青山伊織

旅が好きです。お酒、山、仕事などをテーマに思うことを書きます。

青山伊織

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最近の記事

雪山に紡ぐセーター 番外編 「実録!東京都渋谷区DX抗争」

自分は、DXという名前のついた職種の仕事をしている。(ここは実話) ひと昔前は、IT革命という言葉が流行ったこともあったが、今はDXとい言葉がとにかく流行っている。DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、これからの国際的競争社会を勝ち抜いていくためには、とにかく古いやり方を変えてデジタル化しなくてはならない。というような意味らしい。 国も1兆円規模の予算を組んで、民間企業のDX化をとにかく後押ししているらしい。 もちろん、デジタル化するのは、役所や企業だけではない。

    • 雪山に紡ぐセーター番外編 ~オープニング~

      ここはラスベガス。 目を見張るばかりの豪華なホール。これ以上は無いというほどの豪華な出席者。そう、世界を代表する音楽の祭典。グラミー賞の授賞式が行われようとしていた。 世界中から集まった報道陣、受賞候補者。受賞候補者の取り巻き。音楽関係者。授賞式を見たいだけのヒマな金持ち。これらにぶら下がり、儲け話を探るハイエナ達。 自分は控室でギターを抱えて座っていた。 控室といっても、もちろん、パイプ椅子が置いてある雑然とした場所ではない。広く落ち着いた空間に、革張りのソファーと、よく

      • 雪山に紡ぐセーター 9

        信じるもののために、どこまで自分を犠牲にできるだろうか。 愛する人のためにどこまで自分を犠牲にできるだろうか。 極限状態において、信念を貫くことができるだろうか。 その日、僕と祖父江くんは秋雨に打たれながら山を登っていた。 サラサラとした雨が長時間に渡って降り続き、3時間くらい濡れながら歩いていた。 登山において雪と雨のどっちがいいかと聞かれると、迷わず「雪!」と即答できる。 雪はサラサラとしていて、身体にかかっても払い落とせばよい。 しかし、雨は払い落とすことができない

        • 雪山に紡ぐセーター 8

          ホッピーってなんやねん。 「ビーフをグリル」みたいな感じの店に入り、最初の注文で「ホッピー」と言った彼に全力で突っ込んだ。ビーフで、しかもグリルな店に来たら一杯目はビールと決まっている。これは、かの聖徳太子が制定した17条憲法にも書かれている普遍の決まりだ。 100歩譲っても赤ワインだろう。 ビーフに赤ワインは傷を回復するのに最適だとビスケット=オリバが言っていた。店のメニューにも赤ワインがオススメと書かれている。 しかし、ホッピーとはなんだ。 大阪出身の自分にはホッ

        雪山に紡ぐセーター 番外編 「実録!東京都渋谷区DX抗争」

          雪山に紡ぐセーター 7

          人が崖の上からゴロゴロと転がって来たことを見たことがあるかい? 世界がスローモーションになったことを見たことがあるかい? そんな時、僕にできることはまだあるかい? かなり前のことだが、雪山で急斜面を下っている時に、同行しているメンバーが自分の目の前を転がり落ちていったことがあった. ふかふかの雪を想像すると、埋もれることはあっても、滑り落ちるイメージはしにくい。 しかし、雪の表面が凍ってたり、雪の下に凍った岩や木の根が隠れていると、ツルリと滑ってしまう。この時、滑りどころ

          雪山に紡ぐセーター 7

          雪山に紡ぐセーター 6

          雪の上で目が覚めた。 雪の上といっても、テントの中。パサパサと、雪がテントに当たる音が聞こえる。 雪山でテント泊をするというと「寒くないの?」「凍死するよ」と言われることがある。 それはそうだ、普通に考えたら雪の上で布一枚のテントで寝るなんて自殺行為だ。 しかし、キャンプの情報がかなり一般的になってきて、グランピングなんていう言葉まで出てきたりするようになり。「テントも意外といける」という情報が一般的になってきたようで、昔ほどは言われなくなってきた。 キャンプブーム(?)

