見出し画像

シンガーが持つべき二重の責任について。

↓この記事の動画版
https://m.youtube.com/watch?v=vxHSgrUMq90 

1. シンガーとヴォーカリストの違いってわかりますか?

一年ほど前、アメリカに行った時、一緒に行った友人(バイリンガル)がその知人(現地の方)に私を紹介する際、私のことをシンガーとして紹介してくれたので、「何でヴォーカリストじゃダメなのかな?」とか考えました。

後から調べたところ、どうやら英語圏ではvocalistとした方がより音楽者、芸能者というニュアンスが強まるそうでして、それによると私の友人は私のことをsinger(歌う人)という風に見ていたのだなぁと…

いや、絶対ヴォーカリストですよ私。

(声の専門職って意味合いでね)

ただ歌う人って意味ではネット界の歌い手さんたちはシンガーだろうし、ポップスシンガーも、あるいは(声に対する音楽的な意識が低ければ)アマチュアのバンドボーカルなんてのもシンガーなのかなと思う。


2. 二重の責任論とは

ところで、タイトルにある「二重の責任」とはどういうことか?

これは自身が「楽器である」と同時に「奏者でもある」という意味です。

楽器を扱う上での責任と、奏者としての責任をその身体一つに持っているということですね。

まず、楽器奏者(プレイヤー)は演奏するのなら自分の演奏に責任を持たなければなりません。

例えばプロであれば、演奏のための日々の練習や、メンタルやフィジカルのコンディションニングをしたり、パフォーマンスのイメージを作ったりして、最良の演奏を披露するための最善を尽くす必要があるでしょう。

アマであっても奏者として自己管理は必要ですよね。演奏できるように整えておくべきことはどんな楽器のプレーヤーにも数多くあると思います。


ところがシンガー(あるいはヴォーカリスト)の場合、その自己管理は「楽器としての自分の管理」にまで及ぶのです。

前の記事でも書いたように、人の体は払戻し、返品交換できないし、最悪リペアすらもできなくなってしまうような超デリケートな楽器です。

新規の生徒さんにレッスンをしていると、こんな当たり前のことを忘れている人が多く見受けられます。

喉にいいこと悪いことをまるで知らない人、典型的なまでに悪い行いをしてダメージを蓄積している人…が意外にも多いのです。


3. ギターに置き換えてみると…

例えばあなたがギター奏者だったとしましょう。

そのギターは声と同じく、返品交換不可能で買えることのない唯一無二の代物で、あなたは常にそれを持ち歩かなければならないわけです。

・雨の日、カバーもつけずに持ち歩きますか?

・埃っぽい部屋でカバーもかけずにかき鳴らしますか??

・弦が切れそうになる程力任せにかき鳴らし音量を稼ぎますか???


そのまま声に置き換えて考えてみてください。

乾燥した喉で歌うのは目の荒いヤスリで表面を削っているようなものですし、

刺激物を過剰に印象口するのは打撃したり濡らしたりするのにも近しい

過剰に粘膜が張った状態で歌うのだって、ミトンをはめてピアノを弾こうとしているようなものです。

身体は楽器です。そしてその管理は、奏者としての管理と並行して行わなければなりません。

シンガーであっても、最低限この程度の認識はもつべきであり、それがないのであればヴォーカリストなんて名乗るのは非常におこがましい話です。

多くのギタリストはシンガーが体を労るよりも確実にギターを大切に扱っているのではないでしょうか?

汚れれば磨くし、古くなれば源は張り替える、定期的に点検してもらうだろうし、ネック型ワンで音がビビればすぐに修理に出すでしょう。

ところがシンガーときたら多少首が曲がっても気にはしない。

悪いものも積極的に取り入れるし、よくないこと平気でする、自分の喉は強いからと忠告を一蹴するんですよ?!

(ツケが今来るか後に来るかの差でしかないのに!!)

笑ったか、泣いたか、叫んだか、小声で話したか、何食べたか、どれだけ気温の変化を受けたか…コンディションを左右する要因としていろいろな可能性が考えられるんです。

寝ても覚めても体のケアに気を配れるようになれば、声は必ず大きく変わるでしょう。


実はこの話、特段歌や音楽に限りません。

自分という資本に対しての意識を高く持ってほしいし、特別大切にしてほしいのです。

あなたはどれだけ自分を大切に扱っていますか?

よかったらサポートお願いします!! レッスン用の機材や専門書籍の購入、イベントの開催費用に充てます。 あなたのお気持ちでYoshikiの活動の全てがグレードUPします!!!