つい先日、こんな質問をいただきました。

「私自身も北米獣医師の取得の勉強をしているのですが、BCSEの勉強法、使った教科書、対策などありましたらご教示していただいてもよろしいでしょうか」

ということだったんですが、個人で回答するより公開でした方が他の方の参考にもなるかなということでのブログアップデートです。


1．BCSE 勉強法
BCSEは多肢選択式で全２２５問、試験時間は２２０分。これは５８秒／問という時間との闘いです。内容としてはNAVLEのミニ版と言われているのですが、今までに集めた情報からすると正しくそんな感じで、出題範囲もほぼNAVLEと同様と見受けられます。勿論、NAVLEの方が内容的に深いとは思います。

この試験を日本語を母国語とする獣医師が試験を受ける場合、獣医の知識の如何というより言語の壁と時間制限の方が辛い。経験上、英語の教科書を読み解きつつ英語を勉強するというスタイルは無駄が多すぎます。実際の試験形式に非常に近い Zuku review の問題集を解きつつ出てくる知らない単語を片っ端から調べていくという方法がより効率的なので、私は現在こちらの方法で勉強しています。


2．使った教科書、というより使っている教科書。下記の通りです。
(1) An Illustrated Guide to Veterinary Medicine 3e (ISBN-13: 978-1-4354-2012-0)
(2) Zuku Review (https://zukureview.com/sign-up/bcse)
(3) Comprehensive Review for the NAVLE (ISBN-13: 978-1-4160-2926-7)
(4) Veterinary Board Games Vol.2 and 3, plus one in Zukureview

An Illustrated Guide to Veterinary Medicine は現在、NAVLE勉強会で教材として使用しています。基本的な獣医学英語をカバーするには悪くないと思うからです。ただ試験対策に特化した本では無いので必要度の低い単語も含まれており、勉強会ではできるだけ出てくる単語に優先順位をつけるようにしています。

Zuku Review は必須です。Standard と Premium があります。私は最初 Standard を購読し（当時 Premium がまだありませんでした）、二度目の購読で Premium を申し込みました。Premium の映像資料に試験対策１＆２があり、これが結構役に立つので最初から Premium を購読するのもいいと思います。

Comprehensive Review for the NAVLE ですが、NAVLEの範囲確認に使える本です。別の言い方をすると、教科書としての利用価値は低い！これは記載されている内容が簡潔すぎるためで、何というか、日本で言うところの「獣医国家試験出題基準」に試験に出てくるキーワードを盛り込んだような感じになっています。

Veterinary Board Games 、これを勉強していると「本当にこんな細かいところまで聞かれるのか？！」という疑問と「なるほど、こういう部分が試験では聞かれるんだな」と納得する部分が交差します。しかしながら前回のBCSEでは「麻酔前投薬で最もイグアナに適するのは次の薬品のうちどれか」という問題も出てきたので、一通りこなしていく意義はあると思って、現在、実際こなしています。


3．BCSE 試験対策
あらかた既に述べましたので、最後に一つだけ。単語帳。BCSE でも試験範囲は小動物＆大動物。細菌名、ウイルスの分類、病名、主な症状、薬品名＆その作用機序＆適応症、縫合糸の名前と性質、必要な解剖学用語…非常に広く設定されています。自分が卒業後に専門とした分野ならまだ知っている、若しくは覚えられるかもしれませんが、それだけでは合格しません。七面鳥の病気なんか知るか!!と叫んだって、出てくるものは出てくる。ここをカバーするために Veterinary Board Games があるんですが、これはちょっとレベルが高すぎる。もっと単純なものが BCSE 対策には（そして日本人チームには…）向いていると思うんです。試験直前対策にも利用できる。そんなことに前回の試験の数週間前に気が付いて、慌てて即席の単語帳を作りました。これからは NAVLE に標準を合わせて単語帳を作っていく予定です。将来、日本獣医国家試験対策も視野に入れた試験対策単語帳を二カ国語で作ってみたい気はします。自分が学生の時代に欲しくて、でも無かったものなので。