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天皇杯決勝プレビュー

私の愛するクラブであるヴァンフォーレ甲府が天皇杯で決勝進出を果たした。
人口約80万人(全国42位)の県であり、J2での順位は18位、2021年度の営業収益はJ2で12位(J2の平均以下)。
この小さな街の小さなクラブが日本の頂点を争う天皇杯の決勝戦に駒を進めた。
『快挙』
まさにこの言葉に尽きるかと思う。
私が生きている中でこんなチャンスが来るとは思ってもみなかった。
2012年のJ2優勝が最大の『快挙』で終わるのかなと正直思っていた。
まさか天皇杯の決勝の舞台に立てるとは。
決勝ピッチに立つヴァンフォーレの姿はまだ実感もイメージも湧かない。
それでも10月16日に日産スタジアムのピッチに間違いなく、『はくばく』を胸にヴァンフォーレ甲府は立っている。

これを読まれている皆様、愛するクラブ、応援しているクラブを誇りに思えますか?
私は思っています。
このクラブが日本の頂点に立つ姿を見たい。

2.クラブの歴史

この記事を読まれている方の中でヴァンフォーレ甲府というクラブを知らない方もいるだろう。
また、ヴァンフォーレは好きだけどこれまでの歩みについては知らない方もいるかと思う。
そこで軽くではありますが、ヴァンフォーレ甲府というクラブについて紹介したいと思う。
ヴァンフォーレ甲府の設立は1965年。
県立甲府第一高等学校のOBにより結成された鶴城クラブが日本サッカーリーグへの昇格を目指し、規模を拡大したのが始まり。
その際、名称を甲府サッカークラブとしたことがクラブの起源となる。
1995年にJリーグ参入を目指し、クラブ名をヴァンフォーレ甲府へと変更。
1999年よりJリーグへと加盟し、J2リーグ発足に伴いJリーグ参入を果たす。
J2初年度は最下位に終わると翌年にはリーグ戦19連敗という未だに破られていない不名誉な記録を達成し、2年連続の最下位に沈むと同時にクラブ最大の危機となる経営危機問題に直面する。

2001年も最下位に終わり、3年連続の最下位と成績は振るわなかったがJ参入3年目にして初めての単年黒字を達成。
課せられた存続条件もクリアし、チームの存続が決定する。
翌2002年に就任した大木武監督がクラブを成績面で高めていくこととなる。
初めて最下位を脱出し、シーズンを7位(12チーム中)で終える。
大木監督は1年で退任となるも翌年からは松永英機監督の元で5位、7位と万年最下位を脱出。
2005年に大木監督が復帰すると3位となり、入れ替え戦の末に初のJ1昇格を達成。
だが、最初のJ1は2年で降格となってしまう。
2008年に次の転機が訪れる。
1年でのJ1復帰は叶わなかったものの佐久間悟GM(現社長)が甲府初のGMとしてクラブにやってくる。
佐久間GMの元、戦力を整えた甲府は2010年に二度目のJ1昇格を果たすこととなる。
翌2011年は16位に終わり、一年での降格となるもハーフナー・マイク選手がクラブ初の日本代表に選出されたシーズンでもあった。
2012年には城福浩監督を招聘し、当時Jリーグ最長記録となる26戦無敗を達成し、J2優勝で1年でのJ1復帰を果たす。
2013年から2016年まで堅守を武器にJ1残留を続けると2017年に現在監督を務めている吉田達磨監督を招聘。
しかし、サンフレッチェ広島にわずか勝ち点1及ばずJ2降格となる。
翌年も指揮を取った吉田監督だが、成績は振るわず契約解除となる。
新監督に就任した上野展裕監督の元、ルヴァンカップと天皇杯でベスト8に入るもリーグ戦の成績は振るわず。
翌年からはコーチを務めていた伊藤彰監督が指揮を取り、5位、4位、3位と徐々に成績を上げていくも惜しくもJ1昇格を逃し退任。
今シーズンは再び、吉田監督が復帰するとリーグ戦の成績は良くないもののクラブ初の天皇杯決勝進出を果たした。

