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ティベリウス帝(I WANNA GO TO CAPRI)の話

以前、ローマを訪れた際、ふらりと入ったトラステヴェレのうらぶれたバー。

そこでマスターから聞かされた話ーー。

※ ※ ※ ※ ※

古代ローマに、ティベリウスってという、ちょっとおかしな皇帝がいましてね。

いや、ローマの皇帝なんてみんな変なんですが。

そのティベリウスって人はね…

無理やり別れさせられた元妻をずっと想い続け、
若い頃にはロードス島に引きこもった前科があり、
人間関係その他色々に幻滅して、今度はカプリ島に引きこもり、
死ぬまでの約10年間、引きこもりのままローマを遠隔で統治して、
カプリ島で夜な夜な怪しい宴を催しているなんて噂されて、
冷徹すぎて民衆や元老院からは激しく疎まれ、
「遺体をテヴェレ川に投げ込め」と言われるくらい嫌われた…

…とまあ、そんな人でしてね。

不器用だったけど、ローマに尽くしたとても優れた人だったのにねえ…。
はかりしれない、孤独と鬱屈を抱えていたことでしょう。

そんなティベリウスがローマからカプリへ発つ前のことです。
とあるバーにふらりと現れて、こうこぼしたそうなんです。

「あたい、もうローマにはいたくないの…
ねえ、カプリ島に行きたいわ…」

それがここ「I WANNA GO TO CAPRI」なんですよ、お客さん。


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今回、ティベリウスのグッズをデザインしている時に浮かんだ、出来そこないの怪奇譚のようなお話。(なぜティベリウスがおねえ口調なのかはわかりません)

制作中は、疲れた陰鬱なティベリウスと、ネオン街のうらぶれたバーで一緒に酒を飲んでいるような気持ちでした。

「I WANNA GO TO CAPRI」グッズは11月末くらいに発売予定です。

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