ヴェナル軍曹

怪談ツイキャス『禍話』のリライト(文章化)をやらせてもらってます。しがない分母です。 …

ヴェナル軍曹

怪談ツイキャス『禍話』のリライト(文章化)をやらせてもらってます。しがない分母です。 月に一話かニ話、毎月十五日前後に投稿する予定です。 二次使用に関しては、こちらの記事に準拠します https://note.com/nightmares4/n/na4b584da01fe

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最近の記事

禍話リライト サバゲ地蔵

とあるサバゲーグループの話。 あちこちの山野や廃墟でサバゲーを楽しんでいたグループだったそうだ。 その時も、彼らは某所の山中にてサバゲーを楽しんでいた。 二つのチームに分かれ、フィールドである山谷を駆け回る。 その内、一方のチームの形勢が次第に不利になってきた。 不利になったチームのリーダーが、メンバーたちに指示を飛ばす。 「よし! 一旦分散して、最初の方に見かけた地蔵さんのあたりで集合しよう!」 その指示に従い、メンバーたちが分散し、移動を始める。 だが、チーム全員

    • 禍話リライト 忌魅恐『元カノがあきらめてくれない話』

      某大学のオカルトサークルが取材した当時、サバゲーを趣味としていた社会人、Aさんの話。 (※オカルトサークルについては『忌魅恐 序章』を参照) ある時、仲間内で。 今度はどこでやろうか。どこかいい場所はないか。 と、そんな話をしていたそうだ。 サバゲー用の正規のフィールドを使用すればいいのだが、毎回となると料金もバカにならない。 それに、彼らの生活圏の近場ではフィールドもそう多くはない。 すると、同じ場所ばかりでゲームを行うことになり、だんだんマンネリになってくる。 そ

      • 禍話リライト 忌魅恐『あの先生に関して覚えていること』

        Aさんという女性の、小学校の頃の体験。 ある年のこと。 Aさんのクラスの担任教師が、変な時期に、突然別の人に変わったそうだ。 普通、担任が変わる時期といえば、概ね、学年が上がって新学期になった時だ。 しかし、その先生は、夏休み前の中途半端なタイミングで、Aさんのクラスへやって来た。 もっとも、前任の先生は若い女性だったため、 (おめでたか何かで、急に休むことになったのかな?) と、その時のAさんはさほど疑問には思わなかったそうだ。 新しくやって来た担任も、若い女性だ

        • 禍話リライト 怪談手帖『しし地蔵』

          『自然仏』(じねんぼとけ)という話をしたのをきっかけに、話者の方から採集できた。 『お地蔵さんみたいなもの』についての話。 ※怪談手帖『自然仏』 提供者であるAさんが幼少期を過ごした集落には、鬱蒼と樹々の繁る一帯があり、鎮守の森めいた様相を呈していた。 しかし、彼の記憶する限り。 緑の奥にあったのは、社ではなく。 彼曰く『しし』とか『しし地蔵さん』と呼ばれる。 気味の悪い『何か』であったのだという。 「……お地蔵さんじゃないんですか?」 と問うと、 「……みたいなも

        禍話リライト サバゲ地蔵

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        • 禍話リライト
          81本
        • 忌魅恐(第一期)
          15本
        • 怪談手帖
          19本
        • 怪談手帖・天狗
          4本
        • 実体験
          6本
        • 創作
          2本

        記事

          禍話リライト おちついた場所の手紙

          令和の初め頃。当時、大学生だったAさんの体験。 Aさんは、この体験により『二つのこと』が苦手になった。 一つ目は『山に入ること』である。 旅行、帰省、出張と。誰しも、そのように遠出をすることがある。そうすると、例えば自動車で山道を走ったり、新幹線で地方の山中を通過したり、という機会も少なくないわけである。 だが、Aさんはかつての体験から、 『自分も、妙なものを見てしまうのでは』 と考えるようになり、そのため可能な限り山を避けているのだという。 どうしても山に入ったり、近く

