講師経験から考える、塾と家庭教師のメリット・デメリット1/2

よくある量産型の記事のタイトルみたいになって嫌だなぁと思いつつ書いているのですが、私は前の記事で書いた通り塾講師と家庭教師の経験があります。
改めてバイトのことを思い出して、「家庭教師、保護者にとっても学生にとっても最強では?」と思ったので、その理由についてまとめてみます。

塾か家庭教師か悩んでいる保護者の皆様、バイトを塾か家庭教師か決めかねている学生の皆様の役に立つ記事となれば幸いです。


◼︎家庭教師のメリット

まず、保護者にとってのメリットは、

*子どもの送り迎えの心配がない
*家で子どもを見ておいてもらえる→自分の時間ができる
*指導日の振替がしやすい

ということ。
続いて学生にとってのメリットは、

*靴下やストッキングを履いていれば私服OK
*指導日の振替がしやすい(=試験、旅行、帰省や卒論などを抱えているとき、日程を融通してもらいやすい)

ということでした。
私は「私服OK」という家庭教師のメリットがかなり大きいと感じていました。私服OKの塾もありますが、ビジネスカジュアルを求められたりと家庭教師よりは制約があるようです。

以下で、塾と家庭教師を独断と偏見と個人の経験に基づいて比較してみたいと思います。あくまでも個人の意見なので、ご参考までに。主に「小学校高学年〜中学生向け」を想定しています。

※塾については、多くの大学生が選ぶであろう「個別指導」を前提にお話しします。集団指導の経験はあいにくありません。


◼︎塾と家庭教師の比較──保護者の場合

まず、塾のメリットを。

*信頼感がある、講師とのトラブルがあった場合、経営会社や経営者に対応してもらえる(講師対生徒のトラブルの時に第三者に入ってもらいやすい)

*講師を選べる、講師と合わない時は変えてもらえる(小規模な塾以外は大抵複数人講師がいるので、「この先生は無理」となったら塾長・教室長などに相談すると講師を変えてもらえます)

*複数人に指導に関わってもらえる(指導計画・報告など、複数の目でチェックする体制が塾にはあります。生徒がこんな悩みを話していた、などという情報も複数の講師が共有している場合が多いと思いますし、いじめなど深刻な場合は塾長・教室長にも報告が行きます)

*教材がしっかりしている(大手の場合は独自教材あり、個人経営の場合でも少なくとも素人の学生が選ぶよりは適切な教材が選定されている可能性が高い)

*友人と通うことで切磋琢磨できる(競争して伸びる子には特によい)

*模試などを受けさせてもらえる(場合が多い)

*受験情報・進学情報がもらえる

そして塾のデメリット。

*送り迎えの心配がある(やんちゃな子だと塾が終わってから友達と遅くまでダラダラしゃべったり、最悪の場合行方不明になることも…)

*どのような授業が行われているか保護者が把握しづらい(塾や担当講師によってはひどい場合も…素晴らしい場合もあるけれども)

*夏期・冬期・春期講習や模試などでまとまったお金がかかる(塾は長期休み中の講習でたくさん授業を取るように勧めます。そう思ったのは高校の時に通っていた予備校で、だったりするのですが)

*家庭教師ほど気軽に振替ができない(個別指導塾は振替対応してくれるところも多いと思いますが、いつも担当してくれている先生がいいという場合などは講師の都合で難しかったりも…)

塾は個別指導塾であっても組織的に指導を行うので、それゆえのメリット・デメリットといったところです。「同じ部活の友達と行くなら勉強しようかなという気になる」という子ども、「とにかく他の生徒をライバル視することで努力する」子どもには塾が向いているように思います。

また、個別指導塾は生徒にあったペースでどんどん勉強させるスタンスのところが多いため、「学校では良い成績をキープしているが、集団指導塾に通う時間・気力・バイタリティーがない」という生徒にオススメです。その子に合ったペースで、場合によっては学校よりも速いスピードで授業を進めてくれますし、難易度の高い教材も塾側で用意してくれることでしょう。

