ベトナム語にもイントネーションはある?

イントネーション(抑揚)は、声調言語であるベトナム語に存在しないのではないかと思われがちですが、実は特定の条件下でイントネーションが現れます。今回は、その条件を具体例を用いて解説していきましょう。

イントネーションと声調の違い

イントネーションとは、文の一部または全体における音の高低を指します。例えば日本語では、語尾を上げることで疑問の意味が生じます。「元気?⤴」のように疑問形にする際、最後の部分を上げるのが一般的です。

つまりイントネーションは文単位での音の高低変化と理解しておきましょう。

一方、声調はイントネーションよりも対象となる単位が細かくなります。ベトナム語の声調は、一語単位での固有の音の高低を指し、「tôi」や「Nhật」などの単語での音の高低を表します。

ベトナム語の一語は一音節(子音と母音から成る音の最小単位)と同義で、日本語では「あ」「か」「さ」などのひらがな1文字に相当します。ベトナム語では、語単位の音の高低パターンが6つあるため、声調が6種類あると言えるわけです。

つまりベトナム語では、疑問形の文であっても語尾を上げることはせず、もともとの声調に従うのが原則です。

〈驚き・強調〉の条件下でイントネーションが現れる

しかし、ベトナム語では、疑問形でかつ〈驚き・強調〉を示したい場合、声調を保ちつつ文末の単語のイントネーションを上げるという暗黙のルールがあります。

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