経営危機から20年あまり。
潰れかけたクラブが日本の頂点を掴む可能性を得たことは奇跡に他ならない。
大きなスポンサーが付いての結果は起こりうることだが、コツコツと積み上げて来た努力や苦しみの末のチャンス。
我がクラブながら誇りに思う。

3.勝ち上がり

初の決勝進出を果たしたヴァンフォーレ甲府は2回戦からの登場となった。
初戦の相手は岡山県代表の環太平洋大学。
若手中心のメンバー構成となった一戦で躍動したのが、アカデミー出身の内藤大和選手。
プロ初スタメンとなった試合で2ゴールの活躍を見せて勝利に貢献した。
環太平洋大学はとても素晴らしいチームであった。

続いて3回戦の相手はコンサドーレ札幌。
ここからはJ1チームとの対戦が続く。
ホームに札幌を迎えた一戦は相手のミドルシュートがDFに当たり、コースが変わってゴールに吸い込まれ先制を許す。
ここから躍動したのが三平和司選手。
三平選手の2ゴールで逆転し、札幌を下す。

ラウンド16の相手はサガン鳥栖。
札幌同様、鳥栖もホームJITリサイクルインクスタジアムに迎えた。
鳥栖のスタメンには島川俊郎選手、ベンチには甲府の宝と呼ばれた堀米勇輝選手が入った。
この試合で躍動したのがブルーノ パライバ選手。
パライバ選手の2ゴールでリードを奪うと宮代大聖選手に一点返されるが、直後に松本凪生選手の超ロングシュートが決まり3−1で5度目のベスト8進出を果たす。

準々決勝の相手はアビスパ福岡。
準々決勝からはVARが導入されることもあり、アウェイベスト電器スタジアムでの一戦となった。
クラブ初のベスト4を掛けた一戦。
三平選手のゴールで先制するも森山公弥選手のゴールで追いつかれてしまう。
90分で決着がつかず、延長戦へと突入する。
97分に鳥海芳樹選手がDFラインの背後に抜け出すと一度は倒されるが、素早く起き上がりGKとの一対一を制する。
この一点を守りきり、初のベスト4進出を決めた。

初の準決勝進出を果たした甲府だが、準決勝で待つ受けるのは日本サッカーの頂点に君臨し続けて来た名門鹿島アントラーズ。
準々決勝に続いてアウェイでの一戦となった。
国内タイトルを19個も獲得してきた鹿島も2016年のJ1優勝以降、5年続けてタイトルを逃しており、本気でこの天皇杯を取りに来ていた。
しかし、先手を取ったのは甲府。
浦上仁騎選手のロングフィードに宮崎純真選手が抜け出すとGKを交わしてゴールに流し込み、先制に成功する。
ここからは圧力を高めた鹿島の猛攻に耐える時間が長くなっていく。
後半に入り、より迫力を増していく鹿島だが必死の守りで耐え抜き決勝進出を決めた。

試合後に吉田達磨監督は「カシマサッカースタジアムで鹿島に勝つことは日本のサッカー界で生きている僕たちにとって特別なこと。」と述べていたが、カシマスタジアムで勝つことはそれだけ名誉であり、難しいことである。
それを伝統ある天皇杯ファイナルを掛けた試合で成し遂げたことは天皇杯決勝進出と漢字7文字で表すこと以上に大きな価値があるものである。

4.対戦相手

決勝の相手はサンフレッチェ広島。
こちらもクラブの歴史から見ていこう。
サンフレッチェの前身は1938年に創部された東洋工業蹴球部となる。
1981年にマツダサッカー部に名称を変更する。
翌年に後のサンフレッチェ広島の礎を築くこととなる今西和男総監督とハンス・オフトコーチを招聘し強化を図っていく。
1993年に開幕したJリーグには開幕初年度から参入し、オリジナル10と呼ばれるクラブの一つとなっている。
2年目の1994年にはJサントリーシリーズで優勝し、年間順位も2位となるがその後は中位を彷徨うこととなる。
2002年には初のJ2降格を味わうも1年でJ1復帰を果たす。
2006年6月に就任したミハイロ・ペトロヴィッチ監督によって広島は強豪クラブの仲間入りを果たしていく。
翌年J2降格となってしまうが、2008年にJ2優勝を果たし1年でのJ1復帰を果たす。
2011年までペトロヴィッチ監督が指揮を取ると2012年から現日本代表監督の森保一監督が就任。
1年目からクラブ初のJ1優勝を決めると翌年も連覇。
2014年こそ8位に沈むも2015年に再び優勝。
その後、2018年に城福監督の元で2位となるがそれ以外のシーズンは中位に留まっている。

