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【教育評価】指導要録について

こんにちは 
シーレです。
このNOTEを読んでくださりありがとうございます。

~自己紹介~
大学生。大阪在住。興味→教育、作文、大学。 日々学んだこと・考えたことについて書き付けます。 将来の夢は本を出すことです。

本日は「指導要録」についてです。

今年度の基礎ゼミで「教育評価」について発表することになり、準備を進めています。
その中で「指導要録」について関心を持ったので、調べた内容をまとめてアウトプットしたいと思います。

①指導要録とは

学校教育法施行規則第二十四条には、指導要録について以下のように定められています。

校長は、その学校に在学する児童等の指導要録(学校教育法施行令第三十一条に規定する児童等の学習及び健康の状況を記録した書類の原本をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。

学校教育法施行規則第二十四条

そして、該当の学校教育施行令第三十一条には以下のように定められています。

(学校廃止後の書類の保存)
第三十一条 公立又は私立の学校(私立の大学及び高等専門学校を除く。)が廃止されたときは、市町村又は都道府県の設置する学校(大学を除く。)については当該学校を設置していた市町村又は都道府県の教育委員会が、市町村又は都道府県の設置する大学については当該大学を設置していた市町村又は都道府県の長が、公立大学法人の設置する学校については当該学校を設置していた公立大学法人の設立団体(地方独立行政法人法第六条第三項に規定する設立団体をいう。)の長が、私立の学校については当該学校の所在していた都道府県の知事が、文部科学省令で定めるところにより、それぞれ当該学校に在学し、又はこれを卒業した者の学習及び健康の状況を記録した書類を保存しなければならない。

学校教育施行令第三十一条(太字は執筆者による)

以上のように、指導要録は児童・生徒の学習及び健康の状況を記録した公的書類です。
具体的には「学籍に関する記録」と「指導に関する記録」から成ります。

教育評価に関する公簿という公的な機能を持つものでありながらも、一般には公開されないため、学年末に記入する以外には校長室の保管庫に収められている事務文書と見なされています[1]。

教員経験者の方に伺いましたが、通知表とは別に、長文で記録をつける必要があるため、作成はかなり大変だそうです。

参考リンク↓↓↓

②指導要録の歴史

指導要録の歴史は、戦前の学籍簿まで遡ります。

1900年の第三次小学校令の中で、「平素の成績」の「考査」を記載するために、全国画一の学籍簿を作成することが規定されました[2]。

その後、1907年、1921年、1938年、1941年の4回にわたって改訂がなされます[3]。

終戦後の1949年、子ども各人の学習と成長・発達を第一義的に捉える新教育思想に基づいて改訂された学籍簿は、翌年に「指導要録」と名称を変更します。

この最初期の指導要録は、戦前の反省から「指導上の原簿になるもの」として指導機能を明確にしたものでした。

しかし、その記載の際の基準として、戦前の絶対評価を克服する目的で五段階相対評価が導入されたのです。

こうして、指導要録には指導機能ではなく、客観性と信頼性を重視する証明機能が負わされることとなりました[4]。

1970年代に入ると、客観性の根拠であった相対評価の見直しが始まります。 →cf:通信簿論争。

そこで1980年には観点別学習状況欄に絶対評価が導入されます[5]。

2001年には指導要録から「相対評価」がなくなり、「目標に準拠した評価」が全面的に採用されました[6]。

「目標に準拠した評価」に関してはまた別の記事を書きたいと思います。

田中耕治先生は、指導要録の改訂史を以下の4つに分けられています。

表 1.指導要録改訂史[7]

③まとめ

この記事では指導要録についてまとめました。
児童・生徒の立場ではなかなか馴染みのない指導要録ですが、かなり重要な役割を担っていることがわかりました。

証明機能と指導機能との揺れに、教育改革特有の「振り子」が見えますね。

働き方改革の観点から、指導要録と通信簿とをうまく結合できれば、、と考えていましたが、
両者それぞれに固有の役割があることにも考慮が必要ですね。

今日はこの辺りで擱筆します。
この記事を読んでくださりありがとうございました。

2023/05/08 シーレ




[1] 田中耕治編『よくわかる教育評価』ミネルヴァ書房、2021年(初版、2005年)、p.162。

[2] 同上書、p.178。

[3] 同上書、p.16。

[4] 同上書、p.178-179。

[5] 同上書、p.163。

[6] 同上。

[7] 田中耕治・鶴田清司・橋本美保・藤村宣之『新しい時代の教育方法〔改訂版〕』有斐閣、2019年(初版、2012年)、p.224をもとに、執筆者作成。



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