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遊ぶやつと遊ばないやつがいる

たまにパブで一緒になるおっちゃんがいる。あだ名が「ストーカー」である。本当の名前は確かデイブだと思う。ある日、デイブが「おれが髪の毛があったころの写真を見せてやろう」といって、フェイスブックを開け、あるイギリスの女の人のアカウントにアクセスしろと言ってきた。

その女性のフェイスブックに、髪の毛があるころのデイブと彼女の写真があった。かれこれ25年くらい前の写真らしい。

「あら男前ね」「この女性と婚約してたんだ」「ふーん」「でも別れた」「どうして?」デイブはその写真を次の写真にスワイプして、見せてくれた。かなり甘い顔をしたがっしりした男と一緒に映った写真があった。「こいつとできてしまって、結婚したいと言い出した。いくら止めても聞かなかった。」「この男はxxx(プレミアリーグのチーム)の選手だった。こいつは控えだったから出番は少なかったけど、トップチームにしばらくいた。彼女はこいつとパブで知り合って関係を持った。彼女はそこから嫁の座に行けると思っていたらしい。だから、俺を捨てた。でも、彼女だってこの男と3カ月持たなかった。」一緒に写真を見ていた人が「xxxの選手ってポジションどこだったの?」と聞いたときに彼はそのポジションとずっとそのチームでそのポジションのレギュラーを取っていた有名選手の名前をあげ「xxxの00と一緒だったからプレー機会が少なくて、地元の2部チームに移った。」その2部チーム、結構私たちのパブから近い2部チームだよね。なんか嫌な予感がしてくる。「その男の名前はxxxっていうんだけどね。」ビンゴ。

そのあともデイブはこの女性に未練があったらしく、この女性がフェイスブックにあげている二人で行った旅行先の写真などを見せてきたが、もうどうでもよかった。デイブの話を適当に聞いていたら、その周りにいた人が「デイブはいつもこの彼女をデジタルストークしてるんだよ。彼女のこと今でもチェックしてるし、今年のホリデーにどこ行ったかも知ってる。別の女と結婚して子供二人もこさえたくせに、まだそんなことしてるんだぜ」と言った。デイブはいつの間にか姿を消していた。「フェイスブックに写真を載せるのもさ、考えもんだなあ」とかみんな話していたが、私はそれどころではなかった。

そのxxxという名前の元サッカー選手は、私が語学学校に通っていたときのクラスメートのお友達(別の語学学校に通っていた。)を一生懸命口説いていた人だった。経歴及び名前ポジション相違ない。かれこれ15年くらい前の話であるが、確か彼が移籍した2部リーグのチーム関係の仕事をしていたようだが、その彼女にはその辺はあんまり話さず、xxxにいた華やかりしころを強調していたようだ。

確かに男前だったし、ものすごいスタイルもよく恰好よかった。たまたま私がどこかのパブでいたときにその子がいて、その男がこれからやってくるというので待っていて見たことがある。カッコよかった。

彼女はあっという間にその人とできて、そしてすぐ別れた。というか遊び相手だったようだ。遊びが終わったら他人に戻り、連絡も取れなくなった。彼は結婚していたらしい。彼女はロンドンの学校をやめ、地方の学校に移ったという話を聞いた。

デイブがいなくなったあと、私はその話をみんなにした。「そいつは20年くらい同じことやってんだな。」「成長がないといえばないし、楽しんでいるといえばそうだし、なんだかね」みんながあきれてしまい、その話題はそれで終わった。

また別のときにパットの店のバーメイドが一回サッカー2部リーグのチームの選手の写真を見せてきて、「かっこいいでしょ」と言ってきた。バーメイドは、日本でいうところの不思議ちゃんだった。鼻ピアスのポニーテールのスタイル抜群でかわいい子だがいつもなぜかアディダスのジャージを着ていた。お金がないわけでもないが、いつもどこへ行くにもアディダスのジャージの上下を着ていた。大学生で、結構名門大学の化学専攻をしている子で、大学院の進学を検討しているという子だった。「こいつがどうかしたの?」「この間の金曜の夜、この男と知り合ってその日のうちの寝た」と言い出した。「奥さんにばれそうでちょっと怖い」にやにやして、またその男とカウンターの向こうでラインらしきものをしていた。

