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ペットフードに微生物が生えない理由:水分活性Awのおはなし

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自由研究のヒント

微生物が増えるのに必要な水分の割合(水分活性Aw)を低くしたり、密封したあとに加熱殺菌しているからだよ!

ドライフードの水分活性Awは細菌もカビ・酵母も増えにくい0.65以下に抑えられているよ!

セミモイストは保湿剤を添加して微生物が使える水分を少なくしているよ。

ウェットは缶詰などに密封した後加熱殺菌してるよ!

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 ペットフードは人間の食べ物と違い、ドライでもウェットでも長期間保管できると言う特徴があります。不思議ですよね。なぜ細菌など微生物が増えず安全に食べることができるのでしょうか?

ペットフードは含まれる水分によってドライ・セミモイスト・ウェットと分けられます。含まれる水分量が多いほどしっとりとした食感になります。食中毒の原因となる微生物は食べ物の栄養・水分・温度などの環境が重要です。
ペットフードは常温で流通することが多いので、水分と酸素の管理を通じて微生物の増殖を抑えています。

微生物が増えないようにするための使用には含まれる水分の量ではなく、水分活性(Water Activity:AW)という指標を使います。

この水分活性AWとは、微生物が増えるために利用できる水分の割合のことです。例えばただの雨水の場合は微生物が使える水分は100%で水分活性は1となります。

微生物によって増殖するのに必要な水分活性Awは異なります。
細菌では大体0.94以下だと増殖が難しくなります。
カビや酵母などは細菌よりも少ない水分で増えることができるので、低い水分活性でも増殖ができてしまいます。水分活性Aw0.80以上で増殖できてしまうものもいます。

ドライフードの水分活性Awは0.65以下に抑えられており、細菌にとってもカビや酵母にとっても利用できる水分が少なくなるようになっています。

セミモイストフードでは保湿剤などを添加することで微生物が使える水分の割合を低く抑えています。

ウェットフードの場合は水分活性は0.86以上と高いのですがその分缶詰など気密性の高い容器に密封した上で加熱殺菌しているので、開封しない限りは食中毒を起こす微生物が増えることはありません。

参考:
『ペットフード・ペット用医薬品の最新動向』 有原圭三



犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。