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アカペラバンドがパンクロックのライブイベントに出演してみた

☆この記事は、「アカペラアドベントカレンダー2020」の9日目の記事です。

◆アカペラアドベントカレンダー2020 URL
https://media.acappeller.jp/feature/8105/

☆前回の記事は12月7日、kazumaさん『「ボイパと芸人」の系譜』でした。是非ご覧ください。

突然のお誘い

 以前から僕は、「アカペラでオリジナルソングをやりたい」という思いで、少しずつではあるが活動をしている。その中の一つとして、今年の1月ごろから、レパートリーを全てオリジナルソングで構成する、Oca-boysというバンドを先輩方と結成して活動している。新型コロナウイルスが猛威を振るい、ライブイベントがほとんど開催されなかった2020年ではあったが、そんな中でも配信ライブや感染対策が徹底されたアカペライベントなどに参加させていただき、数人の知り合いから「オリジナルのバンドやってるよね!」と声をかけていただけるまでになった。今年の状況を鑑みるに、これだけでも十分活動できたと言えると思う。

 そんな中、少しずつ秋めいてきた10月16日、Oca-boysのTwitterアカウントに、こんなDMが届いた。

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 DMの主は、THE BARRELSというバンドのメンバーである、NOBUさんという方。アカペラではなく、楽器のバンド。パンク、ハードコアメタルの3ピースロックバンドだ。Oca-boysのTwitterを偶然見つけていただき、フォローしてくださっていたらしい。我々はまだまだ駆け出しのアカペラバンドなので、繋がりを広げるためにもフォローされたアカウントには基本的にフォローバックするようにしていた。

 そこで僕は気づいた。「ん?バレルズ?聞いたことあるぞ…」
 実は僕、新しいバンドや新しい曲を探すのが趣味の一つで、ジャンルごとに少しでも気になる音楽があれば、サブスクでダウンロードして聴いてみる、というのを日課にしていた。その中に、偶然THE BARRELSさんがサブスクに配信していたアルバムがあったのだ。まさか自分がいいと思って聴いていたアーティストさんから声をかけられることになるとは…

 NOBUさんのDMはさらにこう続いていた。

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 なんと、ライブの出演のお誘いをいただいてしまった。定期的に開催しているというオールジャンルイベント「PUNK DRUNKER'S PARTY」への出演依頼だった。
 実はOca-boysのメンバー内で、アカペラのライブイベントはもちろん、アカペラ以外のライブイベントにも出演してみたい、という話をしていたところだった。
 我々はこのお誘いに、一も二もなく飛びついた。

忘れかけていたライブの「LIVE」感

 2020年11月21日土曜日、ライブ当日。
 舞台は新宿御苑MERRY-GO-ROUND。

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 感染対策は万全。本来50人以上入るキャパは最高20人に抑えられ、マスク着用は必須な上に300円で各自1枚フェイスシールドを購入。観客からの声出しは禁止、演者はステージ上ではマスク・フェイスシールドを外すものの、消毒の徹底、接触確認アプリ「COCOA」のチェック、風邪の症状が出た場合即座に申告することなどを条件にしていた。

 出演アーティストは総勢6組。アコギ弾き語り、オルタナロック、ヴィジュアル系、ラップロック、ハードコアメタルと、NOBUさんの言った様々なジャンルの複合イベントという言葉に偽りなし。なかなかカオスなラインナップである。その中にアカペラである我々Oca-boys。この並びにいるだけでなかなか興奮するものがある。

 さて、我々の出番は6組中4番目。出演までは他の出演者さんの演奏を聴こうと思ったが、会場内人数制限のため、全バンドの演奏は聴けなかった。
 ただ、出演の条件に入っていないにもかかわらず、全員がほぼ全曲オリジナル曲だった。まあ、当然といえば当然なのだが、アカペラオンリーのライブイベントではほぼありえないことではある。
 また、楽器はやはりアカペラと比べて出せる音圧が当然のことながら段違いである。アカペラでここまでのインパクトを出せるかわからない。これに負けないように僕も演奏なければ、と少し息巻いていたが、そこでふと立ち止まる。

