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【ピアノと白内障 #2】多焦点眼内レンズ選択に悩む

前回からの続きです。

白内障手術で入れる眼内レンズを選ぶ際、ピアノの演奏で必要な見える距離を考えてみます。

譜面台(アップライトピアノ)・・・40cm
譜面台(グランドピアノ)・・・50~60cm
直下の鍵盤・・・30cm
両端の鍵盤・・・60cm

つまり、30cm~60cmくらいの距離をメインで見えてほしいわけです。PCの大型ディスプレイ(60cmくらいの距離)を長時間見て作業する私の仕事とも合ってます。

でも、一生に一度のチャンスなので近視を治したい。遠くを裸眼で見たい。。。昨今の震災などをかんがみ、眼鏡もコンタクトも使えない状況になったとき強度近視のままだと不安な面もある。。。

するともう、近く、中間、遠くにピントが合う多焦点眼内レンズを選択するしかないわけです。お金はかかるけど。

白内障手術にかかる費用

白内障手術にかかる費用というのは結構幅があります。生々しい話なので、あえて私らしくピアノに例えて💣、価格(両目手術の場合)を書いてみると、

単焦点レンズ(保険診療)・・・エントリーモデルの電子ピアノくらい
多焦点レンズ(選定療養)・・・ミドルレンジのアップライトピアノくらい
多焦点レンズ(自由診療)・・・エントリーモデルのグランドピアノくらい

片目手術の場合はこれの半額になります。選定療養というのは手術代は保険診療と同じだけど、レンズ代は自費で出してね、というものですね。自由診療は全部自費。

多焦点レンズはかなり高額に見えますが、若い人も最近LASIKICL(眼内コンタクトレンズ)をやる人が増えていて、それと価格帯も似ています。コンタクトレンズや眼鏡の費用の元が取れるという考え方もできるので、そんなに驚くことではないのかもしれません。

多焦点眼内レンズの種類

調べてみると多焦点眼内レンズはたくさんありすぎて全部なんて調べきれませんが、人気のあるものは選定療養で使える数種類に絞られているような印象です。

例えば、選定療養で使えるレンズで人気があるのは2つ。

クラレオン パンオプティクス(スイス・アルコン社)
 40cm、60cm、∞にピントが合う3焦点レンズ
テクニス シナジー(米ジョンソン&ジョンソン社)
 33cm~∞までの連続焦点型レンズ

コンタクトレンズでも有名な大企業のレンズですね。

性能面だけ見て、シナジーが一番よさそうだなと思ったのですが、病院で多焦点レンズ選択のカウンセリングを受けると、ハローグレア、スターバーストなどの異常光視症がいちばん強く、連続焦点と言っても60cmくらいの中間距離の見え方が弱い、とデメリットをはっきり言われました。

(※カウンセリングではスターバーストの例として、放射状に広がったギラギラした光の写真を見せられ、あまりのすごさにビビりました。あと、自分で有名なクリニックの白内障手術症例集を調べてみたところ、ピアノ講師など音楽家の例で、同様に60cmの中間距離におけるシナジーの不満例が載っていました)

そうすると60cmに焦点のあるパンオプティクスの方がいいのかな。。。でも回折格子を使う多焦点眼内レンズは多かれ少なかれハローグレアは発生はするというし。。。

ならば、異常光視症が少ない自由診療の高性能レンズ、例えば5焦点レンズのインテンシティとか、EDOF(焦点深度拡張型)レンズのミニウェルレディを検討したほうがいいのだろうか。。。でも、自由診療のレンズは国内未承認で自己責任だから、ちょっと怖い。。。

カウンセリングを受けたのに決め手がなく、決断できなくなってしまいました。。。

期待の新型レンズの採用を待つことに。。。

カウンセリング後もいろいろ調べながら時間ばかりが経っていきましたが、そうこうしているうちに2023年夏に期待の新しい多焦点眼内レンズが選定療養として承認されることがわかりました。

アルコン社のクラレオン・ビビティ(Clareon Vivity)です。

自由診療のミニウェルレディくらいしか例がなかったEDOF型(焦点深度拡張型)レンズで異常光視症はほぼなく、コントラスト感度も単焦点レンズ並みとのことです。

今まで主流だった回折格子を使う多焦点眼内レンズは、いわゆる遠近両用コンタクトレンズと似たような見え方になる、つまり光が分配されてコントラスト感度が落ち、いまいちスッキリした見え方にならないと言われています。

いろいろ調べているうちに、中間距離の見え方やコントラストなど見え方の質を重要視するようになり、多焦点眼内レンズのなかではビビティが自分にいちばん合っているのではと思えてきました。

欠点は近方視力が弱く、連続して焦点が合うのが50cm~∞であるところ。40cmくらいでも0.6くらいの視力は出るそうですが、仕事で細かい字などをくっきり見るには老眼鏡が必要になりそうです。

ただ私の場合、もともと14cmに顔を近づけないとよく見えない強度近視なので、30cm~∞(無限遠)までほぼすべての距離で眼鏡が必要な生活。これが遠くがよく見えて、中間距離のピアノの譜面やデスクトップPCがまぁまぁ裸眼で見えて、それより近い距離(30cmの文庫本とか)や、より細かい文字をくっきり見たいときだけ老眼鏡で済むのなら、あまり苦にはならなさそうです。

そう決心して、今見てもらってる病院がビビティを採用するのを待っていたのですが、全然、採用される気配がない。。。

左目はもうほとんど見えなくなっていて、なにか物が動けば、動いたことがわかるくらい。さすがにこれ以上の放置はヤバイと思い、今の病院には見切りを付けて、ビビティを採用しているほかの眼科クリニックを探す決心をしました。

(長くなったので次回に続きます)

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