見出し画像

【創作童話】おかしなギフトハガキ

学校が終わって、家に帰ると玄関に封筒が置いてあった。
封筒には、漢字でも英語でも無いような見たこともない言葉。どちらかと言うと記号みたいなものが書かれている。

これなんだろう。
だれのだろう。
兄ちゃんのだったら開けたら絶対に怒られるけど、どうしても僕は開けたくなった。

それに記号は何を書いてあるのか分からないはずなのに、なんだか僕宛ての手紙のような気がして仕方ない。
怒られたっていいや。開けちゃおう。
封筒の中にハガキが入っている。

今度は読める字が書かれていたんだけど
ギフかしハなトおガキ
なんだこれ。

そしたら急に文字がブルブル震えだした。
文字は折りたたんでいた足をニョッと伸ばすと、そそくさと移動して、そしてまた足をしまってじっとしている。
どうゆうしかけなんだろう。

ハガキに見えるけど、最新のタブレットなのかな。
そして並び終えた文字はこう書かれていたんだ。
おかしなギフトハガキ

裏にかえすとちょっとざらっとした茶色い面でそこにはなんにも書かれていない。
それどころか少しホコリっぽくて、僕は鼻がムズムズした。
なーんだなんにも書かれてないのか、ガッカリしたその時何もなかったはずの面に文字がゆっくり現れた。

あれ。反応悪いのかな。
僕は浮かび上がった文字を読み上げた。
このギフトハガキは
栗山 陽さまあなたに感謝している人からの
おくりものです。
どうぞお好きな商品をお選びください。
おかしなギフト社より

読み上げた行はどんどん消えて行く。
やはり僕あてだった。
僕に感謝してる人って誰だろう。
僕なにかしたっけ?
まあいいや。

ハガキに目を戻すと
新しい文章に変わっていた。
すばらしいあなたにおすすめの商品はこの3つです。
1、食べても無くならないおかし
2、人の気持ちがわかる電話
3、どこへでも移動できるドア
いかがでしょう。

なんだこれ。どれもおかしなものだな。
あーおかしなギフト社だもんね。
えー。どうしよう。
それにしてもどうゆうこと?
せつめいも何もないのかな。
くわしく知りたかったけど、新しい文字は出てこないし、色んなところをさわってもなんの変化もなかった。

仕方なく僕は自分で考えることにした。
食べても無くならないおかし。
そもそもおかしの種類が分からない。
嫌いなものだったら、意味ないし。
無くならないってどうゆうことだろう。
食べても食べても、また出てくるってこと?
いや、それより食べても溶けずにうんちになって出てくるってことかも。
そんなのいらないや。
そう思ったら
1、食べても無くならないおかし
の文章が消えていて残りは2つになっていた。

人の気持ちがわかる電話か
兄ちゃんが秘密にしてることとか、先生やクラスのやつらが考えてる事がわかるってこと?
面白いかも。でもいちいち電話かけて聞くってこと?その電話が話してることが、本当かなんてどうやってわかるんだろ?
それ本当って兄ちゃんに聞いても絶対教えてくれるわけないし。
意味ないな。これはいらないか。
2、人の気持ちがわかる電話
が消えて、残りは1つ。

どこへでも移動できるドア
やっぱりこれかな。
うーん待てよ?そのドアって移動出来んの?
どこに置いておく?

アメリカとか行って、ヤッターとか振り向いたらドアなかったり?
帰りは飛行機探してって無理じゃん。
ドアの向こうから逆に知らない人来たり?
えー?これもらうの?いらないかも。

そう思ったら、もう文字は消えて何も書かれていない。
そしてゆっくり文章が浮かび上がって来た。
あなたは本当にすばらしい少年です。
あなたには、考える力、想像力、そして判断する力、どれもすばらしい力が備わっています。

どうか、どんな時も自分を信じて、未来を選択して行ってくださいね。
あなたが創造した未来で待っています。
おかしなギフト社社員一同より
え?どうゆうこと。

気が付くと、僕はじーちゃんとばーちゃんから届いた僕宛のハガキを持っていた。
ようくん お誕生日おめでとう。
あなたが生まれて来てくれて本当に嬉しい。
ご先祖様から引き継がれて来たこの命というギフトがまた未来へ引き継がれるのです。
どうか、どんな時も自分を信じて、未来を選択して行ってね。

夢を見てたのかな。それとも僕の想像?
魔法のようなギフトはもらえなかったけど、なんだかとってもうれしい気持ちになった。
あー大きくなるのが楽しみになっちゃった。

#創作童話 #ショートショート #ハガキ

サポートは活動の励みになります!ありがとうございます😊いただいたサポートは恩返しではなく恩送りとして循環させていただきます〜✌️