予防医学校舎教授室_7

テーマに合わせた服装の意図(7月17日更新)

クローズアップ現代に出演するにあたっては、各回のテーマを選定したスタッフと視聴者へのリスペクトを込めて、テーマに合わせた服装を選んでいます。多くのファストファッションでは、デザイン的な面のみが注目され、そこが模倣されています。しかし、ファッションデザイナーは、素材、色など様々な意味を服にこめて、デザインをしています。服にこめられた、表面的な意味を読み取ることも含めて、服を選ぶということも1つのスタイルだと考えています。今までは、実利の時代でした。しかし、多くの実利が人の力を借りずに、ロボットやAIの力で実現できる世の中になるにつれて、「意味」を与え、それを読み取ることも大事になるでしょう。一方で私が、服に意味をこめてると、謎かけだけ残して、気になるから答えを聞かせてほしいというありがたい声をいただきました。一緒に私が服にこめた意味を考えて、楽しんでくれる方が増えると嬉しいです。

今回の更新は、4月3日〜7月17日のものです。

1.食品ロスだけで暮らしてみた
写真では全く分かりませんが、World Food Program(国連世界食糧計画)がモチーフとなったシャツを着ています。シャツの代金の一部がWorld Food Programに寄付されます。背中には”Saving Lives, Changing Lives”というスローガンが書かれており、今回のテーマに近い内容です。

2.密着コンビニ店主24時
レザージャケットの3連リングに、コメントでも用いた“三方良し”の意を込めています。また“コンビニ三国志”(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの最王手3チェーン)とその連携の可能性としての“三本の矢”という意味でもあります。健全な競争も当然必要ですが、社会インフラと言われる部分は連携可能性もあるのでは、と考えています。

3.死に様指南
テーマの根幹である“生命の多様性”と“死”に寄せています。“生命の多様性”を様々な花紋様がパッチワークされたシャツで、“死”を宇宙モチーフのブルゾンで重ねています。宇宙は誕生を想起させるとともに、生命のスケールを超えて命がかえる場所や“無”というイメージもあると感じています。

4.ファンファーストで売上10倍
放送では宮田がFCバルセロナのファンであることを踏まえた発言をさせて頂きました。FCバルセロナのチームカラー、ブラウグラナ(カタラン語で青色とエンジ色)にちなんで、その2色のTシャツ、ゴムバンド(写真では見えません)を身につけています。

5.アーバンイノシシ物語
日本でイノシシが増殖するきっかけとなった1つがニホンオオカミの絶滅だと言われています。その狼をタトゥーデザインでモチーフにしたジャケットを着ています。

6.水汚染
水をモチーフとしたインナーをジャケットの中に着ています。これも写真では分かり難いですね。最初はインナーだけを着ていたのですが、ビシャビシャ感があるとの石井さんのコメントを受けて、上着を着ました。

7.追跡ネット広告の闇
これは写真では全くわかりませんね。スタッフの方々からも全く分からなかったと言われました。全く同じ格好をしているのがこの写真です。シャツが光と影をモチーフした柄になっています。

8.カスタマーハラスメント
メタリカのアルバム”Don’t tread on me”のアルバムジャケットがプリントされたTシャツを着ています。Don’t tread on meは直訳すると「わたしを踏んづけるな!」という意味であり、理不尽なクレーマーに対するメッセージとなります。

9.マンモス復活
番組で登場したクローン技術に対応させて、ブレードランナーモチーフのスウェットを選びました。映画ブレードランナーのロゴと同じ書体で、Replicant(クローン人間)と記載されています。クローン側が自らの存在理由を問う、という映画のテーマと番組における、クローンペットの倫理は重なる部分があります。写真に写っていませんが、お腹のあたりにぼんやりとした人影が2つプリントされており不気味なスウェットです。正直普通の文脈のファッションアイテムとして微妙ですが、まさかこんな場面で役立つとは思っていませんでした。

10.ノープラ生活やってみた
エシカルファッションの第一人者のステラマッカートニー(ポールマッカートニーの娘)に敬意を込めて、ステラマッカートニーのTシャツを着用しています。また番組では、番組ではSDGsという言葉を使わずに、SDGsの内容を説明せよというオーダーを頂きました。このSDGsが“世界を考える新しい視点である”、ということでNew Orderというバンドジャケットがプリントされたジャケットを着ています。今回は曲名に意味はなく、バンド名のみです。

11.サラリーマンが会社を買う
サラリーマンが会社を買うという行為を、利回り優先の投資として考えるだけでなく、“事業承継”として考えた方が良いのではないか、という視点を込めています。日本において“承継”を象徴するタスキを身につけています。これもこんな所で役に立つとは思いませんでした(2007年春夏シーズンのDior hommeのものです)。また事業の復活、再誕にかけて、パイソン柄が型押しされたレザージャケットを着ています。蛇は脱皮を繰り返すことから、復活のモチーフとして用いられます。

12.レイプドラッグ
被害者の方々の立場によりそって考える、ということを敬意として込める意図がありました。性暴力裁判への抗議としてのフラワーデモの意味をこめ、一輪挿しのTシャツ。Depeche modeの”Violator”のジャケット写真のTシャツですが、この曲自体もViolatorに対する怒りを表現しています。Violatorには強姦者という意味もあります。また女性への暴力の根絶を訴えるパープルリボンのブレスレットを身につけています。“このスタイルが当事者からみて、不快ではないか”ということを念のため、一緒に出演された性暴力被害の当事者でもある大藪さんにも伺いました。大藪さんくだらない質問をして大変恐縮です。

13.うつ病新治療法                          蝶々は、うつからの開放しています。うつ病の予防と治療を国全体および地域社会が推進するための多様な援助を提供する世界ベストプラクティスとしても知られているオーストリアのNGOであるbeyond blueという組織のロゴとしても使われています。また宮田が最後のコメントでお話したパーソナルリカバリー(一律の尺度だけで回復を考えるのではなく、1人1人の多様な生き方を尊重した支援を提供する)という概念に合わせて、様々な蝶々が羽ばたくTシャツを着用しました。また強くしなやかなこころ、という点からテントの素材のリメイク作られたブルゾンを着ています。

今後、出演の機会があるときは、テーマと合うストックがある場合はチャレンジしたいと思います。毎回、社会的なテーマときている服を関連づけるのは、なかなか大変ではありますが。。。

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