この募集は終了しました。
お題

#2000字のホラー

with WEB別冊文藝春秋

人気の記事一覧

軋む(創作) ーリライト版ー

だって、何度もぶつけてきたから・・・・。 あっさりと落ちていくものだと思った。 成績にはわりと自信があったんだけど、自分で思ってたほど大したことはなかった。 中学入学からほどなくして、僕の天狗の鼻はあっさりとへし折られた。 最初のテストの順位は「下の上」。 叩きつけられた現実に、すぐに僕は対応しきれなかった。 僕は好成績が唯一の拠り所だったりしたから、一気にあらゆることへの自信を失くしてしまった。 何事も億劫になってしまい、学校でも家でもほとんどの時間を寝て過ご

スキ
26

【30秒で読める怪談】飲み屋横丁

先日のことです。 飲みにいきました。 いわゆる「飲み屋横丁」です。 せまいエリアに数十、場所によっては百以上もの飲食店がひしめいている路地。 そんな定義が当てはまりそうです。 私はお酒を飲まないので、その手の場所とはまったくと言っていいほど縁がありませんでした。 でも、その日の仕事終わりに、たまたま高校時代の友人と会って、「ちょっと飲みいこうよ」となったわけです。 数年ぶりに会った友人の誘いを断る理由はありません。 2人つれだって、近くの飲み屋横丁へ行きました

スキ
5

【短編】私と一緒に ♯2000字のホラー

正直に言う。俺は緊張していた。 恋人の家に足を踏み入れるのは初めてだ。 付き合ってから、もう1年以上も経っている。俺の家には何度も来てくれているのに、相手の家に呼ばれたことはなかった。 「あれ?そうだったっけ?」 自分がここに来るのは初めてだと口にすると、彼女は口元に手を当てて、記憶をたどるような仕草をしてみせる。その様子を見ると、自分以外の男は来たことがあるんじゃないかと勘繰ってしまう。 「その辺りに座って、楽にしてて。今、お茶入れるね。」 そう言って通されたワン

スキ
58

【恐い話】水子供養

カクヨムなどのWeb小説媒体で、ホラー作品を執筆している知人から、自身の経験を基にした短編を寄稿していただいた。 クリエイターが自身の作品を我が子のように可愛がる、というのは、こうして筆を執りはじめてから痛いほど分かるようになった。 手間暇かけて心血を注ぎ生み出した作品というのは、腹を痛めて産んだ子の如く、何物にも代え難い程に愛しいし、いいねやコメントで評価を受ければ、自分が褒められたというよりも我が子に共感を持ってくれた優しい人がいることに喜びを感じているような気さえす

スキ
2

【恐い話】川の畔で

俺、床屋とか美容院とかまじで嫌いなのよね。 なんでかって言うと、唯一体験したことがある変な話に関わってくるんだけど、聞いてくれ。 たぶん小学生の高学年くらいだったと思う。 年末にばあちゃん家に遊びに行ってて、置いてある漫画も読み尽くして、1日1時間ルールのゲームもやっちゃって、あーやることないなーとうだうだしてた。 ばあちゃん家は田舎で、水が綺麗で有名な川の流れる城下町だったから、至る所に水路とか井戸とかあって、よし、そこに葉っぱでも流して追いかけるか、って思い立った。

スキ
3

2000字小説「船幽霊」

 霧が立ち込めて、行く先も過ぎ去った場所も見えない所を、舟はゆらり、ゆらりと進んでいく。  月明かりも靄の中ではおぼろげで、黒い海の波はただ濁って、底知れぬおどろおどろしさがある。  与一は船頭に座って、見張りとして先を見つめながら、鼻をすすった。ちゃんと前を見続けていなければ、とっつぁんに怒られる。なぜなら夜霧の中が一番、盗賊に襲われやすいからだ。  とっつぁんと、おじちゃん達は暗い眼でぼんやり辺りを見ながら、舟をこぎ続けていた。静かな波の音だけが、闇夜に響いている。

スキ
8

【怖い話】八角堂

地元に八角堂って呼ばれてる建物があったんですけど。 上から見るときちんと八角形の形をしていて、それで八角堂って呼ばれてたんだと思うんですけど、本当の名前は誰も知りませんでした。 Googleマップにも名称は載ってないし、なんなら用途も一切不明の、まるでトマソンのような建築物でした。 八角堂自体は簡素な作りで、何もない敷地にポツンと佇んでいるんです。 入口は正面に一つと、反対側に一つ。飾りや意匠が凝らされている訳でもなく、寺や仏堂だと言われればそう見えるけど、言われなか

