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JRグループは、ひとつではない!6つの旅客会社と1つの貨物会社。

◆今日の要点

・JRグループは、6つの旅客会社と1つの貨物会社から構成。
・旅客会社は地域によって、分かれており、各社が協力している。
・新幹線は運営する会社によって、発売する切符やサービスが異なる。
・貨物会社は、旅客会社の線路を借りており、全国一括運営。

JRグループの7つの会社

日本の鉄道の大部分を占めるJR(ジェイアール)。

名前からして、統一企業グループだと勘違いしてしまいますが、これらは6つの旅客会社と、1つの貨物運営会社に分かれた別々の企業です。

鉄道ファンの方には、当たり前の認識だと思いますが、意外とこの認識を持っておらず、全国統一の料金体系・サービスだと勘違いしている方も多いように感じます。日本の骨格を形成している鉄道の大動脈は、昭和62年(1987年)までは、「国鉄(日本国有鉄道)」という単一の国営企業でしたが、現在は経営方針も資本もバラバラな7つの会社が協力して、地域ごとに分かれ、分割運営を行なっているのです。

なお、国鉄からJRへの移行を「国鉄分割民営化」と言います。
このうち、鉄道車両に実際に乗客を乗せて、運ぶことを担当している企業を旅客会社と言います。その一方で、貨物を運ぶため、人ではなく荷物を載せた貨物列車を運行している企業を貨物会社と言います。

JRの旅客会社

JR北海道(北海道旅客鉄道)→北海道地方
https://www.jrhokkaido.co.jp/
JR東日本(東日本旅客鉄道)→東北、関東、甲信越地方(ただし、長野県南部と山梨県南部は除く)
https://www.jreast.co.jp/
JR東海(東海旅客鉄道)→東海地方、長野県南部、山梨県南部
https://jr-central.co.jp/
JR西日本(西日本旅客鉄道)→北陸、関西、中国地方
https://www.westjr.co.jp/
JR四国(四国旅客鉄道)→四国地方
https://www.jr-shikoku.co.jp/
JR九州(九州旅客鉄道)→九州地方
https://www.jrkyushu.co.jp/railway/index.html

※沖縄にはJR線はありません。

JRの貨物会社

貨物列車→JR貨物(日本貨物鉄道)
https://www.jrfreight.co.jp/

貨物列車は、自前の線路をほとんど所有しておらず、旅客会社線路を借りて、列車の運行を行なっています。担当運行範囲は全国で、全国のJRの貨物を一元運行を行なっています。

全国のJRの担当地域区分図

JR分割図

JRの在来線の境界駅とは?

それでは、JR線の新幹線を除く路線を指し在来線の会社境界駅を、詳しく見ていきましょう。この境界駅は、意外と重要で、管理する会社によっては、片方の会社の割引切符などしか取り扱っている場合もあります。

例えば、JR東日本とJR東海の境界駅のひとつ「塩尻駅」は、JR東日本の管理駅のため、JR東日本の割引切符は取り扱いますが、JR東海のフリーきっぷの取り扱いがありません。

JRの境界駅一覧

JR在来線境界駅

新幹線の境界駅は?

新幹線の場合は、在来線とは異なります。原則的には、路線ごとに運営会社が異なるので、境界駅は在来線とは違う場合があります。これにより、よく問題が発生するのが、東京付近と大阪付近です。

新幹線の運営会社

全国の新幹線の運営会社

新幹線運営路線

全国新幹線運行路線図

全国新幹線路線図

※ミニ新幹線とは、「在来線」のレールの幅を新幹線に合わせ改良したもので、実態は新幹線ではありません。しかしながら、東北新幹線に乗り入れて直運運転されるため、利用者の混乱を招くことを防ぐため、「新幹線」として案内されています。このような形態で運行する路線を「ミニ新幹線」と言います。
※上越妙高駅はJR東日本の管理駅です。

上記の図を見て気が付いたかもしれませんが、東京付近では在来線と東北新幹線はJR東日本、東海道新幹線はJR東海の区間があります。このJR東日本とJR東海による運営の違いが、新宿駅や渋谷駅などで、追加料金が請求される場合がある理由です。

近年のJR東海は、他のJRグループの会社とは組まず、独自のサービスを行なう傾向があります。その代表格が会員制新幹線予約サービスの「エクスプレス予約」と「スマートEX」です。これらのサービスは東海道新幹線をインターネット利用で予約できるもので、利用時期によっては割安料金での申込も可能な、便利なサービスとなっています。

しかし、「エクスプレス予約」と「スマートEX」が利用できる路線は、東海道新幹線・山陽新幹線のみとなっていることから、例えば東海道新幹線を京都や名古屋から乗車し、東京駅または品川駅などで下車。その後、新宿駅や渋谷駅に向かう場合などでは、別料金が必要となるのです。

株主優待券も各社独自で発行するものですから、割安となる区間も、会社区分と同じです。新宿駅や渋谷駅で駅員さんに追加料金が請求されても、素直に支払いましょう。

また、関東地方の報道での注意点ですが、「新幹線」のサービスや運賃のニュースが発表された時に内容を調べている際、その新幹線が西の名古屋、京都、大阪方面に向かう話なのか、北の仙台、函館、新潟、金沢方面に向かう話なのか、よく確認する必要があります。

名古屋、京都、大阪方面に向かうなら東海道新幹線の話なので、JR東海のこと。仙台、函館、新潟、金沢方面であれば、東北・北海道・上越・北陸新幹線なので、JR東日本の話です。両社は、運営に対する考え方が違うので、運賃やサービスが異なる場合があります。

大阪付近も、東海道新幹線はJR東海ですが、在来線と山陽新幹線はJR西日本が管理しています。しかしながら、こちらの2社は、運営方針に大きな違いはないため、東京ほどの混乱はあまりありません。


【注意】この項目で使用している地図は、国土地理院発行の「地理院地図Vector」を利用し、乗り物・交通調査局が加筆・修正したのものです。


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