901-1995)が、長年愛用したアトリエ兼住居を美術館として改装のうえ、自作の油彩画やデッサンなど660余点とともに世田谷区に寄贈し、1993年7月に世田谷美術館の分館として開館しました。

世田谷区・弦巻の閑静な住宅地に位置し、1962年に建てられたアトリエ兼住居と、1969年に岩手県一関より移築された土蔵によって構成され、クヌギ・コナラ・ケヤキなど武蔵野の面影を今に残す樹木の繁る緑豊かな庭を眺めながら、民家のある風景を描いた向井潤吉の足跡を辿ることができます。

年2回程の企画展を開催し、向井潤吉の70年近くにわたる画業を、さまざまな視点から探りご紹介しています。

向井潤吉アトリエ館 公式サイトより

向井潤吉の作品は、自宅に作品があるわけではないけど、子どもの頃からカレンダーなどで目にしていた馴染みがあるもの、でした。大正から昭和にかけて、日本の昔ながらの風景を題材にしているものが多いです。今では「古民家」という建物がまだ「かろうじて」人の生活の場であった頃、それでも消えゆく風景を留めるために描いていたのだと思います。
その絵画の風景は、昭和生まれの私にとっても昔話の絵本の風景のようなものです。けれど、子どもの頃は少し郊外、地方に行けば、まだ残っていたかもしれない風景。東京郊外の風景も数多く残しています。

建物の中は、撮影禁止でしたので、外観の写真のみです。
このアトリエは、実際に住居兼アトリエだったそうで、昭和30年代のデザインなのです。今は絵画の展示室として使用しているため、室内はサッパリとしていますが、所どころ住居の名残りがありました。それに、絵具の跡があったり・・・
また、太くて立派な材木が使われていて、古民家の味わいもあります。蔵も家と繋がっています。2階もありますが、吹き抜けになっていているので開放的で閉塞感はありません。

玄関前には、正月の花
蔵が家に接続しています

アトリエ館を後にして、住宅街を歩きます。
このあたりも昭和の歴史ある住宅街で、素敵なお宅が並んでいるのを眺められるのが楽しいです。いかにも世田谷らしい雰囲気ですね。
最寄り駅の東急田園都市線の駒沢大学駅までは、10分ほどで到着しました。当然ながら、駒澤大学の最寄り駅で、学生街なんですね。商店街に大学のスポーツ部(この時は、アメフト部が多かったかな)を応援する旗が飾られていました。とてもカッコいいデザイン。街の誇りなのだとわかります。
そうそう、駅名と大学名は文字が違うんですね。地図を確認して初めて知りました。

世田谷さんぽは奥が深い。まだまだ、あちこち歩かないといけませんね。


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