          雪山に紡ぐセーター 6

          雪山に紡ぐセーター 5

          雪上にテントを設営する。 大学生の時、よくスキーに行った。ゲレンデで1日スキーを楽しんだあと、テントに戻って寝る。これが自分のスタンダードスタイルであった。 雪山+テント+スキー というと、クロスカントリーのようなアウトドアなスキースタイルを想像すると思うのだが、自分は普通にゲレンデで滑っていた。 高校から大学生にかけて、スキーというスポーツに対して、雪山で滑走体験をするというコンセプトには興味があったが、あの大きな板と棒を抱えて移動する。プラスチックでできたいかついスキ

          雪山に紡ぐセーター 5

          驚きと感謝の気持ちの表現

          「祖父江くーん。最近、全然アクセス数増えないねえ。それに比べてどうよ。山内くんが書いてる『雪山に紡ぐセーター』、アクセス数もスキ数もうなぎ登りよ。祖父江くんの『上海baby』とかいう日記、アクセス数ガタ落ちね。アナゴ下がりよ。」 私の名前は青山伊織。このペンネームで数多くのブログやnote、youtubeなどの表現活動をしている。しかし、私ほどの立場になると、自分で執筆することはしない。作品を書くのはスタッフに任せ、自分はディレクションに専念している。 「祖父江くんみたい

          驚きと感謝の気持ちの表現

          雪山に紡ぐセーター 4

          「暑い」 とにかく暑い。蒸し暑い。 ここは広東省にある縫製工場。日本向けのセーター・ニットを作っている。 留学生活を終えて就職した会社の発注先工場だ。 半そで短パンという、本来は、工場勤務にふさわしくない服装(刃物、薬品などから防護するため、工場では長袖長ズボンが基本です。)でフラフラと工場の中を歩き回っていた。 1年間の上海留学が、残すところ3ヵ月となった頃、事件が起こった。 中国でSARSという病気が流行ったのだ。どんな病気だったか、詳しくは覚えていないが、ちょっと強

          雪山に紡ぐセーター 4

          雪山に紡ぐセーター 3

          「これがモノづくりの真理だよな。」 コッフェルに入ったコーヒーを両手で持ち、指を温めながらつぶやいた。 一口コーヒーを飲むと、ゆっくり胃の中に落ちていくのがわかる。 暖かさ、苦み、渋み。コーヒーとはここまで人を落ち着かせ、勇気づけるものだったのか。 「どうしたんすか?いきなりそんなこと言いだして。」 後輩、山内祐樹にコーヒーの入ったコッフェルを渡した。 「まあ飲めよ。お前も飲んだらわかるから」 「アチ、うま。 うはー。コーヒーってこんなにうまい飲み物だったんすね。この

          雪山に紡ぐセーター 3

          雪山に紡ぐセーター2

          「伊織ちゃん、セーターとニットの違いわかる?」 彼は、まるで、この世の全てを知っているかのような顔で問いかけてくる。 「セーターは、糸がチクチクする太めの毛糸で作った服。ニットはもうちょっと糸が細くて薄くて、ちょっとすけたりするやつ。」 これが自分の答えだった。彼は、僕の答えを聞いて「そう思うよなー」と。 まるで、この世の全てを理解しているかのような顔でうなずいていた。 ほんで答えはなんやねん。と言いたかった。 今からさかのぼること17年前の大阪。通天閣が見える居酒

          雪山に紡ぐセーター2

          雪山に紡ぐセーター1

          あれから何日立ったのだろう。 2枚の薄布を隔てた外はずっと薄暗く。薄明るく。今が昼か夜かもよく分からない。 静寂の中、パサパサと雪が布を叩く音だけが聞こえる。 寝袋から首を出し、体を起こす。「ふー。」ため息をつき、水を一口飲んだ。 水を入れたペットボトルは常に寝袋の中に入れておかないとすぐに凍り付いてしまう。 厚手のウール、ダウン、寝袋と重ねているため寒くは無いが、なんだか体の芯が冷えているような気持になり。その冷えが内側からジワジワと広がってくる。 ガサゴソと音がした。

          雪山に紡ぐセーター1

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          初めての投稿をしてみました。

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