宛先は君に 2021年7月20日
2021年7月20日
耐えがたい不安に襲われる。突然降りだした雨が地面を強く叩きつけ、空高くに豊潤な匂いをたっぷりと漂わせている。洗われた通りは街灯の明かりをキラキラと反射させている。ああ、こんなものは僕の心に届かない。僕の魂はこの自然を受け入れることが出来ないのだ。僕の心情をこの目に映すのなら、今、町は大きな嵐に襲われ、僕がいるこの部屋は海の上にいる。冷たい風を頬に受け、肩を震わせる。甲板には誰がいる?誰が僕の肩に手を掛け、優しい言葉を降ろしてくれるの?僕の胸ポケットに