今シーズンの広島は2018年以来の上位に位置している。
現在J1で3位と好調のシーズンを送っている。
前節の結果によって優勝の可能性は消滅したものの今シーズンの広島は優勝争いをするに値する強さを誇っている。
リーグ戦3位、天皇杯とルヴァンカップは決勝進出。
これだけ見ても広島が強いことはわかるだろう。
J1では3度の優勝を誇る広島だが、天皇杯では5度、ルヴァンカップでは2度の決勝進出を果たしているもののいずれも準優勝に終わり、カップ戦での優勝はまだ無い。
翌週に控えるルヴァンカップの決勝を含めて初のカップ戦タイトルを目指す。

今大会の勝ち上がりを見てみたい。
甲府と同じく2回戦から登場した広島の初戦は宮崎県代表のホンダロックSC。

3回戦はアウェイニッパツ三ツ沢球技場に乗り込んでのJ2横浜FC戦と一戦。

ラウンド16の相手はJ2のザスパクサツ群馬。
アウェイ正田醤油スタジアム群馬に乗り込んでの試合となった。

準々決勝はヨドコウ桜スタジアムでのセレッソ大阪戦。

そして準決勝はサンガスタジアム by KYOCERAでの京都サンガF.C.戦となった。

ここまで広島はホームエディオンスタジアム広島での試合は無く、勝ち上がりを見せてきた。

サンフレッチェ広島というクラブは甲府サポーターにとってはお馴染みといっても良い相手かもしれない。
これまで多くの選手が広島へと移籍していったからだ。
外池大亮氏、柏好文選手、佐々木翔選手、稲垣祥選手、今津佑太選手が移籍。
今シーズンは期限付き移籍で昨シーズンプレーした野津田岳人選手が復帰と甲府から広島へのステップアップはこれまで多くあった。

5.過去の対戦成績

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過去の対戦成績は甲府から見て9勝5分12敗となっている。
個人的な印象としては意外と競った成績なんだなと感じた。
しかし、ここ10年に絞って見てみると3勝2分8敗、天皇杯でも2013年に準々決勝で対戦しPK戦の末にクラブ初の準決勝進出を逃している。

6.予想スタメン

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甲府
準決勝からスタメン一人の変更と予想した。
宮崎選手に代えて鳥海選手を起用するのではないか。
宮崎選手が練習で負傷したという情報があり、この予想をしたが個人的に宮崎選手がキーマンとなると予想していただけにショッキングである。
鳥海選手は違ったキャラクターを持った選手だが、自分の特徴を最大限発揮して欲しい。

広島
こちらも準決勝からスタメンは一人の変更と予想。
野上結貴選手に代えて準決勝は出場停止となっていた塩谷司選手の起用を予想した。
右のWBに藤井智也選手や野上選手、ワントップにピエロス ソティリウ選手を起用する可能性もあるかもしれない。

7.展望

今シーズンから就任したドイツ人監督ミヒャエル・スキッベ。
スキッベ監督の元、広島は高い強度を誇るサッカーを展開している。
いわゆるハイライン、ハイプレスが特徴のチームとなる。
広島相手には球際で戦えないと主導権を握ることはできない。
普段のJ2リーグで戦っているサッカーでは相手の思い通りの展開となりかねない。
しかし、準決勝鹿島戦では鹿島相手に一歩も引かない姿勢を見せ、自陣で無駄な繋ぎからのロストは見せなかった。
ベースとなる戦い方は鹿島戦同様と考えて良いだろう。
また、直近のリーグ戦で戦った岡山は良いシュミレーションとなったはずだ。
広島の高い強度を誇るプレスを回避し、前進できればチャンスを作れる可能性は高まるが、決勝戦ということもあるのでまずはリスクを排除した入りとなりそうだ。