スキ
1

【恐い話】交差点

知人のNさんから恐い話を仕入れたので、と連絡があり、喫茶店で一服しながら話を聞かせてもらう事にした。 Nさんの友人は、会社までの最短経路のために、毎日とある交差点を通るそうだ。 その交差点とは、周囲の住人曰く、地縛霊が居着いており事故が多発するとの事だった。 単純に見通しが悪いだけだと思うが、絶えず手向けられている花束が、交差点で起こる事故の絶えないことを知らしめていた。そのことは彼も重々承知していたから、いつも細心の注意を払って進入することにしていた。 ほんの先日にも

スキ
1

ショートショート楽しい

 長編を書こう書こうと思いながら、ついついショートショートに手を出してしまう病気にかかってしまいました。  というわけで、また新しい作品を投稿しました。読んでいただけたら喜びます。  この間、知り合いから実際にこういうことがあったという話を聞いて、それを元ネタにしています。最後のオチは自分でつけ加えましたが。  あーそれにしても、なんで長い話が書けないんだろう。  例えば、10万字の話を書くと決めたのなら、そこから逆算して一日2000字をノルマにして、50日かけて全体を仕

スキ
6

Re: 【小説】DOPPELGANGER

 冬至を過ぎても夜は早い。  仕事を終えたエイジはマンションの内階段を上がりカラフルなキーケースの鍵で油分の足りないドアを開けた。  帰宅するまでが労働だろ、通退勤にも手当をつけて欲しい。  叶えられない願いとともに玄関に散らかった自身の靴をいくつか蹴りとばすと、フローリングの床を滑るようにすり足で進んだ。  ただいま。  電気をつけると暗い部屋に積みっぱなしの疲労がソファだとかベッドの下に隠れた。  多忙とは言え掃除の手を抜いている床は細かいゴミが散らばっていて、何を踏む

スキ
3

帽子

私と母は、祖母の家に住んでいた。 忙しい母に変わり、祖母はよく私の世話をしてくれていた。 祖母は世間一般のイメージする「優しいおばあちゃん」とは違い、少々厳しいところがあり、私が成長するにつれ衝突する事も多くなっていった。 祖母と喧嘩した日は、決まって壁に掛けている私のお気に入りの帽子が床に落とされていた。 わざわざ私の部屋に入り、落としているのだ。 随分と陰湿な事をすると、私は腹が立ちつつも、反応するのも面倒で黙って帽子を元の位置に戻していた。 中学に上がると、祖母は

スキ
924

ホラーショートショート『ある祭壇について』

登山が趣味の฿さんから聞いた話。 ฿さんは、毎週末に同じ郊外の山のハイキングコースを歩くことを習慣にしていた。街中の自宅から私鉄で30分ほどの山だ。 ある週末、いつもと同じように、登山口の最寄り駅から駅前の寂れた商店街と小さな住宅街を抜けていくとき、変な男に出会った。 男は一見すると、風景写真家のようであった。大きな三脚に、これもまた大きく高価なカメラを乗せ、角度や露出度などの設定をしているようだった。 しかし、その場所がおかしかった。 住宅街の橋、何の変哲もない谷

スキ
12

同じ顔の男に追われる恐怖物語

『吉田だらけの呪いかな』 「あれ?あいつ…」 僕は目を疑った。 喫煙所で一人タバコを吸っている男は、友人の吉田のようだった。 同じ髪型、同じ顔立ち、同じ体型。 でも違うはずだ。 吉田はタバコもスーツも嫌っていたし、そして何よりこんなところに彼がいるはずがない。 僕は気になって近づいてみた。そして恐る恐る声をかけた。 「すみません…」 男は僕に気づいて振り返った。 その瞬間、僕は息を呑んだ。 男の顔は完全に吉田だった。 「あなた…吉田さんですか?」 僕は思わず聞いてしま

