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23.4度

今年の夏も猛暑酷暑と言われ、夏休みが終わって二学期が始まっても暑い日が続く。毎夕の雷鳴にもこだぬきずは慣れてしまった。

処暑(しょしょ)とは暑さが止む、おさまるという意味で、8月23日頃にあたるそう。今日は29日。暑さが止む気配は無い。

日本の四季は失われ、二季になるなんて話もある、過ごしやすい春や秋が失われるのは耐え難いこと。

家や会社に閉じこもり、冷気に包まれて過ごす夏だが、買い物やこだぬきずの習い事のために週に何度かは自転車で太陽の下を走り回った。

どんなに日焼け止めを塗っても、腕や首はどんどん黒くなる。電車の中で真っ白い腕を目にする度に、自分の腕が焦げているように見えた。

息子こだぬきを迎えにサッカーの練習場まで自転車を無心に走らせる。前方に広がるシアンブルーの空に、輪郭のはっきりした厚手の白い雲が家々の屋根を覆うように連なっていた。

夏の雲は低い。太平洋沖の3つの台風のせいか、風が強く気温の割には過ごしやすい。時折キャップのつばが風で浮き上がり、脱げそうになるのを片手で抑える。強い西日は左頬をジリジリと焼き付ける。まだまだ日差しは鋭く強い。

グラウンドに着くと、以前までとは様子が違う。薄暗い。まだたくさんの子どもらが遊んでいた。練習終わりにコーチが子ども達に声をかける。「帰りが暗くなって来ています。気をつけて帰るように。」

自転車で走る少年たちの後ろをゆっくり気配を消してついて行く。たぬきちが気配を消しているものだから子どもらはふざけあったりしながら蛇行したりしている。「車来てるよ!」時折たぬきちの通らぬ声で警告する。

7月、少年らの背中を美しく照らした夕日が見えた高台は、すっかり日が落ち、コウモリが忙しく飛び交っている。

信号待ちで、彼らとはぐれると、よく周りを観察している1人の少年が自転車を止めた。それに気づいて皆が自転車を止める。

おばさんなんだから置いて行ってくれていいんだけど、どうやら仲間として認知してくれていたようで、おかしかった。

8月が終わろうというのに、残暑厳しく、今年の運動会の練習も子どもらは大変だなどと暑さばかりに気を取られていたが、確実に季節は秋に向かっていた。

日中の時間がどんどん短くなっているのに気づくと、「ああやっぱり地球は傾いて回ってるんだな」と実感する。

地球の地軸23.4度の傾きが、季節を変えてくれる。季節は無くならない。そこかしこにあるお知らせに気づいているかどうか。

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