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*【#政治】「野党の指導者たちはなぜ自分たちが不人気なのかわかっていない」

… それはその〝学級委員的〟な言動が嫌悪されているからである。

かつてヒラリー・クリントンとトランプ候補が接戦だった米大統領選があった。

日米の評論家たちは、「さすがに粗野なトランプに対してヒラリーが勝つだろう」と予想したが結果は違った。

選挙戦の最後で、ヒラリーは中西部の貧しい白人に対して「哀れな人々」という失言をし、トランプはこの失言を見逃さず、南部で「私は低学歴の人が好きだ」と演説し喝采を博して当選した。

これは、共和党が長らく練り上げて来た選挙戦略の勝利である。

共和党の選挙戦略は、トム・フランクが『ル・モンド・ディプロマティク』紙に投稿した「アメリカのポピュリズム」という記事に詳細に分析されている。

共和党の指導者たちは、自分たちがデリダやミッシェル・フーコーなど持ち出すフランスかぶれの知識人たちをいかに軽蔑しているかを演出し、カーボーイハットを被ったブッシュは、血の滴るテキサス風ステーキを頬張り、自分たちが「いかに庶民に近い存在か」をアピールして人気を博した。

◆ 与野党の闘いは「ヤンキー vs. 学級委員」

教養があり弁舌爽やかな日本の野党の指導者は、なぜ杉田水脈氏や義家弘介氏のような元ヤンが人気があるかわからない。

野党、特に立憲民主党を支持するリベラル層は、都市に住む高学歴のホワイトカラーが多い。生活に困っておらず洗練された都市生活を送る彼らは、自公や維新の政治家や支持層の粗野な振る舞いが身の毛がよだつほど嫌いだからである。

「野党 vs. 与党」の闘いは、簡単に言えば「学級委員 vs. ヤンキー」の闘いで、実社会ではノン・エリートの方がはるかに多いので、野党は分が悪い。

この点を野党の政治家や知識人たちはまるでわかっていない。

抽象的な言葉を羅列し、NHK のアナウンサーのように洗練された言葉遣いで訴えれば訴えるほど、それがたとえ正しいことであっても、大衆は「何かバカにされている」ような気がして距離ができてしまう。

例えば、山本太郎氏を「左のポピュリズム」と揶揄する向きがあるが、庶民の生活実感と情に訴える演説は人気がある。

かつて田中角栄氏が、およそ垢抜けない口調で「ま〜その〜」と切り出しだけで拍手喝采されたのと同じである。

立憲民主党の泉代表は、維新との連携と防衛増税以外では、それほど大きく間違ったことは言っていないが、与野党の支持者双方から不人気である。

それは、その洗練された振る舞いと立て板に水を流すような演説への自己陶酔に終わり、庶民の心を打つものが何もないからである。

〝学級委員的〟な振る舞いが増えれば増えるほど、支持は逃げて行く。

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