スキ
16

短編1000文字 | Kabushiki外車の音、あるいは、株式会社のおと

 私の名は亜希子。28歳、職業AV女優。大学院博士課程を満期終了したが、ドクター論文は書かずに退学した。  外資系金融機関への就職は決まっていたが、右から左へ金を動かすだけの仕事には興味が持てず、入社3日目で退職した。  いつも学業成績はトップだった。特に努力したわけではないが、乾いた砂に注いだ水のように、あらゆる知識を苦もなく吸収することができた。  私は頭で生きているわけじゃない。身体を持つ女だ。しかし、頭が良い女は男に敬遠される。人並みに恋をしたが、抱いてくれる男はい

スキ
93

ホラーショートショート『足』

これは私の友人が大学生の頃に体験した話です。 彼は当時大阪の郊外の、××台と名のつくような、高台の斜面に切り開かれた住宅街にある実家に住んでおり、そこから電車で大学に通っていました。 駅からは歩けば25分、バスで10分ほどの場所にある閑静な住宅街で、お店はその住宅街の一番下にあるスーパーマーケットのみでした。 ただ彼は、高校2年の時に家族でその地区に家を建てて引っ越し、普段の移動もバスや車で、買い物なども家族で車で市街地の方へ行っていたため、地区の他の場所、そのスーパー

スキ
14

[ホラー小説]旧校舎の幽霊(2341文字)

僕はとある中学校に通っていた。そこは何年か前に校舎を移転して、旧校舎は今もなお残っている。 「うぐっ…! かぁ…ぐはっ!」 僕は今、人生最大のピンチを迎えていた。朝は普通に授業を受けていたのだが、2時間目ぐらいお腹が痛くなってきた。 「うぐっ…! 昨日食べすぎたのかな?」 トイレに行くことにした。すると何人かトイレでオシッコをしている人がいた。 「こ、こんな時に限ってクソォー!」 「なんだあいつ?」 この状況で男子がトイレの個室に堂々と入るというのはかなり勇気のい

スキ
8

台風だし、古着の事でも書いていこうか

タイトル通り台風14号ことナンマドルさんが我々の街に訪れているという事なのでnoteを書いていこう。 今夜は爆風。きっとみんな暇だろう。そんな皆様に僕の思想的文書をプレゼントしようではないか。 本当はこの内容は1か月前の買い付け中から考えていたのだけれど、買い付け後というのはアドレナリンというかなんというか、大金を投資した後の焦りというかなんというか、、 何度か書く事を試みたんだけれど、too strongな奇怪文章になる予感しかしなかったので冒頭まで書いて消したりして

スキ
878

真砂寮

 某機構に夏期実習生として来た僕に用意された仮住まいは,研究所から歩いて十五分ほどのところにある独身寮だった.  四つの棟が往来に対して垂直に並んでいて,僕は四棟の3階の一室に案内された.部屋は机と椅子,ベッド以外何もなく,微かに木の匂いがする.僕は管理人から一通り説明を受けたあと,黄色い札のついた鍵を受け取った.管理人は蒼白い顔をした背の高い坊主頭の男で,黒縁の眼鏡をかけている.  寮はずいぶん古いものらしく,至るところが老朽化して,壁は長い亀裂が走っていたり,抜け落ちたり

スキ
14

こわいもの/end user

 これは『現代のホラー』をテーマにしたショートショート。題名を入れずにきっちり2000文字。noteと文藝春秋さんの企画だそうで、そういうのちょっと楽しそうだなあと思って書きました。その下はちょっとした雑文です。 『題:end user』 『所有する』ことはその所有をある期限まで、ないしは半永久的に維持することだ。常に同じ状態を保つかそれ以上、上向きでなくてはいけないはずだ、でも僕等の暮しているこの世界はどうだろう。未知の感染症が世界を席巻し、予測の範囲を超えた自然災害、

スキ
448

皆を撮影したら恐ろしいものが映り集団パニックを経験した話

あの時の事に至っては、「呪い」などというものではなく、誰にでも起こりうる事だと思う。 ある日、創作ダンスをする事となり、先生がダンスに自信のない者たちを集めて事前に特別練習をしてくれる事となった。 まずは楽しむことが重要であり、おのおの感じたままに好きなように動けと、先生はクラシック音楽を流し、それを録画した。 我々は曲に合わせ一斉に動き出したが、表情が硬かったのか先生は皆に笑うよう指示を出した。 曲を止め、録画を皆で確認する事となった。 再生ボタンを押すと、そこには無

スキ
1,181