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「イタリアワインの”本質”にであう」とはなにか?

Vol.023
「イタリアワインの“本質”であう」が、ヴィーノサローネのキャッチフレーズです。イタリアワインのコミュニティとして、また、ワインを販売するヴィーノサローネの思想的な態度を表しました。それをイタリア語では、「QUI S’INCONTRA “LA VERA ESSENZA” DEL VINO ITALIANO」としています。
そもそも「イタリアワインの“本質”にであう」とはなにを意味しているのか。このフレーズをもう少しわかりやすく説明するのが、今回の話です。
 
「本質」という言葉は、「本質的なもの」「本質を突き詰める」「それが本質だ」など、ものごとや思考の核心に迫るときによく使います。
ワインに置き換えた場合、どんな観点が本質といえるのか。もし、イタリアワインの本質的なるものを感じられれば、ワインをとおした楽しい関係や、豊かな人生が過ごせるのではないか、とヴィーノサローネの主は考えています。
 
しかし、様々な要素が絡み合うワイン造りは、ひとことで本質を表すには無理があります。そこで以下の視座でワインを分解し、本質に迫る基準を示します。
 
1)ワイン造りの歴史……古いのか、新しいのか
2)ブドウの品種……とりわけ土着品種
3)テロワールの個性……産地の気候と土壌
4)造り手の哲学……徹底した醸造の工夫や教え
5)ワイン造りの外的変化……そのとき、時代はどう動いたのか

 
話をわかりやすくするため、5つにしぼりました。
ここで気づいてほしいことは、直接的にワインの味覚には触れていません。
美味しいワインは、5つの枠組みから味覚を考えるほうが、より楽しいからです。
 
ひとつずつ簡単に説明します。
 
1)ワイン造りの歴史……古いのか、新しいのか
そのワイナリーがワインを造りはじめてから、どんなエポックメイキングなことが起こったのか。歴史が長ければ長いほど、今日まで続いた伝承の秘密もあるに違いない。それらを探る。一方、昨日今日はじめた新参のワイナリーにも、ワイン造りにいたるまでのストーリーは必ずある。歴史が浅いことがワイナリーのマイナス要因としない。
 
2)ブドウの品種……とりわけ土着品種
イタリアのブドウは、品種の多様性にあるといっても過言ではない。2,000種ほど存在するといわれる土着品種を探れば、これまでまったく知らなかったイタリアワインにであえる可能性が広がる。
 
3)テロワールの個性……産地の気候と土壌
南北に長くのびるイタリアは、土壌そのものに個性が宿る。地中海性気候と、北部イタリアの大陸性気候も影響し、多彩な天気と土壌が生まれる。20州からなるイタリアのテロワールは、まさに土着の集合体である。
 
4)造り手の哲学……徹底した醸造の工夫や教え
哲学を持たないワインの造り手は、まずいない。だからこそ、造り手の考えは、ブドウの栽培や醸造に如実に表れる。そして、その造りの技術は誰から教わったのか、あるいは、自らが切り開いていったのか。そこも問う。
 
5)ワイン造りの外的変化……そのとき、時代はどう動いたのか
イタリアワインの近代化は、1960~70年代に向かえた。それまでは「質より量」を重視。ワインの生産量を増やすため、手当たり次第にブドウを混醸した時代があった。やがて品質の向上を目指し、高級化する。単一ブドウで醸造したワインへ、無農薬へ、畑の限定など、ワイン造りの環境の変化によって、時代が求めるワインが浮かび上がる。
 
「イタリアワインの“本質”にであう」ために、ヴィーノサローネは長い旅を続けますが、ワイン選びの途中で、いくつもの本質的なワインにであえることを確信しています。
ぜひいちど、ベイスのヴィーノサローネにお立ち寄りください。

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次回の“ディアリオ ヴィーノサローネ”に続きます。


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