アジアETFのAIA:サムスンの4Qガイダンス

・サムスンのガイダンスは昨年同期比7割の営業減益である
・現在はPER、EPSともダウントレンドの状況であり、今後も1年程度は続く
・経済全体でも大方は堅調なEPSを予想するが、おそらく下振れるだろう

サムスンの22年4Q(9-12月)のガイダンスが発表され、四半期利益が昨対比70%の大幅減となる見込みであることが発表された。主な理由として、インフレと世界的な景気後退懸念、コロナ巣ごもりの反動によりロジック、メモリ半導体とスマホの売上が不振だったことを挙げている。

ここでは、半導体のように景気循環の影響を受けやすい(電子機器や自動車に半導体が多く搭載されるため)企業の市場評価と利益実績から、今後の様相を示唆する。
結論としては、株価をEPS×PERに分解すると、現状起きている逆金融相場(実績によらずPERが悪化して株価が下がること)から、今後逆業績相場(EPSの減少により株価が下がること)による更なる株価下落の可能性が高い(個人の感想です)。

まず、実績利益に基づくPERとPBRは以下の図の通りである。特徴として2014年1月から2016年3月ごろまではダウントレンド、その後2017年10月までアップトレンドが続き、2019年3月までダウントレンド、そして2021年3月までのアップトレンドを経て、現在までダウントレンドが続いている。

サムスンの実績利益PERおよびPBR

一方で、業績は2015年12月までダウントレンドが続き、その後2018年9月までアップトレンド、2020年3月までダウントレンドとなり、2022年6月までアップトレンドとなっていた。現在および今後のガイダンスは、ダウントレンドである。

四半期一株利益推移(KRW)

以上2つのグラフから言えることは、再現性を伴って株価の期待は実績に先行することである。つまり、アップトレンド、ダウントレンドともにPERのトレンド転換はEPSに先行している。
およそトレンドの転換には8四半期程度の時間がかかっているため、現在のEPSのダウントレンドはまだ始まったばかりであろう。そして、PERのトレンド転換とEPSのトレンド転換には、およそ半年程度のタイムラグがある。
これらを踏まえると、少なくとも1年程度はPER、EPSともにダウントレンドが続くと思われる。

サムスンはグローバルな総合電機メーカーであるため、ある程度世界経済の先行きを示唆することもできるだろう。ストラテジストは、予想EPSの堅調さに基づいて2023年は下期から株価が回復すると予想するが、そのEPSが大きく下振れるリスクを見落としている。ゆえに、2023年下期のEPSが切り下がることで、より株価が下落することも考慮するべきである。

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