2022/08/26 リゾバ1日目

・馴染みある物がほとんどない空間に泊まるのって意外と疲れるな、と思いながら起床。自分の家よりも硬いベッド、暗い壁紙、高い天井、白い電灯。体も少しこわばっている。落ち着くにはまだちょっとかかりそうだが、一ヶ月もあるんだし気長に慣れていこう。ただ窓の外から聞こえるせせらぎの音だけは新鮮かつ心地よい。

・いままで「いつもおなじ」という安心感を享受していたことに、非日常になって初めて気づく。私のいちばん好きなひみつ道具、ありがたみわかり機とまったく同じだ。愚か者は一度失わないとありがたみを認知できない。私にはドラえもんがついてないから、こうして非日常が降りかかったタイミングで偶然的に気づくのだ。私は私の部屋がとても好きだったんだな。

・ふと、キャリーケースの隙間にすぽっとはめ込んできたピンクのくまのぬいぐるみのことを思い出した。取り出してみるといつもと変わらぬふにゃけた顔で遠くを見ている。コイツをなにげなく机に置いたら、ことのほか大きな治癒効果があった。「いつもおなじ」を形作っていたものを再現したことで、少し安堵したのだろうか。

・そういえば私の部屋では延々とオモコロチャンネルが流れているので、これは試さずにはおれまいと思い流してみたら、笑ってしまうくらいスーッと落ち着いた。「実家のような安心感」っていままでピンと来てなかったんだけど、完璧に体感できてしまった。これのことだったのか。


・仕事は今日が初出勤。8:00〜12:00と17:00〜20:00みたいなシフトで、正直全然疲れない。今日は小鉢をめっちゃ盛り付けたりてんぷら粉をまぶしたりするだけの簡単なお仕事だった。料理人のドラマで唯一俳優自らできるシーンみたいで、ちょっと楽しい。


・人間関係はちょっとだけ複雑かもしれない。基本みんないい人なんだけど、料理長が2週間前くらいに変わったばかりらしくて、他の社員とのあいだに壁を感じて気まずい。私が来るまでの2週間、料理長がずっと休みなしのワンオペで調理場をまわしてたらしい。そりゃ社員もかける言葉ないわな。関係ないけど「基本みんないい人なんだけど、」から人間関係の話始めるのってめちゃくちゃおばさんみたいですね。

・でも話してみればお茶目で親切でステキな人なんです。「まだ11:00だけどシフト表には12:00って書いとくから」「ホッケ余ったから持っていきな」「お前酒飲むか?あとで部屋まで大五郎届けてやる」なんてことを言ってくれるほんとうに素敵な料理長なんです。


・長めの昼休憩には、広くて泉質の良い温泉に入ったりミストサウナで整ったり雪くらいつめたい水風呂で体を痛くしたり清流を見ながら外気浴したり宿の周りを歩いてみたりバッタに怯えたり部屋でゲームしたり本を読んだりお昼寝したりした。いいの?これ毎日タダでやっていいの?ほんと?あとで法外な請求きたりしない?

・最高の休憩とオモコロチャンネルと原神(最近デッカいアプデが来て、面白すぎる)のおかげでメンタルは維持していけそうな感じがする。体力も問題ないし、あとは慣れれば慣れるほど上がっていくはずだ。大量に皿を割ったり寝坊したりしなければOK。まあさすがにそんなことしないでしょう。


・今日はまかないにフルーツがいっぱいあったから「パイナップル全部食べていいですか!?」って聞いて、パイナップル全部食べた。「いいねぇ若くて!食べっぷりがいい!」と喜ばれた。コミュニティにおける最年少としてただしい振る舞いだったと思う。や〜なの!明日からもフルーツ全部食べてやろ。


・Wi-Fiないのめっちゃキツくないですか?みたいな話を寮の人にしたら「おれ通信量無制限だからテザリングしていいよ」とパスワードを教えてくれた。なんて親切なんだ。


・かくして1日目がおわった。いろんな人と話してみて、道外から転職してきた人がほとんどであることがわかった。みんなゆっくり働きたいという気持ちがあるらしく、君もそんなに張り切らないでね、とありがたい言葉をかけてもらった。無理せずのんびり働いて、リゾバをより甘く実らせよう。

・とりあえず今からホッケと大五郎でひとりお疲れさま会をして英気を養います。明日からもがんばるぞ!

p.s. もらった手前言いにくいけど、大五郎ほんとうに不味くて笑ってしまった。工業用アルコールに少しだけ甘みを加えたみたいな味がする。1リットルくらいあるんだけどどうしよう。

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