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見苦しいことは、やってはいけない ブログより再録その3

 アメリカ軍によって、広島に原子爆弾が落とされてから77年目の8月6日です。
 平和記念式典に出席した、国連のグテーレス事務総長がこんな挨拶をされました。(国連広報センターのサイトより引用)

私たちは、広島の恐怖を常に心に留め、核の脅威に対する唯一の解決策は核兵器を一切持たないことだと認識しなければなりません。(中略)核という選択肢を取り下げてください、永遠に。今こそ平和を拡散させるべき時です。被爆者の方々のメッセージを聞き入れてください」

 また、こども代表による「平和への誓い」も素晴らしかったです。特にこのくだり。

「本当の強さとは、違いを認め、相手を受け入れること、思いやりの心をもち、相手を理解しようとすることです。本当の強さをもてば、戦争は起こらないはずです。」

 どちらも、全くその通りと思いました。

 また、被爆地広島や長崎を想うとき、反射的に頭に浮かぶ詩があります。
 原爆詩人の一人、栗原貞子さんの作品です。

ヒロシマというとき

〈ヒロシマ〉というとき
〈ああ ヒロシマ〉と
やさしくこたえてくれるだろうか
〈ヒロシマ〉といえば〈パール・ハーバー〉
〈ヒロシマ〉といえば〈南京虐殺〉
〈ヒロシマ〉といえば 女や子供を
壕のなかにとじこめ
ガソリンをかけて焼いたマニラの火刑
〈ヒロシマ〉といえば
血と炎のこだまが 返って来るのだ

〈ヒロシマ〉といえば
〈ああ ヒロシマ〉とやさしくは
返ってこない
アジアの国々の死者たちや無告の民が
いっせいに犯されたものの怒りを
噴き出すのだ
〈ヒロシマ〉といえば
〈ああヒロシマ〉と
やさしくかえってくるためには
捨てた筈の武器を ほんとうに
捨てねばならない
異国の基地を撤去せねばならない
その日までヒロシマは
残酷と不信のにがい都市だ
私たちは潜在する放射能に
灼かれるパリアだ 

〈ヒロシマ〉といえば
〈ああヒロシマ〉と
やさしいこたえが
かえって来るためには
わたしたちは
わたしたちの汚れた手を
きよめねばならない


 核兵器の開発や原子力の「平和利用」、軍需産業の隆盛、様々な局面での人権侵害、権力を持つ人の恥知らずな言動などを目にしては、なんで人間はこんなことをするのだろうと思うにつけ、心に改めて刻む言葉があります。
 それは作家・塩野七生さん「見苦しいことは、やってはいけない」

 10年余り投稿を続けた「ウェブリブログ」が閉鎖されるのを機に始めた、このnote。ブログに投稿した記事の中から、投稿から間をおいても、しばしば閲覧されている記事をさかのぼってピックアップし、再録していくシリーズの、その3 です。
 2020年1月3日に投稿した「見苦しいことは、やってはいけない」と題する記事を再録します。

以下、再録

 年始に印象の残ったテレビ番組をご紹介します。
 元旦にEテレで放映された「2000年を生きる 塩野七生と高校生の対話」。イタリア在住の、作家・塩野七生さんが母校の学習院を訪れ、高校生たちと対話する特別授業を収録した番組です。
 塩野さんの作品は、ルネッサンス物やエッセイを数冊読んだだけで、近年の渾身の作品、「ローマ人の物語」や「ギリシャ人の物語」はまだ未読なのですが、好きな作家さんの一人です。
 読書の大切さや、人生論など、高校生たちに語り掛ける塩野さんの言葉は
明快で芯が通っていて、押しつけがましさはなく、男前でした!
(勿論、誉め言葉です。 私にとって、「男前な女性」代表は、塩野さんと、フィギュアスケートの浅田真央さんです。)

 特に印象的だったものを二つ、書き留めておきます。

 鳥の視点と虫の視点、両方を持つことが免疫になる。

 「見苦しいことはやってはいけない」は、規範になる。

 お正月から、良質な番組を見ることができました。若者向けではありますが、人生の折り返し点を既に過ぎた私にも、響くものがありました。

以上、再録おわり。


 テレビをつければ、「見苦しい人」「見苦しい言動」が目に付く昨今ですが、鳥の視点と虫の視点で自らを律していきたいものです。

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