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「圧倒的に純度の高い経験で、自分の原点に立ち返れた」自分の中の原石を確認できた社会人フェローシップ-vol.1

Atsuko Tanigawa
学生時代は財団法人を通しての高校生留学支援や途上国(アジアや南米)での出会いを経験し、教育と途上国というフィールドに興味を持つ。自身の実力を高めるために商品・事業開発のコンサルティングを専門とする企業に就職。その後、マーケティングの知見を活かしてブランドや広告コミュニケーションを専門に扱う大手外資企業に転職。現在、社会人7年目。

■MoGにフェローとして参加しようと思ったきっかけ
 私とvery50の出会いは大学生の時に参加した2013年のベトナムMoG(※)でした。途上国の現地で起業家支援を行うという、座学や研修に留まらないMoGのプログラム内容が魅力的に映ったことが決め手でした。
※当時のMoGは社会人・大学生を中心にプロジェクトを実施していました。
 
 社会人になってからもvery50のコミュニティイベントなどにも顔を出させてもらい、継続的にかかわりを持っていました。そんな中で、2018年、副代表の谷弘さんからMoGを高校生向けに展開すること、そして社会人がフェローとしてファシリテーションをするというフェローシップの話を聞き、興味を持ったのが参加のきっかけでした。

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2013年に参加したベトナムMoGでの1コマ
(最前列右から2番目が私です)

 もともと高校生の留学支援を行っていたこともあり、教育×途上国というとても興味を持っていた分野であることもありましたが、2013年にMoGに参加した際は学生でビジネス経験も浅かったことから、そこから経験を積んだ自分がどれくらいプロジェクトやチェンジメーカーである起業家に貢献できるのか試してみたかったというのも大きい理由でした。

 以前にMoGに参加したこともあり、プロジェクトの進行自体にはそこまでの不安を感じていませんでしたが、やはり現地で起業家と参加者と引率スタッフが本気でぶつかり合うからこそ、何が起きるかわからないという「生モノ」のプロジェクトであるというMoGの最大の面白さであり、最大の不安である部分はどうしても残っていました。

 また、計画的に有給の申請はしていたものの、直前になって仕事が立て込んでしまったりというハプニングが起きる可能性も0ではなかったので、スケジュール面の懸念も残っていました。

 ただ、そんな中でもvery50のスタッフに相談が出来たり、一緒にフェローシップに臨む社会人の方々の姿もとても参考になり、高校生の経験価値を高めるために自分が出来ることは全てやるというモチベーションで前に進むことが出来ました。

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今回一緒にプロジェクトをした
very50スタッフとフェローの方々

■渡航までの事前準備
 事前トレーニングの期間で求められたスキルは、仕事と大きく異なるコーチングの仕方でした。仕事であれば成果をあげることが第一に来るため、必要な知識などを早くインプットしてあげることが大事になるのですが、MoGは教育プログラムという面も持っているので、正解を教えてあげることよりも、生徒たちが自分たちで気付くように空白を残してガイドしていくことが大切になってきます。

 転ばぬ先の杖になってしまうと生徒たちの自主性がどんどんと失われてしまい、プロジェクトが生徒たちのものではなくなってしまいます。実際頭ではわかっていても、実践するとなると考えることが多く、初めてのMoGのフェロー経験でもあったので苦労したことの1つです。

 また、コミュニケーションの面では、事前にMoGのファシリテーションを社会人がする意義をvery50の方からしっかりと伝えてもらっていたので、先生でも両親でもない第3者のポジションから生徒たちとフラットな関係を構築することを意識しました。

 具体的には、自分の高校生の時の話やどんな仕事をしているのか、プライベートの話などパーソナルな面をしっかりと伝えることを意識して、生徒たちとのコミュニケーションを取るようにしていました。最初のうちにこのような話をしていたこともあり、生徒たちとの距離が縮まり、現地のプロジェクトにも良い信頼関係のままスムーズに入っていけたと思います。

■現地に行ってから
・「そもそもを考える」
 現地に到着して初めて実際に顔を合わせた生徒たちですが、それまでオンライン上でコミュニケーションをとっていたこともあり、特に意外ということもなく、自然にコミュニケーションが取れたと思います。