広島のハイプレスの特徴としては取り所を決めて誘導するようにプレスを掛けて行くよりも目の前の相手を潰しに直線的にプレスを掛けて来る。
そこで奪えれば一気にその勢いのまま出ていき、ゴール前まで迫ってくる。
ボールを奪われた後の切り替えも速く、攻守の切り替わりの局面でも優位に立てるのも広島の特徴と言える。
対して甲府は可変を行いながらビルドアップを行っていく。
須貝英大選手が高い位置へとスライドし、4バック化しての形でボールを動かしていく。

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甲府のビルドアップに対して、広島は人を捕まえるように出ていくが2CBとボランチに対しては1トップ2シャドーとボランチの一人で嵌めに行く。
SBに対してはWBが出て来ることとなる。

また、準決勝の鹿島戦同様、3421の陣形と予想したが試合展開や時間帯によっては433の布陣へと変更する可能性もある。
その際、広島は2シャドーがCBを捕まえに行き、1トップの選手がアンカーを消す形を取る。

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特に気を付けなくてはいけないのが、シャドーの満田誠選手のプレス。
プレスの強度が高いという言葉は良く聞かれるが、満田選手のプレスはJ1トップクラスの強度を誇っている。
まさに本気でボールを奪いに来るだけに少しでも判断に迷えば、ボールを奪われてしまう。

相手がハイプレスを仕掛けて来るのなら空いて来るのがその背中となる。
では、背中とはどのエリアとなるのか?
それは各ラインの背後となる。
すなわち、中盤のラインとDFラインの背後。
中盤のラインの背後を取るにはいかに相手を引き出せるかがポイントとなる。
これは普段リーグ戦で自陣の低い位置でボール保持を試みている意味でもある。
特に広島のように積極的にプレスを掛けて来る相手に対しては剥がせれば一気にゴールに迫ることも可能となる。

この場面では広島のプレスを誘発させると各ラインの背後にスペースが出来ていることがわかる。
このようにプレスの強度が落ちる時間はあるため、積み上げて来たものを発揮出来るか。
広島の立ち上がりのハイプレスに怯えず、隙をしたたかに狙いたい。

マンツーマン気味に広島は人を捕まえに来るため、有効となるのがドリブルとワンツーのように少ないタッチでのパス交換。
広島のハイプレスを回避できそうなのは甲府の右サイドではないだろうか?
対面する満田選手のプレスは注意が必要だが、須貝選手の持ち運びや須貝選手、関口正大選手、石川選手が絡んでのパス交換からの突破に期待はできそうだ。

このような場面はイメージしやすいかと思う。
サイドに張った関口選手の内側から須貝選手が駆け上がり、ダイレクトで長谷川選手へ。
前を向いた長谷川選手のスルーパスに抜け出した三平選手がゴールに流し込む場面を作りたい。
一方の左サイドは荒木翔選手、鳥海選手が立ち位置をズラすことで広島の守備の基準点をズラせるかが鍵となりそうだ。
鳥海選手が茶島選手とのマッチアップでどこまで優位に立てるか。
準決勝では鹿島の広瀬選手相手に宮崎選手が優位に立てていたことも大きかった。

繋げない時にポイントとなるのはDFラインの背後を突けるかとなる。
鹿島戦のゴールシーンは参考となる。

必ず蹴らなくてはいけない場面は出てくる。
大事なのはDFラインの頭を越えるボールを狙えるかとなる。
広島の3バックはいずれも対人に強く前へのボールには強い。
三平和司選手は駆け引きから上手く落ちてボールを引き出すことに長けた選手ではあるが、ボランチのプレスバックも含めて広島が嵌めに来たときに中盤の中央でFWの選手が起点を作るのは難しいように感じる。
三平選手、鳥海選手、関口選手がいかに背後を意識させるかが大事となりそうだ。
その意識を広島の選手に強く植え付けさせることが出来れば一番危険な選手に良い形でボールを渡せる可能性は高まる。
また、頭を越えて行きそうなボールに対してのクリアは距離が出にくく、セカンドボールを回収出来れば前向きにゴール方向に向かうこともできる。
いずれのケースでも長谷川元希選手が前向きにゴールに向かう形を作りやすくなる。
繋いで前進して長谷川選手が前向きにボールを持てる場面はあまり作れないと思うので、本意では無いかもしれないが蹴ることで長谷川選手の良さが出る可能性はありそうだ。

