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ドイツ料理と朗読劇『終わった人』

中井貴一とキムラ緑子出演の朗読劇『終わった人』を拝見しました。
舘ひろしと黒木瞳の組み合わせで映画化もされた、内館牧子のベストセラー小説が原作です。
主人公は団塊の世代の一人。東大を出てメガバンクのエリート街道を歩んできたが、行内の派閥争いの末、子会社に出向、転籍の憂き目に。子会社の専務取締役で定年を迎えて「終わった人」感を味わい、自分の仕事など忙しい妻との関係もぎくしゃくする。そこからカルチャーセンターの受付の女性に翻弄される一人相撲や、IT企業での再就職と挫折など、数々の波乱を経て妻からある提案を受ける…というお話。

草月ホール ロビーにて
「サラメシ」スタッフからのお花を発見!

出演者は、お二人とも流石に声がよく、惚れ惚れと聞いていられます。特に緑子さんは、実にスムーズに老若男女を演じ分けておられ、達者な方だなあと改めて感じ入りました。
ただ作品としては、団塊の世代である主人公夫婦の経済状況を始め、設定や描写の所々が、格差社会の歪みが拡大している現代の感覚と乖離していて、「昭和時代のある意味平凡な、夫婦のいざこざ」という印象。
「あけすけな本音」のやり取りに、客席の年配者(特に女性)からは笑いが盛んに起こりましたが、私にはそうした台詞がどうも戯画的に感じられて、どの登場人物にも共感できません。そのため「もやもや感」を拭えないままに終始しました。
出演のお二人の演技力が素晴らしいだけに、かなり残念です。

会場が赤坂の草月ホールでしたので、ランチは近くにあるドイツ文化会館内のレストランMahlzeit (マールツァイト)で。
人気のシュニッツェルとグーラッシュを両方楽しめるいいとこ取りのセットを頂きました。
衣がサクサクのシュニッツェルに、コクの深いグーラッシュ、そして副菜のザワークラウトなど、ドイツ料理の代表的なメニューを楽しみました。

Mahlzeitで人気のランチメニュ-


ドイツ料理に、昭和な夫婦。
「一定の枠内で自己完結している、古風で一種安心な世界」を味わった一日でした。
でも、簡単に「終わった…」と決めつけてはいけない、というメッセージは確かに受け取りましたよ!


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