 今回担当したチームの高校生は、全員が1年間の欧米やオーストラリアなどでの留学経験を持っている子達だったのですが、途上国と言われる地域は初めての子が多く、今まで味わったことのない雰囲気にわくわくと不安が入り混じっている様子が印象的でした。特に食文化が今までの環境とは大きく異なるということもあり、不安を感じている子が多かったですね。

 今回のプロジェクトでは、既に決められたグランドルールが6つあったのですが、その7つ目をフェローが決めることになっていました。私は「そもそもを考える」を設定しました。留学経験もあり英語が得意な生徒が多く、積極性もある生徒たちだったので、どちらかというと行動するという部分はかなり得意な子たちが集まっているように感じていました。だからこそまず動く前に、しっかりと自分たちで考えて、ディスカッションをしてプロセスに納得感を持った上で動こうという意味でこの7つ目のグランドルールを設定しました。結果、very50のスタッフの方にも、同時期にプロジェクトをやっていた他のチームに比べて、チームが納得感を持ってプロジェクトに臨んでいるよねと言ってもらえました。

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今回担当したチームのみんなとの写真

・積極性のある生徒たちのマネジメント
 序盤で最も苦労したことは、積極性のある生徒たちのマネジメントでした。意見も行動も積極的な生徒たちだからこそ、自分の意見やアイディアを通したいという気持ちからチーム内の合意形成に時間がかかったり、チームの方針以外に独自の路線で動いてしまう子がいるなど、段々とチームがバラバラになっていく感覚がありました。

 そんな中、リーダー陣を中心にチームでちゃんと話し合いを持ちたいと言ってきてくれました。私は生徒たちが話しやすい雰囲気を作ってあげることを意識して、今のチームの状態やここでみんなの意見をすり合わせておくことの大切さを伝えた上で、ミーティングをセッティングしました。

 ミーティングでは生徒たち自身が素直に思っていることを共有し合いながら、チームとして最大の成果をあげるためにはどこにコミットしていくべきなのかをちゃんと見定めて議論をすることが出来ていました。一部のメンバーからは今の状況に対する不満も出ましたが、それが自分自身のエゴなのか、それともより良い成果を狙ってのことなのかという整理をちゃんとしたことで、みんなの意識が1つになったなと感じました。このミーティング中、私は基本的に見守ることにしていましたが、生徒たち自身が自分のやりたいこととやるべきことの区別に気付いて整理していたことに驚いたと共に、はじめは「自分が」という自分中心のコミュニケーションだったのが「チームが」「起業家の方が」という他者起点のコミュニケーションになっていっていることに気付き、みんなの成長を実感しました。

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毎回白熱していたチームミーティングの様子

・毎晩の内省セッション
 毎晩行われる内省セッションで一番印象に残っていることは、私自身の話をした際に質問攻めにあったことです。笑 特に今の仕事のことについては多くの質問をもらいましたし、途中から代表の菅谷さんもご自身の体験談などをシェアしていただき、生徒たちからの質問も加速、ガンガン質問攻めにあいました。

 この時感じたことは、やはり高校という環境の中では先生や親族以外の社会人に会うことがないので、社会人という存在がとても新鮮に映るんだなということです。だからこそ、仲良くなった初めての社会人がどんな仕事をしているのか気になって仕方がないんだなと感じました。それと同時に、こうやって出会った大人が高校生のキャリアや進路に与える影響はとてつもなく大きいんだろうなということも感じました。私自身が高校生の時を思い返してみたのですが、やはり母校の訪問などで来てくれた先輩が行っている大学や会社というものは身近に感じますし、興味も沸いていたなと思いました。それが一緒にプロジェクトをやって、苦楽を共にすればなおさらだと思います。そんな立場に今私自身がいるということを感じ、改めてその責任の重大さに身が引き締まる思いがしました。

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静まり返って自分との対話をする内省セッション

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次回はvol.2として、プロジェクト中盤~最終プレゼンテーション、社会人フェローシップを振り返っての記事を紹介します。

フェローシップ制度に興味のある方は、以下より詳細をご覧ください。
社会人フェローシッププログラムHP:https://www.very50-fellowship.com/
very50 HP:https://very50.com/