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医療的ケア児とインクルージブ教育について

今号では、医療的ケア児を対象としたインクルージブ教育について考えたいと思います。まずインクルージブ教育という概念について、少し考えてみたいと思います。まず、文部科学省ホームページに書かれているインクルージブ教育の定義について見てみたいと思います。本記事では、すべての定義を書くことは主題からずれるため1つだけ引用する。障害者の権利に関する条約第24条によれば、「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。(2023年6月28日閲覧https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1321668.htm)と定義されております。
 分かりやすく言い換えれば、共に学ぶことができるという考え方です。前号の記事にあったように、医療的ケア児でも兄弟・姉妹等と同じ小学校等への通いたいと思うのが一般的です。しかし、医療的ケア児の場合には多くの壁があります。
医療行為のための看護師配置の問題です。地域の学校には、看護師が配置されておらず医療的ケア児にとっては医療的ケアの対応体制が整っていない場合は、生命維持にも危機が訪れる恐れがあります。
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鳥取県湯梨浜町にある羽合小学校は、昨年春に人工呼吸器を装着した医療的ケアがある児童が入学しました。在籍自体は同校の特別支援学級「なでしこ学級」に在籍しています。しかし、朝の会及び特別活動等は、普通学級との交流もしています。羽合小学校には、入学後2ヶ月後に学校看護師と言われる看護師が2名配置され、翌月から親の付き添いが不要になりました。
私自身、医療的ケア児・障害児を含めたインクルージブ教育について関心事として勉強・研究しています。こういう先駆事例を横展開することが重要ではないかと思います。医療技術の進展で、医療的ケア児が増えることに伴って医療的ケア児のインクルージブ教育についての必要性が近年強く意識されています。多くのメディアでも、取り上げられ始めています。一番重要なのは、関心を持ち続けていくことだと思います。
大須賀一樹 脳性麻痺当事者。日本福祉大学所属。専門は、重度心身障害者等の福祉研究・特別支援教育

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