ただ、送り迎えトラブル(授業は終わったはずなのに子どもが帰ってこない)が発生しやすいのは事実です。特に中学生に多いのではないかと推測します(体感ですが)。
これに関して、私が子どもの時に通っていた塾では最寄り駅まで講師が送り迎えしたり、お迎えが来るまで生徒を待たせたりという対策を取っていました。
とにかく、子どもは「夜に外を出歩く」というだけでテンションが上がってしまう生き物なので、注意が必要です。

塾内での生徒間トラブルもありますし、恋愛沙汰もあります(それはそれで微笑ましいのですが)。が、それよりも「違う学校の生徒と塾で仲良くなって、テンションが上がる」子どもの方が保護者にとっては扱いにくいのかもしれません。

長期休み中の講習については、私も高校の時に通っていた塾や予備校で「え…そんなに取らなきゃダメ…?」と思っていました。さすがにもう高校生だったので、自分の判断で塾が勧めるよりもだいぶ少なめに受講しましたが、小学生・中学生の場合はそのあたりの判断が保護者に委ねられることになるかと思いますので、要注意といったところです。

そして、家庭教師のメリット・デメリットをもう一度細かく見てみましょう。
まずはメリットから。

*家まで来てくれるので子どもを送り迎えする必要がない(塾で問題になる送り迎えトラブルを完全に回避)

*家庭教師が家の中でベビーシッターの役割も果たしてくれるので、自分の時間が作れる

*1対1でじっくり見てもらえる、家庭教師と生徒の関係を築きやすい(学校の宿題が切羽詰まっているときはそちらの指導を急遽お願いしますということも可能だし、こういう指導をしてほしいという要望も言いやすい)

*保護者も指導の様子を近くで観察できるので、どのような指導が行われているか把握しやすい

*指導日の振替は講師との相談次第で気軽にできる

*長期休み中の指導は家庭教師との相談次第で指導日を増やしたり指導科目を増やしたり、フレキシブルにできる

そして家庭教師のデメリットです。

*トラブルになった時、第三者に入ってもらうのが大変(斡旋業者を通している場合でも、業者に連絡するのは手間ですしね…)

*講師と合わなかった時、代わりを探すのが大変

*教材選定が素人仕事(これに関しては塾の方が上手だと思います)

*指導の場所を提供しなければならない(家を掃除しておく必要あり。家が狭いと大変かも)

*受験情報・進学情報を提供してもらいにくい(これに関しても塾の方が数枚上手です、ただし近所の塾でバイト経験がある家庭教師、地元出身の家庭教師は受験や進学に関して詳しい場合もあります)

*模試を紹介してもらえない

家庭教師は斡旋業者を通す場合でも基本的に「家庭教師個人対家庭」で契約するため、トラブルが起こった時など代替の講師を探すことは難しくなります。

しかし、家庭教師と良好な関係を築ければ、家に来てもらって勉強を見てもらえる、学校生活の現状と相談しながら指導してもらえる(学校でテストがぜんぜんできなかったというときはそちらの復習を授業内ですることも可能)、そして「ベビーシッターの役割を果たしてもらえる」という点が重要だと思います。
小学校高学年から中学生ともなると、女子は体も大人並みになりますが、まだまだ子ども。手がかかるのが現実だと思います。そんな子どもを家庭教師が1時間半〜2時間でも相手をしていてくれるのはありがたい話ではないでしょうか?

