彼と、彼の神のお話

(2016/4/9 記載した文を転載。振り返り用)

⚠️R18+
⚠️エログロ表現あり
⚠️Blood borneのネタバレあり!

巡り巡る中で でねくんが神さまとお話しながらフラフラする話。







どうしてあんな事を言ってしまったんだろう...

(伝承の神様なんて何処にもいないと...もう解っているのに)

未だに僕は、それを支えにしているのかな...

「殺してくれ、もう  殺してくれ...」

患者達の嘆きと、そこに交じって響く水の滴る音

この部屋は磯臭い貝と血で溢れ返っている

「ごめんなさい。僕は、貴方たちをまだ殺せません...」

(貴方たちが本当に死を願っているのか、分からないから)

「だから、僕に殺しにかかってきて下さい」

(誰かを無暗に襲い始めるのは、自分を殺して欲しいからだと...そう思うので)

「やぁ、アデラインさん。お久しぶりです」

彼女に出会うのはもう何度目だろう...

「あなたは?マリア様、ではないですよね?」

彼女は僕を知らない

当然だ  ここは巡っているに過ぎないのだから

「今回も貴女は...そちらの道を選ぶんですね」

彼女の血を何度褒めても、彼女は今の自分に満足してくれなかった

人を離れ、青い海の導きのまま逝ってしまった

「お前たちは、願いを叶えているつもりなのかい?」

暗い天井を仰ぎ見て言う

「...僕に対しては、いつも応えてくれないね  君たちは...」

ここは、何処もかしこも血と海の匂い

(頭がくらくらする...)

頭が蠢く

「血...」

血をちょうだい

(頭の中が...気持ち悪くて  気持ちいい...)

...廊下の向こうから声が聞こえる

(こっちに向かってくる)

血が向かってくる

「...ちょうだい」

ーーーーーーーーー

ナカを直接抜き出して、浴びるこの血が心地いい...

「はぁ...  ぁ」

全身にまで震えが走る  腰が砕けて座り込んだ

「あっ  ぁあ   っ...はぁ 」

自分が今何をしているのか、自分でもよく分からない

こんなことを覚えた記憶もない

でも、そんなことはどうだっていい

とにかくとても気持ちいい...

「ドロドロに気持ち悪くて...  震えるほど気持ちいいんだ...」

誰に言ったのかな...?  まぁ、そんなことは   どうでもいいよね

ぼやっとした意識から目が覚めると、下の方がすごい事になっていて...慌てて拭って整える

(何してたんだろう...)

よく分からなかったけど、自分が不安定な事だけはよく分かった

「ここだけはやっぱり綺麗だな...」

露台から見える星輪草の庭はとても綺麗で

ところどころ覗ける夜空も綺麗だ

「君たちも、そんなに好きなら下りてくればいいのに」

空の歪み  夜空の向こうで、じっと花を眺める彼らに向けて言う

「下りられない事情もある...か   ごめんね」

彼らも何かしらに縛られ生きているのだろう

(でも本当に好きなんだね)

花をみつめる彼らの瞳はとても愛らしかった

「神官様、お久しぶりです」

ここはやっぱり、いつも哀しい

「さぁ...呪詛を  我らと共に哭いておくれ...」

神官のお爺様とお話しする時だけは、人を捨てる  血を捨てる

彼らは自分の神様のそばに寄り添い、共に哭いている

(人とは大違い...)

人は...少なくとも教会は神様に寄り添ってなどいない

教えにある神様はきっと  都合のいい偶像

(でも、それに支えられないと生きていけないんだな...僕は)

何もなかった僕の導きだったもの  希望だったもの

「そして裏切られて、絶望に変わった」

(それでもまだ、僕の中に深く根ざしているのですね)

「...ただいま」

見上げると、僕を悪夢に送った存在がこちらをじっと見つめていた

「君は...  いつも僕を見続けているね」

ただ静かに...何も語らず

(...やっぱり君らのことは、僕には分からない)

優しいのかも   酷いのかも

ただずっとそこにあり続けていて...僕にはみえて

「...。  またね~」

禍々しい異形に   手を振りながら

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