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〔訳詩〕災いの黒が飛んでいく SKRENDA NEGANDA JUODA

「災いの黒が飛んでいく」 サロメーヤ・ネリス

災いの黒が飛んでいく……

大地のよろこびの時間:
絶壁の上のちょうちょたちは––
一日だけの草原の花々。
 
草原のまんなかのノゲシは––
風にのって––
そのノゲシはまるでこどもが
草原で風にのってあそぶようだ:

「ぼくのノゲシ
ぼくに花のぼうしがおじぎする。
そして絶壁の上のちょうちょが
羽ばたいて、ぼくにあいさつする。
ぼくの太陽は––ずっとだ!」

災いの黒が飛んでいく。

大きな影が這っている。––
太陽が自転して、花が育つ。
つばさのとんでもない竜巻が
まっしろなノゲシに吹きつけていく。

しかしこどもはまだあそぶ。––
ことばでは言えないほど惹きつける
大地のよろこびの時間。

災いの黒が飛んでいく

出典
Salomėja Nėris, Rinktinė, LTSR Valstybinė Leidykla Kaunas, 1941
https://www.epaveldas.lt/preview?id=C1B0003056470


PASAKA (II), Mikalojus Konstantinas Čiurlionis, 1907, https://ciurlionis.eu/lt/tapyba/galerija/

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