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【一人声劇台本】死神の誘惑【性別不問】

死神が近づいてくる
 
こんな雨の日は
ザーザーと降りしきる雨に紛れて
死神が近づいてくる

無気力になって
どこにも居場所がないような気がして
あの人もあの子も
私の事なんてどうでもいいんじゃないかと
そんな悲しい気持ちで心が支配されていく

こんな雨の日は
死神が鎌首をもたげて
ニヤリと笑ってくる

友達もいたはずだった
どんなに笑いあっていても腹の内は何を考えているのかわからない
信じて裏切られた方がいいと思っていた頃もあった
でも、何回も裏切られるうちに信じる方がバカなんじゃないかと思い始めた
だから、連絡を返すのを辞めた

恋人もいた
でも別れるのが怖くて私はいつまでも臆病だった
「信じてもらえないんだね」そう言って
あの人は部屋を出て行った

もう、だめかもしれない
死神に笑みを返せば連れて行ってもらえるかもしれない

あっちの世界は
苦しい事はないだろうか
痛い事はされないだろうか

一歩一歩
階段を上って屋上に向かう

信じていないわけじゃなかった
恋人の事は大好きだった
自分に自信がなさすぎただけだった

友達と居るのは楽しかった
でも利用されたりひどい扱いをされるうちにすり減っていった
私はもう、捨てられる寸前のボロキレみたいだ

最上階
街は今日も変わらずににぎわっている
私なんて一人いなくてもきっとなんにも変わらないだろう
すぐに「私がいない日常」に帰っていくのだろう

よし

もう一歩踏み出そうとした瞬間
スマホが震えた

「おかあ、さん」




【ご確認ください】
※ハッピーエンドではありません。嫌悪感がある方は回れ右をお願いします。

■一人称・語尾などの軽微な変更OK
■セリフの追加・改変NG
※思わず感嘆詞が入ってしまうのはOK
■キャラクター性別変更OK
■台本の転載NG
■投げ銭を伴うアプリ、裏劇などで使用の際は連絡なしで使用OK
⇒シナリオタイトル、作者名、URLを記載してください
⇒TwitterIDつけて告知メンションしてくださると嬉しいですがしなくてもいいです(*'▽')
■その他
⇒茶化したり、面白おかしくもてあそぶような行為はお辞め下さい。誹謗中傷などはご遠慮ください。

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