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所長のコラム④仲間同士の支え合いの創造~メタバース編

新年、明けましておめでとうございます。本年も、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

ビジョン・クラフティング研究所(通称:VCラボ)の所長に就任して半年、EAPの相談業務も継続していますが、研究所のスタッフと研究所のビジョンを手作り(クラフト)するディスカッションがとても刺激的です。これまで様々な新規事業の立ち上げに関わって来ましたが、今回のVCラボの検討は、凄くロマンチックです。

ジャパンEAPシステムズは、そのミッションにおいて「3.支え合う繋がりやコミュニケーションを創造する」という活動を掲げています。ここは、EAP専門機関として「EAPをさらに追求していきたい」という思いに加え、「EAPの先にある世界を見据えたい」という願いを表現した文言でもありました。

EAPは現在、専門サービスとして普及していますが、その萌芽は「アルコール依存症の回復者が同じ問題を抱える人を自助グループに繋ぐ」という活動でした。もともとは専門家でなく、仲間に繋ぐ関わりだったのです。自助グループで先行く仲間と繋がり、侵襲的でない形でその体験談を聞くことによって、自らが新たな自分の語りを創造していくことが可能となります。

私は本来、専門家が幅を利かせる世界は好きでなく、仲間同士の支え合いが広がることを意識して仕事をしてきました。専門家はときに、支え合いを遠ざけてしまうことがあります。例えば心配な社員がいて、とても有名かつ権威的な精神科医に繋げた場合、周囲がすべてその精神科医の言う通りに対応してしまうことって起こり得ます。2週間に1回、15分程度しか話していない精神科医の指示により、家族や同僚自身も「余計なことはしないように」と引いてしまうのです。

もちろん、その精神科医のお陰で、周囲の不適切な関わりを防ぐことが可能です。ただ、不適切な関わりを防ぐなら、関係者にその旨を丁寧に説明したいところです。私は、EAPが支え合いのきっかけになることを目指してきました。支えられる経験を通して、どのような支援が有効かを体感し、次は自分が相手の支え手にもなれるような、循環型の支援って素敵だなと思っています。

ところで、人と人の支え合いには、安全な場とコミュニケーションツールが必要です。特にツールに関しては対面、手紙、電話、PC、スマホといったハード面と、メール、LINE、Slack、Zoomといったソフト面の両方があるでしょう。両者を掛け合わせたら、何十通りもの方法が存在することになります。このご時世、ソーシャル・ディスタンスを踏まえて、安全かつ気軽なツールが必要です。

現在、VCラボでは、①ビジョン・クラフティング面談、②スーパービジョン、③ワークショップの3本柱で事業を進めていますが、先述した趣旨や動向を踏まえ、今年は確実に普及するであろうメタバースを活用したカウンセリングのあり方について研究を進めてみたいと思っています。

顔が見えなくても、アバターを使うことで表情が分かったり、VRを使用することで視線を感じることができたり。コミュニケーションの発展は、常にツールの発展とパラレルです。実際に機材を揃えて実験を進めると同時に、研究会の立ち上げなど、実現化のための企画を進めて行けたらなぁと考えています。カウンセリングのあり方を研究することで、仲間同士で支え合いにつなげていきたいところです。

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■所長プロフィール

松本 桂樹(まつもと けいき)
株式会社ジャパンEAPシステムズ 取締役
神奈川大学人間科学部 特任教授

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精神科クリニックにて心理職として勤務後、日本初の外部EAP専門機関であるジャパンEAPシステムズの立ち上げを担う。 現在もEAPコンサルタントとして、勤労者の相談を多く受けている。
臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士、キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、日本キャリア・カウンセリング学会認定スーパーバイザーなどの資格を保有。

お問い合せ:https://www.jes.ne.jp/form/contact