ヴィオラ奏者、音を聞く

 以前からアンサンブルの常套句「周りの音を聞く」ってどういうこと?と疑問を抱いていた者です。
 音を聞くのは良いとして、
・それがどうしてアンサンブルに有効なのか。
・シンプルなメロディ2声ならともかく、曲の作りが複雑だったり、相手がピアノだったり、オーケストラなど演奏者が多い場合は自分の演奏と集中力の面でどう折り合いをつけるのか。
主にこの2つに疑問を抱いていました。特に2つ目は、人間皆聖徳太子ではないのであるからして、「頭や耳が追いつかなくなる→アタフタしているうちに落ちる」事態はいつでも起こりうるのです。
 アンサンブルに関する本を読んでも、納得のいく説明には出会えませんでした。

 しかし先日その疑問に解決の風穴を開けてくれる言葉に、ようやく出会うことが叶いました。
 学生オケの授業にて、ファゴットの先生が言った一言。
 「音をよく聞いて。というより、周りがやっていることに興味を持って。」
 目から鱗が落ちました。
 一緒に演奏している人たち(共演者)に興味を持つようにすれば、出す音・音楽・演奏の様子など、自然と情報を得ようと五感が働きます。ボウイングの動きや息の吸い方・テンポなど表面上で合わせようとするよりもプレッシャー少なく、もっと本質的な部分で音楽を共有できる気がしたのです。同時に自分が求めていたものが、「音楽」という目に見えないものを共有する方法だったことにも気付くことができました。

 相手への興味を持たなければ難しい共同作業・アンサンブル。
 同じオケや合唱団の仲間内で恋愛や結婚が発生するのも、むべなるかな。現役学生時代、学生オケの席決めに気を使っていたことを懐かしく思い出すのでした。

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