広島はハイプレスに特徴があるチームだが、当然90分間続くていける訳ではない。
ブロックを敷くこともあるが、その際は多くの3バックを採用するチームのようにDFラインは5バックの形となる。

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甲府との違いはシャドーの立ち位置。
甲府のシャドーはボランチと同じラインに並び541の形でブロックを形成するが、広島の場合はシャドーは前残り気味に構えて523のような形を取る。
そうなると甲府側から見てサイドの低い位置の選手は空きやすくなるが、ここへはWBの選手がスライドして対応する。

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これを合図に守備のスイッチを入れ、DFラインはWBが出て行ったサイドへスライドして4バック化して対応する。
ここで奪え無ければまた撤退して5バックに戻すということを繰り返し行っていく。
広島のブロックを攻略するポイントは出てきた選手の背後となるだろう。
すなわちWBの背後。
DFラインのスライドよりも速いタイミングで突けるとチャンスは作れそうだ。

一方、攻撃面に目を向けてみると広島は得点力に長けたチームとなる。
リーグ戦では3位となる49ゴールを決めている。
得点面において最大の特徴は一人のスコアラーに依存していない点となる。
ここまで二桁ゴールを決めている選手はいないが(そもそもリーグでも6人しかいない)その分多くの選手が得点に絡んでいる。
森島司選手と満田選手が共に8ゴールを挙げてトップスコアラーとなっているが、共にチャンスメイクもできる選手でありシャドーに入ることが予想されるこの2人に良い形でボールを持たせたくはないところ。
広島といえばミハイロ・ペトロヴィッチ監督や森保一監督時代のシャドーを中心とした中央のコンビネーションからの崩しをイメージする方も多いかと思うが、スキッベ監督の広島はあまり中央からの崩しは多く無いかと思う。
だが、森島選手、満田選手に良い形で前を向かせてしまうと危険となるだけに山田陸選手、石川俊輝選手で中央を閉じ、浦上仁騎選手中心にDFラインを下げすぎないようにしてスペースを与えないようにしたい。

この場面はセットプレー崩れからとなるが、速いタイミングでワンタッチでクロスを入れて来る森島選手のアイデアが見える。
森島選手はこのように一瞬でも前を向かせてしまうとチャンスメイクできる力がある。
一方の満田選手は仕掛けから質の高いフィニッシュ力を持った選手となる。

満田選手はハイプレスを仕掛け続けた上で試合終盤になっても足が止まらずこれだけ質の高いフィニッシュに繋げることができる。
90分通して攻守において気が抜けない選手だ。

