トラ・トラ・トラ 2023/11/05

 友だちに誘われてスポーツバーに来た。喫煙所やトイレでこれを書いている。

 野球はとても面白い。アウトへのゲージが33%ずつ溜まっていく感じ。誰の何がいつどのようにすごいのかわからない自分でも、今度はいけるか、今回はダメだった、次がんばれ、まだいける、ああ残念、ずっとドキドキする。
 スポーツバーはドキドキを増幅する。きっと球場もそうなのだろう。同じタイミングあるいは真逆のタイミングで一喜一憂する他人と空間を共有して雰囲気の大蛇に呑まれる。大蛇の一部となる。然して祭りの気持ちよさを感じる。

 逆接前の肯定部分じみた書き出しで予想できたこととは思うが、実はいま、スポーツバーの本領をおもうさま享受できていないのだ。私の気質が大蛇になることを拒んでいるというか、大蛇への反抗意識がたしかにあるのだ。
 アーティストは好きだがライブは好きじゃない。スポーツ観戦は好きだがスポーツバーは好きじゃない。盛り上がってる雰囲気は好きだが盛り上がるのは好きじゃない。当事者になりたくない無責任な消費者意識が、この場を盛り下げるマイナス要因として働いてしまっているのではないかと、常にうっすら申し訳ない。では盛り上がればよいではないかという話だが、私はそれほど阪神に入れ込んでいない。気まぐれに「楽しそうだから」で来るには一体感を要求されすぎる場だ。まあ誰も要求していないのだが。

 とまぁ、ここまで書き連ねた自分の非は体感3割ほどで、実際はさまざまに対する嫌悪感が残りの7割である。あまりネガティブなことを書いても気が悪いとおもうので抑えるがいくつか抜粋して書く。
 たとえば大蛇の話で言えば、なにかこう自分の手で大蛇を作り上げようとする無粋な輩が多い。モニターに背を向けて客席を煽り、時に気の利いた(利いてない)ユーモアで笑いを誘い、とにかく意識的に大蛇を顕現させようとするお調子者の多いこと。「掛布!掛布!いや古いかw」帰ってくれよ。俺あんましらんけどたぶんお前つまんないよ。
 あとはナンパ。お姉さん一人ですか?お姉さん阪神すか?がひっきりなしに聞こえてくる。本当に勘弁して欲しい。阪神応援にかこつけんな。

 タバコをたくさん吸って、お酒を飲んで、好プレーで拍手するくらいしかできず、誘ってくれた友だちには申し訳無さしかないが、先述した通り野球は面白い。せめて我が内で盛り上がって、喜びたいなとおもう。


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