          禍話リライト おちついた場所の手紙

          禍話リライト 忌魅恐『赤い帽子の女』

          Aさんという男性の、幼少期の体験。 某大学のオカルトサークルが取材した当時、彼はすでにそれなりの年齢であったという。 つまり、現代から見て、少なくとも半世紀以上は前の話。 ……ということになるだろうか。 ※オカルトサークルに関しては『忌魅恐 序章』を参照のこと Aさんの母方の親族に、年齢の近い従兄がいた。 (仮に、彼の名を『ケンタくん』とする) Aさんが小学校二年生のある日。 そのケンタくんが、急死した。 Aさん曰く。 ケンタくんがなぜ亡くなったのか。それについては

          禍話リライト 忌魅恐『赤い帽子の女』

          禍話リライト 墓石の写真

          コロナが蔓延し始め、それから少し経った頃の話だという。 感染を避けるため。あるいは利便性の向上のため。仕事の連絡や簡単な打ち合わせに、LINEなどのSNSを使うようになった。 そんな人も少なくないだろう。 この話の体験者である男性、Aさんもそうだった。 「◯日の◯時から打ち合わせ、よろしくお願いします!」 「必要なデータを送ったので、確認よろしくお願いします!」 そんな風に、業務関係の簡単なやり取りを、仕事用のスマホに作ったLINEアカウントで行っていた。 ある日のこと

          禍話リライト 墓石の写真

          実体験 酒とロフトと黒いやつ

          大学四年、夏の終わり頃。 当時住んでいた、板橋区のアパートでの話。 その時も定期的に訪れるオカルト熱が再発し、洒落怖を読み漁ったり各種の心霊映像、恐怖動画を片っ端から見たりしていました。 当時『タクラーン村の少女』という動画の話が界隈で話題になっていて、それがどうしても見たくていろんなところを探したものです。 加えて、当時住んでいたアパート近辺、そして近くを走る某路線の周辺には奇妙な噂が囁かれる、そんな場所が複数存在していました。その影響もあったかもしれません。 と

          実体験 酒とロフトと黒いやつ

          実体験 夜の見舞い

          自分が小学六年生の頃、十一月の末の話。 話に関係ないので詳細は省きますが、祖父が近所の家の二階の屋根から転落し、近くの病院にしばらく入院することになった、という事件がありました。 入院。 といっても、戦時中に陸軍の軍曹だった祖父は、その後の職歴もあり、七十代後半という年齢にも拘らず、全身の筋肉がバキバキの、屈強な肉体の持ち主でした。 そのおかげか。 高所から落ちたにも拘らず、ケガは軽い捻挫と打ち身程度でした。 しかし、当時の祖父は既に高齢だったわけで。 平気に見えても

          実体験 夜の見舞い

          実体験 交差点の話

          小学校四年生の時、九月末の日曜の晩の話。 その日の内に揃えておかなきゃいけないものを買い忘れてしまったということで、母親が親父に近くのショッピングセンターに連れていって欲しいと頼み、それに自分もついていったのです。 そのショッピングセンターには交通量の多い国道側に通じる方と、工場や倉庫などの立ち並ぶ裏道に通じる方。 二つの出入り口がありまして。 うちの場合は、そっちの方が近いし行き帰りも楽だということで、国道側をいつも使っていました。 が。 何か理由があったのか単なる気

          実体験 交差点の話

          禍話リライト 忌魅恐『トイレのえつこちゃんの話』

          ※十一月十日は『トイレの日』です。 九十年代、関東地方のとある小学校での話。 学校の怪談、といえば。 やはりその代表は『トイレの花子さん』である。 その小学校の旧校舎、二階の女子トイレにも、 『女の子の幽霊が出る』 という噂があった。 ただ、その学校の幽霊は『花子さん』ではなく、 『えつこちゃん』 と、そう呼ばれていた。 噂によると。 『えつこちゃん』は、毎月第三日曜日。 夕方の五時四五分から夜十時半までの間に現れるのだそうだ。 本家の花子さんもそうだが、この手の