そして広島の最大の狙いはハイプレスからのショートカウンターとなる。

この場面のように高い位置で奪い切り、ゴールに直結することが最大の狙いとなる。
このように自陣ゴール前でのミスは無くさなくてはいけない。

自陣であってもボールを失うと広島は一気にゴール前まで迫ってくる。

ゴールに向かってくる圧力も高く、切り替えも速くゴールに迫って来るため一瞬の隙も見せてはいけない。

だが、ボール保持時にもその勢いそのままに速い攻めに終始するわけではない。
ボールを保持し、ゆっくりな時間も作るが中央でのコンビネーションが少ないため、ボールが相手の守備ブロックの外を回る時間が長いようにも感じた。
鹿島相手にも甲府としてはそのような時間を多く作れていただけに広島相手にもそのような展開に持ち込めれば甲府の守備が機能していると言えるだろう。
だが、警戒しなくてはいけないのは野津田選手からのサイドチェンジとWBの突破力。
ブロックの外で回させていると思っていても野津田選手の左足から状況が一変してしまうことはある。
アラートさは常に持ち続けなくてはいけない。
また、WBの突破は広島の大きな武器ともなっている。
今シーズンは柏選手の調子も良く、スタメン予想からは外したが藤井選手も縦への突破に長けた選手であるため疲れて来た後半に出てこられると厄介となる。
また、満田選手も展開によってはWBで出る可能性もある。
鹿島戦では再三、荒木選手の背後を取られてエドゥアルド・マンシャ選手を引き出される場面を作られていただけに修正できるか。
サイドの深い位置を取った広島はクロスとセットプレーに活路を見出だしていく。
マンシャ選手を引き出されてクロスを上げられる回数は減らしたい。
また、サイド深く取られることでセットプレーの回数は増えてしまう。
観戦した試合での印象だが、敵陣のサイドのエリアでのFKの回数は多くあった。
そして広島の得点の約1/3がセットプレーからと大きな武器となっている。
CBの選手を中心にヘディングの強い選手を擁し、左右に優れたキッカーを有している。
まずは左のキッカー。
甲府サポーターの方なら野津田選手の左足の恐ろしさはわかっているはず。

この場面は野津田選手のキックに塩谷選手が合わせた場面。
甲府はセットプレーからの失点がリーグ戦でも多くなっており、このように自陣でのセットプレーは減らさなくてはいけない。
川村拓夢選手も強力な左足を擁しているが、野津田選手がピッチに立っている場合は蹴る機会は無いかもしれない。
一方の右のキッカーも非常に優秀だ。

満田選手は、GKのポジンションを見てこの遠い距離からも決めきれる質の高いキックと大胆さを併せ持っている。
左右共に優秀なキッカーを擁しており、合わせる選手も空中戦に強い選手が多くいるためセットプレーはなるべく与えたくは無い。

ポイントとなるのはどのエリアで試合が進む時間が多くなるかだろう。
広島の特徴として敵陣で戦う時間が多いため、いかに自陣での時間を減らせるかが広島を倒すためのポイントとなりそうだ。

広島は何か特別なことをやるチームではない。
だが、物凄く強いチームであることは間違いない。
これまでJ1クラブを倒しての勝ち上がりには理由がきちんとあったかと思う。
広島は理屈で勝てる相手ではない。
それだけ差はあるように感じた。
特に今、日本で一番強いチームと言っても過言では無いはずだ。
しかし、決勝戦は一発勝負。
必ずチャンスはある。
そこを仕留められるか。
仕留められる雰囲気、状況を作ってあげられるか。
決勝進出の立役者である宮崎選手は負傷により、決勝のピッチに立てない可能性がある。
ラウンド16を突破した立役者であるパライバ選手は契約解除によりチームを去っている。
序盤の突破に貢献したのは若い選手達でもあった。
チーム全体で掴んだ決勝戦。
ピッチに立つ選手だけでなく、ベンチにいる選手やスタッフだけでなく12人目の選手の力無くして勝てる相手ではない。
全員で団結して必ずやタイトルを取ろう!

8.あとがき

甲府サポーターの皆様、決勝進出で満足していますか?
私は愛するクラブが日本の頂点に立つ所を見たい!
佐々木翔選手では無く、荒木翔選手がカップを掲げる姿を見たい。
山本英臣選手がカップを掲げる姿を再び見たい。
それも日本一のカップを。
タイトルを獲得することでクラブを取り巻く状況は一変するはず。
日本中を驚かせてやろうじゃないか!!
さあ行こうぜ!俺らの甲府!!

サンフレッチェ広島は個人的に好きなクラブでもある。
甲府サポーターとしては選手を引き抜かれることが多く、嫌なイメージもあるが久保竜彦氏や佐藤寿人氏といった歴代のストライカーが好きで良く見ていたチームでもある。
そういった縁からも決勝の相手がサンフレッチェ広島であることは嬉しく思っている。
サンフレッチェ広島の皆様、最高の決勝戦にしましょう!

コメント等、頂けるとありがたいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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