生成AIの業界構造と活用領域の概要

初回の投稿は生成AIに関してです。この業界は直近では各企業が導入を進めたり、米スタートアップが巨額調達したりと話題になっています。しかしまだまだ情報が少なく、意外に全体像は掴みにくいのではないかと思います。今回は業界を俯瞰的に見ることで、今後の投資検討や事業推進の際の背景情報としてお役に立てばと思います。

まずは全体像です。この理解にはa16zの図解が役に立ちます。

まず上層の水色のアプリケーションのレイヤーがきます。これは各企業やスタートアップ等が様々なサービスを提供しているレイヤーです。

そして真ん中の青のモデルのレイヤーです。ここがコアとなる部分で、スタートアップが巨額な調達を進めたり、大企業は自社でモデル開発したりと、大きく話題になっている部分となります。プレーヤーは以下のような企業です。
スタートアップ:Open AI、Stability AI、Hugging Face、Cohere、Anthoropic等
自社モデル開発:Google、NTT、NEC、ソフトバンク等

最後に濃い青のインフラのレイヤーです。ここは二つに分かれていて、上層部がクラウドで、下層部がチップの部分です。このレイヤーが業界の発展の利益を大きく享受しており、モデル作成を担うスタートアップが調達した8-9割がクラウドに使われ、クラウド各社は大規模な設備投資を進め、そこで生成AI用のチップが必要となるためシェア8割以上のNvidiaが大きく成長している、というような状況です。
クラウド:Azure、AWS、Google
チップ:Nvidia

この構造を少し解説すると、サービスのレイヤーでは新サービス提供や業務改善の文脈で各社活動を進めています。その裏ではOpen AI等のモデル企業が稼働しています。そのモデルのレイヤーではサービスに合うように最適化されたモデルの開発、学習が進められており、日々膨大な処理量のトランザクションが発生しています。そのため、クラウド各社へのサービス使用料の支払いが巨大となる構図です。そしてクラウド各社は、生成AIブームの需要増に対応するためにデータセンターの拡張を続けており、そこへのチップが必要となり、Nvidiaが生成AI特需を享受し、時価総額はAmazonやGoogleに近づいてきています。

次はアプリケーションについて解説します。ここではセコイアのレポートが理解に役に立ちます。生成AIというとText機能のChatGPTのイメージが強いですが、他の機能でも活用が期待されています。Textの次に左からCode、Image、Speechと続いています。サービスの実例としては以下のような形です。

Text(ChatGPT等):文章作成、要約、翻訳、コミュニケーション(chatbot)等
Code:プログラミングコードの自動作成、確認等
Image(Stable Diffusion等):映像作成、編集等
Speech:文字起こし、議事録作成、音声編集等
Video:動画作成、編集等
3D:3Dモデル、デジタルツインの作成等

上記のような機能をベースに、以下のガートナーのレポートが示すように、あらゆる産業、業務領域での実装を目指したサービス開発、実証が進んでいます(自動車、メディア、エネルギー、ヘルスケア、製造業、製薬等)。

こうして話題の生成AI領域ですが、変わらず米のBig techに資金が流れる構図が続いており、次の世代でも引き続きテクノロジーの最先端をリードするのではと言われています。今回は全体像把握のための解説でしたが、また実際の活用事例や、関連各社の動向等ご紹介していければと思います。

出典
https://a16z.com/2023/01/19/who-owns-the-generative-ai-platform/

https://www.sequoiacap.com/article/generative-ai-a-creative-new-world/

https://www.gartner.com/en/articles/beyond-chatgpt-the-future-of-generative-ai-for-enterprises

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