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真空管サウンドのオルタナティブ  ――②ジャズコーラス

これまで、真空管サウンドはもちろんいい音なのだけど、それを用いない、ほかのオルタナティブを考えてみようという趣旨で書いてきました。
「よい音」に真空管は必要なのか?
という記事で問題提起を行い、
真空管サウンドのオルタナティブ  ――①ダイレクト・イン
でひとつめのオルタナティブを紹介しています。

やっぱりJC-120?

やはり、トランジスタアンプの雄、JC-120を筆頭にしたジャズコーラスを取り上げないわけにはいきません。
JC-120といえば、「JC対策」「ジャズコ対策」という言葉から察せられるように、日本中のスタジオにあり、最も嫌われているアンプであり、最も愛されているアンプかと思います。
ちなみに、「JC対策」「ジャズコ対策」とは、要するにトランジスタアンプであるJC-120でいかにうまく真空管っぽい音を出すか、という問題への解法を指します。
そのため、本記事では真空管サウンドを志向するものとして、それらの「対策」は取り上げません。
今回は、真空管サウンドとは異なる、JC-120のトランジスタアンプらしいサウンドを紹介したいと思います。


King CrimsonのAdrian Belew

例えば、King CrimsonのDisciplineをJC-120でレコーディングした、とAdrian Belewが語っています。

(Spotifyから消えているため、試聴不可になりました。申し訳ありません。各自検索してみてください。)

King CrimsonのAdrian Belewについては詳しくないのですが、上記アルバムを一通り聞いた限り、一見エレキギターではないような、エフェクティブなサウンドが有名なのも頷けます
しかし一方で、7曲目のDiciplineでは機械的にも感じるポリリズムのギターのサウンドもかなりカッコイイのではないでしょうか。
プログレッシブロックといえばKing Crimson、なるほどなぁ、という感じでしょうか。

King Crimsonにかんして、Robert Frippをとりあげないとは如何なることか、という声がある気がします。
後期にはJC-120を愛用していたという話もあるためもっともなのですが、今現在、私が手に入るオフィシャルなソースでRobert FrippがJC-120について語っているものがないため、取り上げておりません。


INCOGNITOのBluey

他にも、IncognitoのギタリストであるBlueyはJC-120の愛用者として知られています。
彼は、アンプのキャラクターを抑え、ギターのキャラクターを出すために、JC-120を用いているようです。
彼のインタビューによれば、ライブでは78年以降、JC-120を常に使用しているようなので(2017、『ギターマガジン 1月号』リットーミュージック: 52)、ライブ盤を貼っておきます。

IncognitoのBlueyは、ピュアなクリーン・サウンドを基本としたファンキーで仕事人のようなカッティングによるバッキングが特徴的です。


JC-120とは?

JC-120という異常に普及しているアンプに対してサンプル数が少ないのは否めませんが、JC-120の特徴は、入力されたものをそのままアウトプットするかのようなピュアなクリーンだと思います。
だからこそ、ギターの個性を出したいBlueyや、エフェクターで独自のサウンドを構築したいAdrian Belewが用いたのではないでしょうか。
ジャズコーラスのクリーンがいかにピュアかという点については、『ギターマガジン』2017年1月号や、Rolandのページを参照していただければ、多くの方が語っているのを目にすることができるかと思います。

JC-120はギターやエフェクターの個性をもとに自分のサウンドを構築したい、という人にはうってつけのアンプだ、と結論付けることができるのではないでしょうか。

次回、ライン録りの考察です。

全体の構成

問題提起

オルタナティブ① ダイレクト・イン

オルタナティブ② ジャズコーラス

オルタナティブ③ ライン録り

結論

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