          禍話リライト 忌魅恐『トイレのえつこちゃんの話』

          禍話リライト 貝の缶詰

          Aさん(男性、既婚者)の体験談。 Aさんは、いわゆる専業主夫である。 夫のAさんが家事を行い、奥さんが会社勤めをしている。そんな御夫婦だ。 妻のBさんはかなりアクティブな女性で、気の合う女友達と共に頻繁に飲みに行ったり、アウトドアに出かけたり、そうして遊びに行くことが何よりの楽しみだった。 周囲からいろいろ言われることもあったようだ。 だが、Aさんからすれば、基本的には遊びに行く日時や帰宅予定の時刻を事前にちゃんと伝えてくれるし、仕事や家庭のこともきっちりやってくれるので、

          禍話リライト 貝の缶詰

          禍話リライト よぎってみせた女

          世の中には、気づかない方がいいこともある。 そんなお話。 北九州在住、Aさんの体験談。 終業後、会社を出る前に事務室に寄る。それが当時の勤務先でのAさんの習慣だった。そこで事務員から郵便物を受け取り、帰り道の途中でポストに投函するのである。 もちろん、それは本来なら事務員の仕事なのだが、ある時、都合が悪く席が外せない事務員の代わりに、Aさんが郵便物を投函しに行ったことがあった。 それ以来、出張や病欠で不在でない限り、Aさんが帰り際に郵便物を受け取って投函しに行く、という流

          禍話リライト よぎってみせた女

          禍話リライト 怪談手帖『天狗××(ペケペケ)』

          『天狗』という説明不要なほど有名な妖怪の特徴の一つに、その名を冠した怪異の多さが挙げられる。 天狗倒し、天狗囃子、天狗太鼓、天狗の礫、天狗笑い、天狗火、天狗揺り……。 特に山中や山の周辺で天狗が起こすとされる怪異の話は枚挙に暇がない。 僕(『怪談手帖』の収集者、余寒さん)自身、禍話へ比較的初期に提供した話の中に、とある山の天狗による石投げと子どもの顔の出るお話があった。 これから紹介する怪異譚も、山の天狗による異常な現象の逸話として、恐らくその括りに入るはずなのだが……。

          禍話リライト 怪談手帖『天狗××(ペケペケ)』

          禍話リライト おまいりえにっき

          関東某県のとある廃墟。そこへ肝試しに行ったグループの体験談。 (なお、現在その廃墟は存在しないそうだ) 廃墟、といっても深い山中や人里離れた土地にあるわけではない。それは何の変哲もない住宅街の中、他の家々に紛れるように存在していた。 この話の提供者を始めとする数人のグループ、彼らは『その廃墟が怖い』という噂を聞き、探検に出かけた。 問題の廃墟へと到着した。 実際、廃墟と呼ぶにはずいぶん語弊があった。壁や屋根に穴が空いていたり窓が破られていたりということもなく、見たところ周

          禍話リライト おまいりえにっき

          禍話リライト 行きどまりタクシー

          時間帯、年齢。恐ろしい体験をする時、そうした条件は一切関係ないらしい。 『二十歳になるまでに一度もそういう体験をしなければ、それ以後の人生で心霊体験をすることはない』 皆さんはそんな話を聞いたことがあるだろうか。 この話の体験者である男性、Aさん。彼はこの体験をした当時、七十代だった。それ故、これまで人生で一切その手の体験がなかったのだから、きっと今後もそうなのだろうと、そう思っていたそうだ。 Aさんは犬を飼っていた。長年一緒に暮らしてきた、彼と同じく年老いた犬だ。 『老

          禍話リライト 行きどまりタクシー