 フェイスシールド・声出し禁止とはいえ、観客は舞台上で行われる演奏に体を揺らし、腕を振る。弾き語りのアーティストの時は静かに聴き入り、ディストーションの効いたギターが鳴り響けばそれに呼応するように拳を上げる。アーティスト側も、モノローグのように語りかけたり、観客を煽ったり。忘れかけていた「LIVE」の感覚。そうだよ、これだよ。ウイルスに音楽は奪えない。奪わせない。そんな魂の叫びが各アーティストからガンガンに伝わってくる。
 負けないように、じゃなく、自分たちができる演奏をしっかりやれば、それで魂を証明できる。そう感じることができ、少し緊張もほぐれたところで、我々に出番が回ってきた。

観客からの新鮮な反応

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 リハーサルを経て、そのまま25分間の本番へ。
 披露したのは、
 ”Sabitsuita Sunday”
 ”hate to say”
 ”とうめいな”
 ”KANATA”
 の4曲だった。

 音響も照明も非常に良く、メンバー内で出演後に「めちゃくちゃ歌いやすかったですね!」という感想が口々に出て来るほどだった。

 ライブ終演後には、対バンのみなさんから口々に感想をいただいた。
「アカペラって生で初めて聴いたけど、すごいっすね!」
「めちゃくちゃパワー感じました!」
「ハモネプしか知らなかったんで、こういうアカペラもあるんだ、ってびっくりしました!」
「曲がすごくいい。アルバムとか出さないんですか?」
 本当に嬉しい反応ばかりだった。

 歌いながら思ったのは、観客の反応や聴き方がアカペラライブのそれとはかなり違うということ。
 アカペラライブでは、観客からのアクションというのは少なめである。曲に合わせた手拍子や、演者からの煽りなどで返って来るアクションはあるものの、曲に合わせて体を揺らしたり、ノリを感じたりと言ったアクションはそこまでみられない。
 これは、アカペラの「人を見る」という独特な見方が影響していると考える。現代のアカペラライブ文化というのは、基本的にカバー曲が演奏されるため、観客のフォーカスが「楽曲」ではなく「人」や「技術」に行きがちである。そちらを集中して聴こうとしてしまうと、どうしても曲のノリを感じながら聴くことができない。
 しかし、楽器バンドのライブではほとんどの場合「人」よりも「楽曲」にフォーカスが当たるため、観客はこちらが煽らずとも体を揺らし、ノリを感じ、曲に入り込んでくれるのだ。

 もちろん、人の魅力も、優れた技術も、音楽にとってあって然るべきものである。しかし、オリジナル楽曲で勝負しているからにはやはり楽曲を感じ、その世界に浸って欲しい。そう思っていた僕にとっては、最高の反応だった。

これからも

 今回のライブは、僕含めメンバー全員に強烈な印象を植え付け、また非常に大きな経験となった。これからも、アカペラライブはもちろん、楽器バンドのライブ、野外イベントなどに積極的に参加して、オリジナルアカペラの魅力をもっと広げていきたいと思う。

 主催のTHE BARRELSさん、対バンのみなさん、MERRY-GO-ROUNDさん、また聴いてくださった皆さん、本当にありがとうございました。

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告知

いくつか出演の告知をば。
まず今月末、大宮にてOca-boysとして出演します。
また、来年1月、THE BARRELSさんに再び呼んでいただきました。しかも僕個人の弾き語りもセットで。
マジできて。マジで。

2020.12.27(sun)
"Pleasure Night" at ヒソミネ大宮
open - 18:30 / start - 19:00 / ticket - ¥2,200
act - あんどうえりか / 岸田かなえ(anyparty) / Oca-boys / 森田圭貴

ヒソミネフライヤー1227

2021.01.16(sat)
"PUNK DRUNKER'S PARTY vol.24"
act - Oca-boys / ハラコウサク / THE BARRELS ...and more!
more information is COMING SOON...!

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Oca-boys ---- Twitter / YouTube
ハラコウサク ---- Twitter
半径6メートル ---- OfficialHP / Twitter / Instagram / YouTube

THE BARRELS ---- Twitter

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