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映画「Dr.コトー診療所」を観ました

2003年、そして2006年と連続ドラマで好評を博した「Dr.コトー診療所」の続編となる映画版がこのたび公開されました。
チラシがなかなか素敵な出来栄えで、未見だったドラマ版の再放送を見て、この映画も観る気になりました。

Dr.コトーのチラシ「そして、今日も生きていく。」


あらすじは知らずに観る方がいいと思うので、ネタバレなしで感想を。

懐かしい「いつものメンバー」に新キャストも加わり、ドラマの世界観を受け継ぎつつ、10数年の時の流れや、少子高齢化と過疎化が進む離島の医療問題を組み込んだ意欲的な脚本と、日本の西端に位置する島の美しい自然を存分に味わえる映像、丁寧な演出で観客を魅了します……前半は!
後半は、脚本・演出ともちょっと雑というか、違和感を覚える箇所が目立ちます。
それでも最後は思わず涙してしまいました。ここぞと流れる中島みゆきの名曲「銀の龍の背に乗って♪」が全てを浄化してくれます。歌詞を改めて嚙みしめながら聴き入りました。

俳優陣について。
コトーを演じる吉岡秀隆さんが、「北の国から」や「寅さんシリーズ」など国民的作品の重要な役を長年演じてきたキャリアが伊達ではないことを改めて感じさせる、優しさと気概の両立した演技でした。
彩佳役の柴咲コウさんは、いつも周囲を気遣っている、しっかり者の看護師さん。目力が魅力的で、今回も素敵な存在感でした。
和田役の筧利夫さんは、家族思いのストレートさも好感度を高め、時に張り詰める場の雰囲気をやわらげる貴重なキャラクター。
星野正一役の小林薫さん、茉莉子役の大塚寧々さん、重雄役の泉谷しげるさんらは、変わらぬ安定感で作品世界をがっちり支えていました。原剛利役の時任三郎さんは久しぶりに見たからか、役柄の設定のためか、月日の流れの厳しさを一番感じました。
連続ドラマでは子役だった原剛洋役。芸能界を引退した富岡涼さんが、今作のためだけに復帰されたそうで、この役ならばさもありなんと思う、派手ではなくとも強く印象に残るいい演技でした。

ネットで読み漁った本作の感想の中で、印象に残った一言を引用します。
「観たかったのは『命を救う奮闘』であって、『命を削る奮闘』ではありません。」
うーん。残念ながら、感想を一言でいうなら、これになっちゃいますかね。
それでも、海の美しさと吉岡君の技量とみゆきさんの力強い歌声に救われた一本でした。
結論。もやもやは数々残れど、観てよかったと思います!




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