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子馬のロドコッカス・エクイ(R. equi)肺炎

子馬におけるロドコッカス・エクイ(R. equi)感染症は、生後30~90日齢に現れる、肺炎を主徴とする疾病である。 最も一般的な症状は、広範な膿瘍および化膿性リンパ節炎を伴う化膿性気管支肺炎だが、その他に腸炎、ブドウ膜炎、感染性・免疫介在性関節炎、骨髄炎なども引き起こす。 肺機能喪失に対する子馬の代償能力が優れていることもあり、早期診断が難しい疾病である。 臨床所見 初期に呼吸数の増加と軽度の発熱が認められるが、症状が見逃されることが多い。 病状が進行すると、鼻翼の

    • 子馬の感染性関節炎

      子馬では、出生直後から出生後30~45日齢までに罹患した感染症(臍・呼吸器・腸管)が、感染性関節炎を引き起こすことがある。 子馬の感染性関節炎は以下の4つに分類される。 S型(滑膜性) E型(骨端性):骨端の軟骨下骨に感染が存在 P型(成長板性):成長板骨幹端側に感染が存在 T型(手根・足根骨性):手根・足根骨の感染を含む 一般にはS型とE型が多いが、他の型も散発する。 臨床所見と診断 典型的な臨床症状として、跛行、発熱、関節の腫脹がある。近位の関節では腫脹が

      • 子馬の尿膜管遺残

        病因 尿膜管は在胎中における、胎児の尿を尿膜腔に排出する器官であり、分娩時には通常閉鎖している。 しかし、先天的に尿膜管が開存している場合と、出生後に再疎通する場合があることから、新生仔馬の臍は出生後24時間と72時間に2回評価する必要がある。 正常な仔馬の臍は、生後24時間は湿った肉質の構造である。これが徐々に乾燥、萎縮し、生後7日から14日の間に自然に剥落する。その間に尿膜管は閉鎖している必要がある。 尿膜管遺残は、長い臍帯と部分的な臍帯捻転により尿膜管に圧力がかか

        • 馬原虫性脳脊髄炎(EPM)の予後

          馬原虫性脳脊髄炎(EPM)は主に Sarcocystis neurona (稀に Neospora hughesi )が馬の中枢神経系に侵入することによって引き起こされる。 S. neurona の終宿主はオポッサムであり、オポッサムは糞便を介して環境中に S. neurona のスポロシストを排出し、馬がそれを摂取することで感染が成立する。 S. neuronaは馬に侵入後、腸管内と全身の血管内皮細胞で増殖し、中枢神経系に至ると考えられているが、その侵入経路は未だ不明であ

        子馬のロドコッカス・エクイ(R. equi)肺炎