そして、「送り迎えトラブル」を完全に回避できるのはよりありがたい話ではないかと思います。「送り迎えトラブル」と「家の中を掃除しておく」という手間を考えたらどちらが大変かというのはご家庭によるとは思いますが。

そして、塾では必ず提供される模試情報と受験・進学情報ですが、模試に関しては中3で高校受験が見えてきたころに学校経由で受ければいいのでは?という気もします。
受験・進学情報については、たまたまその地域で塾講師の経験がある家庭教師に当たると、塾で高校の難易度や入試の形式などしっかり覚えているので、塾並みの情報を提供してくれる場合もあります。また、地元出身者は自身がその地域で受験を経験している(それも数年前)ため、高校受験についてよく把握しています。
こればかりは運というところでしょうか。

家庭教師は「家に来てくれる」「1対1指導」なので、じっくりとお兄さん・お姉さんの立場で指導をしてほしい小学生や、あまり塾で多くの人と関わりたいと思えない内気な子ども、学校での勉強についていけないので、学校の教科書と宿題を中心に見てほしい子ども、さらには夜に塾に行かせるときちんと帰ってくるかわからないやんちゃな子どもにオススメしたいと思います。
やんちゃな子に家庭教師がお兄さん・お姉さん的ポジションで接したら、その子が家庭教師のことを好きになって良好な関係が築けるかもしれないですしね。

◼︎塾、家庭教師、そして地域

塾と家庭教師の仕事に従事する学生は、地域に左右されがちであることは否めません。というのも、有名大学の近所にはその大学に通っている学生がどうしても多いからです。東京23区や大阪市だとまた事情は別かもしれませんが。

周囲の友人たちの話を聞く限り、やはり近くに大学がある地域はその大学の学生が塾でバイトをする場合が多いようです。私の通っている大学の近所もそうですし、「有名大学の近くの塾はその大学の学生が講師をしている可能性が高い」とも言えます。
逆に、近所に大学がない地域だと、実家から大学に通っている学生が講師としてバイトをすることになりそうです。

家庭教師の場合だと、近くに大学があると家庭教師が飽和気味になるようです(おそらく郊外のことだと思います。都心部はその限りではないのかも)。逆に、近くに大学のない地域や地方だと、家庭教師を探すことそのものが難しくなりそうです。

東京23区は「大学が多すぎる」「学生が大学の近くに住んでいない(家賃が高すぎるから)」という理由で、また違った状況が予想されます。あまりわかりません。
大阪市内については、大阪市内に有名大学・大規模な大学は少なく、そういった大学は大阪府の郊外や京都・神戸に位置している場合が多いため、大阪市から大阪府郊外・京都・神戸に通っている学生のみならず、「大阪市以外から、大阪市を経由して大学に通っている学生」が塾・家庭教師に従事する場合があるのではと予想しています。塾と家庭教師に限った話ではないかもしれませんね。


◼︎閑話休題──中東の家庭教師

別記事で「家庭教師と塾に従事する学生のメリット・デメリット」を述べて、まとめる記事を書こうと思ったのですが、閑話休題ということで中東の家庭教師事情を私の知っている範囲でご紹介したいと思います。

湾岸(カタール、クウェート、オマーン、バハレーン、サウジアラビア、UAE)などではその限りではないようですが、中東では学校の教師が食い扶持を稼ぐために家庭教師をすることが一般的であるようです。地域差はあると思いますが(詳しくはわかりません)。
自分が学校で教えている生徒の家庭教師をすることもあるのだとか。

イラン映画「別離」では、主人公の子どものところに学校の先生が家庭教師としてやってくるシーンがあります。家庭教師の様子がよくわかると思います。
非常に暗い映画ですが、私は好きです。混沌としたテヘランの様子も印象的でした(あれ、テヘランだったっけ)。

また、留学生が家庭教師を利用するケースもあるようです。私も留学するときに「家庭教師つければ?」と大学の先生から勧められましたが、寮生活だったため断念…
エジプトでアラビア語の家庭教師をつけていたという話は各方面で聞きます。どのような人を家庭教師につけるのか、聞いておくべきだった…(そういえば、昔その手の論文を読んだこともあった)


ということで、次は「塾・家庭教師のアルバイトをする学生向け情報」を書きたいと思います!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?