このアディダスちゃんは自分がスタイル抜群でかわいくて若くてモテるのをわかっている子だから、その若さがあるうちは遊ぼうという感じの子でもあった。なので、あっけらかんとしていて、なんかちょっと冷めていた。後ろ暗さはなく「しばらく遊ぼう」みたいな感じだった。

まーサッカー関係遊び人の多いこと多いことという感じだが(イギリスはとにかくサッカー選手の醜聞がタブロイドをにぎわすことが多いし、サッカー選手がタブロイドの要請にこたえてるわけではないが、毎度毎度ネタを提供してくれている。日本のスポーツ選手の比ではなく、本当に遊び人が多いような気がする。)、サッカーだけでなく、やっぱり外国は遊び人が多い。そうパブの人に言ったら、男には2種類あって、遊ぶやつと遊ばないやつがいるらしい。ただそれだけの話だということだ。

要するに日本でいうところの浮気するやつとそうでないやつという話であろう。

ただし、サッカーの選手の場合、タブロイドなどで浮気話が出てくると、だいたい、別れることが多いような気がする。ただし、すぐは別れない。一回目は許す感じがするし、やはり奥さんと続けるという人が多い。で、パターンとして、「お詫びにものすごい高い指輪か何かを買ってあげてその指輪がまたタブロイドに載る」とか育児に一生懸命なところを皆さんに見せる。で、またしばらくしてその選手の醜聞などが忘れたと思われるころに、また選手がやらかしてそこからは一直線で離婚というパターンが多いような気がする。もしくは選手がやらかさなくても、やはりそこから奥様とはうまくいかなくなり、別れるというパターンが多いような気がする。結局皆さん別れるのよね。

速攻別れる場合は、「弟の嫁が相手だった」(こう書くとすぐ誰の事だかわかるかしら?)とか「実はかなり長い間続いていた」「同僚の嫁に手を出した。」などという笑えない場合で、そういう時はすぱっと別れることが多いような気がする。

(本当にイギリスの新聞は教育がよろしくて、だいたい何年か住んでいてサッカーを見ていて、タブロイドを読むようになるとこういうことを自然に覚えてしまう。)

別れない場合、だいたいは「遠征先でコールガール買って遊んだ」系の「買った」話だとそこまで深刻にはならないが、浮気となると、話が違ってくる。

日本と違うと思うのはタブロイドなどには掲載されるが、選手が公衆の面前でお詫びなどはしない、あくまでもプライベートの問題なので、周りはつっついてからかって話のネタにしても、シリアスにはあんまりならない。あくまでも夫婦間の問題であるというスタンスで、スポンサーがいなくなることもないような気がする。そりゃ確かにその際、相手が未成年で法律に違反するような年齢だったとか、相手を怪我させたとか、警察が出動したなどという、そういうアクシデントがついてきたらスポンサーも所属チームも対応が変わってくるが、そうでないと、そういう筋はあまり動かない。たまに監督などが、そういう騒動を嫌うからレギュラーから懲罰でしばらく干されたとかそういう話はあったりするが、しばらくすればゲームには出てくるしな。

というか、ふっと今思ったが、コマーシャルとかにスポーツ選手出てくるが、家族円満を強調したコマーシャルというのがあんまりないような気がする。確かに子供のサッカーチームに入ってプレーしているCMとかは見るけど、奥さんと一緒に出てきて何かを宣伝したりというのもあんまりないような気がする。俳優やテレビタレントも同じで、当たり障りがないコマーシャルに出てることが多いような気がする。(主婦層向けというコマーシャルがないような気がする。若い人向け、こども向けというのはあるが、男女で分けてということがないような気がする。)

日本で最近新聞などを見ていて、浮気がどうの、誰がどうしたこうした、という記事がたくさんあがり、有名人がやり玉に挙げられるのを見て、なんとも言えないことが多い。遊びも芸のうちとも思わないし、パートナーを傷つける行為をしているわけだからかばう気はないけど、「ばかだねえ」くらいでとどめてあげられないかな、と思うことが最近多い。あと、家庭円満で仕事をあげるのをやめてもいいんじゃないかなと思う。主婦層向けというのも少しずつ減らしてもいいような気がするんだよね。家庭の構成とか家庭向けのイメージでタレントに仕事をあげるのもなんか違うような気がする。

最近、日本の新聞で見て感じたことでした。





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