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早春の伊豆2泊3日 その④ -戸田の高足ガニ

昼食求めて30㎞

伊豆にいるんだから、海鮮が食べたい。あてのない昼食探しのドライブが始まりました。漁港に行けば新鮮な海の幸にありつけるに決まってるので、とりあえず海へ行こうと、修善寺から西へ向かいます。メジャーな観光地は混んでるとふんで、そっち方面は避ける作戦です。この作戦のネックであり、メリットでもあるところは、情報が少ないところ。持ってきたガイドブックの範囲外だし。信じるべきは自分の感。
一番の理想は、地元の人も行くけど、観光客にも優しいお店。旅行者ってよく「地元の人が行くお店」こそいいと思いがちだけど、実際に地元の人しかいかないお店って案外居心地が悪いものよ、というのがそれなりに旅をしてきたわたしからのアドバイスです、覚えておくがいい。
さあ、頑張って美味しいものにたどり着くのだ。いざいざ。

これがなかなかの山越えでした。地図で見ると近いのに、カーブの連なるつづら折。ああ、またここでも天城越えが車内に響きます。♪つづら折り 浄蓮の滝~。それにしても、同じところばかり歌っちゃうわね、この歌は。

そんなこんなの小一時間で、海の匂いを感じるようになりました。高台から青い海も見える。着いたのは、戸田。とだ、と呼びがちだけど、へだ。
海沿いの道を走っていると、きれいな観光案内所があったので入ってみます。周辺の地図をもらいがてらお勧めのお店を聞くと、幾つかのお店の名前を教えてくれました。その中で、気取りのない佇まいの、車がたくさん停まっているお店に入ります。

こんなきれいな海のそばだったら、美味しい海鮮にありつけるに決まってる


高足ガニに食らいつく

お昼をとうに過ぎていたけれど、海沿いのお店の店内はいっぱいでした。少し待って案内された席は、生け簀の桟敷席。生け簀には高足ガニがひきめきあってます。タカアシガニ。世界最大のカニ。オスは両足を広げると3メートルにもなるそうで、カニ界のスーパーモデルとでもいいましょうか、足が長い、腰の位置が高い。

触れそうな場所にいるけれど、挟まれたら結構痛そう


そのカニたちが、席のすぐ横で生け簀から這い上がろうとしています。わたしを食べて、のアピールか、食べようとしたら挟むぞ、のアピールか。食べてみたいのはやまやまだけど、メニューの<時価>にひるみまして。そこまでの覚悟を持って臨んでないので、手が届く範囲の「高足ガニ二本とエビフライの定食」にしました。言っておくけど、それでも相当にいいお値段。夫は刺身定食。こちらは普通のお値段。
回りを見渡すと、意外とテーブルにはカニが姿のまま、どんと置かれている。みんなやるなあ。

高足ガニの動くさまを眺めているうちに、お料理がやってきました。まずは刺身定食。あれ、こっちを頼めばよかった?と思うほど豪勢。わたしの前にはエビフライとアジフライ。意外に普通。やっぱり、お刺身にすればよかった?

刺身定食。ぴちぴち。

しかし、真打登場、という言葉はこういう時につかうのだな。テーブルの真ん中に高足ガニがドンと置かれたときに、わたしの選択が間違ってなかったことを確信しました。足2本だけというのに、存在感ありあり。蟹みそが入った甲羅が横についていて、蟹みそと言えば、人生の一番最後に食べたいNo.1の食べ物じゃないですか。ファンタスティック!


あー写真じゃ全然大きさが伝わらない

食べ物としての高足ガニの素晴らしいところを3つお教えしましょう。
1.大きさ。食べごたえ抜群。
2.身離れの良さ。肉がすーっと殻から抜けて、ストレスがない。
3.味。他のカニにはないミルキーな風味。
二人で分けたのですが、それでも十分な量だったし、とにかく美味しい。

これを、蟹みそにつけて食べるわけよ。うふ。


後から来た人たちが、せっかくここに来たんだから、と丸ごとの高足ガニを頼んでいました。生け簀から、好きなカニを選んでいるのを見て、次回はぜったいこの頼み方をしようと心に決めた次第。ちなみに、すぐに調理しないと美味しくないので、地元以外ではなかなか食べられないようです。
帰り際にこそっと「中ぐらいのカニでいくらですか?」と聞いたら、
「25,000円くらい。」との答えでした。なるべく動揺を見せないように「次はそれを頼みますね。」と言ったら「2人だったら、今日くらいがいいと思いますよ。」との返事で、とっても好感の持てるお店でした。
うん、大満足。
ちなみに、旅行記界の一番星、沢木耕太郎は「グルメサイトを見て行った場合と、自分の勘や経験や偶然の出会いから見つけて入った場合とでは、同じお店に入ってたとしてもその夜の多幸感が違う」という意味のことを新聞のコラムで書いていて、大いに共感しました。今回のお店、大いに正解。

さて、満腹になったところで、海辺をぶらぶらします。


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