朝夢にどね 2023/08/29

 いかにしてバイト中に眠るかということばかり考えている。暫定でもっとも良いのは両肘をついて両手で顎を支える、いわゆる恋する乙女の構えである。船を漕いでしまわない安定感はもちろんのこと、添えた両手で目の横あたりを覆ってしまえば、正面のPCと合わせて視野角200度をすっかり埋めてしまえる。閉じた瞼は誰からも発見されず、なんか気持ち悪い格好で画面に見入っている男がいるなぁ…に留まるという寸法である。唯一危惧すべきはPC画面の自動スリープだが、こちらも抜け目なく設定変更してある。かくして私は時給の発生する安眠を得た。こんな事を考えている場合ではないのだが、自由と引き換えに賃金を得ているわけだからしょうがないじゃないか。どうせ拘束されるなら少しでも良い時間にする、それがせめてもの落とし所ってもんだろう。

 関西に6年住んでわかったのは、関西人は笑うための場作りが上手いのであって、別におもしろいわけではないということだ。フリボケツッコミの構造を意識して雑談が進むから笑うべきところが明確に区切られている感じはするが、それぞれのクオリティは必ずしも高くない。たとえば、おばさんAが「やっぱ真面目にやるとしんどいなあ」と言い、おばさんBが「そんなん言うたらピンピンしてる私が真面目ちゃうみたいやんか」と答える。これで笑いが起こるには起こるが、内容は特におもしろくない。おもしろくないから悪いかというとそれはまったく的外れな話で、たのしくやろうとしてるその心が良いのだ。その心、たのしくやろうとしてるね!?である。ちなみにおばさんABはバイト先に実在している。
 西を持ち上げると東が下がったような気がしてしまう難儀な人もいるだろうから補足しておくが、関東風の、上手に包んだ悪意をぼそっと言うやつもかなり好きです。

 このところ毎朝ちいかわラッピングトレインに押し込められて出勤している。今朝の運転手はハチワレだったと思う。実装されてからしばらく経つにもかかわらず終点梅田ではカメラを向けた人たちが待ち構えていて、なんだか誇らしいようなバカらしいような気持ちになる。以前ミッフィーが運転手を務めていたときにも思ったことだが、これから勤労する人間をぽてんとしたぬいぐるみが運ぶ構図は滑稽ゆえに救われる。自分の苦痛を良い意味で矮小化することができる。ハチワレに乗せてもらったんだし、と諦めがつくのだ。今後もおぱんちゅうさぎとかまるっちとかたべっ子どうぶつのゾウとかが運転してくれたら嬉しい。ただチョッパーだけは赦さない。チョッパーが置いてあった日には阪急に苦情を入れてやる。ギノ゛ゴじゃねンだわ!


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