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ちょっといいですか?

電車の向かいの席に母と子が座った。
年長さんくらいか?子どもが、お母さんからゲーム機を手渡されて、操作し始める。
目とゲーム機との距離がかなり近い。
首が真っすぐになっている。
肩周りにぐっと力が入って、腕にも手にも力がこもっている。
見ていて何だかハラハラする。
この子の目は体は脳は大丈夫だろうか?

およそどのデジタル機器の画面に表示される映像も、ヒトの体にとっては不自然な刺激であり、ストレス源となる。
体内のストレスシステムが作動し「闘争するか逃走するか」のモードとなる。
脳内では、より本能的な領域へと血流が分配され、ヒトらしさを担う領域への血流は減る。
目そのもの、体そのものにも異常なストレスがかかる。
ましてや、まだ未成熟な子どもへの影響は大きい。

子どもは喜ぶし、集中して静かにしていてくれる。
大人は助かる。
けれど、その利用によって体内で脳内で何が起きているのか?
何が損なわれ、何が育まれないのか?
お母さん、お母さん、ちょっといいですか?と話しかけたくもなる。
どうか知ってほしい、と願わずにはおれない。

次の停車駅のアナウンスが流れ、子どもがゲームを止めてお母さんに手渡した。
母と子で笑いながら話している。
ホッとする。
どうぞ生身の人と関わり、心身健やかに育っていきますように。