見出し画像

我慢は美徳なのか?

新年度となり、あちらこちらで入社式が行われている。

社会人になる前はよく大人に言われた。「我慢しなさい」と。

我慢、我慢、我慢をし続け、耐え抜いた先に必ず栄光を掴めると。まるでスポ根丸出し(笑)。今こんなこと言ってると天然記念物級の迷言かも。若い人にはあまり知られていないと思うが、連合艦隊司令長官「山本五十六」にこんな名言が残されている。

苦しいこともあるだろう
言いたいこともあるだろう
不満なこともあるだろう
腹の立つこともあるだろう
泣きたいこともあるだろう

これらをじっとこらえていくのが男の修行である

う~ん。なんて言い名言だ!僕も昭和生まれの人間だ。令和の時代においては不寛容な昭和や平成の価値観には、ある程度免疫があるし、男はこうあるべきだと思っていた。しかし今は違和感を感じる。

苦しいこともあるだろう➡逃げればいいじゃん
言いたいこともあるだろう➡言えばいいじゃん
不満なこともあるだろう➡言えばいいじゃん
腹の立つときもあるだろう➡怒ればいいじゃん
泣きたいときもあるだろう➡泣けばいいじゃん

今は素直にこう思う。勿論時として、我慢や耐えることは必要だ。しかし「我慢」の名の基、今までの日本社会は個人の感情や意見を抑圧してきた。学校でも会社でも。結局重宝されるのは、素直に先生の言うことを聞く子、上司の意見に「イエスマン」の部下。それ以外の者は排除される、モノ申すことは許されない日本特有の「空気を読む」文化が発展した。そういや「KY(空気読めない)だな」と言われたこともある。結構だ。その歪んだ文化が組織の隠蔽体質を助長させたと言っても過言ではない。要するに臭い物には蓋をする。その象徴たるものが昨今、唖然とさせられる企業の不祥事。更に遡れば、旧日本軍であろう。ミッドウェー海戦以降、戦局が悪化し、もう敗北は明らかにもかかわらず降伏という選択を認めない空気が、多数の犠牲を出してしまった…

我慢することや空気を読むことは、組織の体質に影響を与えるだけではない。人間の精神衛生上にも良くない。喜怒哀楽とは人間が本来備えている感情であり、それを抑圧することは「人間らしさ」を奪っている。因みに2017年にWHOが発表した、うつ病などの精神疾患についての報告で、アジア太平洋地域では中国に次いで2番目に日本が多い。中国のように共産党一党独裁で抑圧された体制ではないが、企業等、組織の風土が影響している。

「我慢しなさい」だの「耐えなさい」だの「空気を読めなさい」だの。そんな戯言をまともに受けてたら身が持たなくなる。いい使い物にされるだけだよ。感情を押し殺して自分らしくいられないなんて、何のための人生なの?

嫌なものは嫌
できないことはできない
おかしいことはおかしい

自分に素直になったほうが楽だ。新社会人を観て感じた今日この頃である。

~人間の唯一の義務は、自分であること~
                       デヴィッド・シーベリー