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皮膚の目

 私たちの目は大脳に直結していて、外部の環境を的確に捕らえ情報として大脳に伝達しています。
 しかし、大脳では認識されないミクロの外敵や環境を常に監視し見張っている目があります。これが『皮膚の目』です。

 例えば、蚊に刺されれば直ちに手で払いますが、ばい菌やウイルスが侵人しても大脳情報系では認識出来ないため手は動きません。しかし、「皮膚の目」には捕らえられ、免疫系が出動して追い払います。

 太陽光のうち大脳の目で認識できるエリアは波長で800nm(赤色)から400nm(紫色)までで、虹の色の範囲です。生命にとって恐ろしい紫外線エリアは400nm(紫色)より小さな波長の光であるため、大脳の目には認識されません。しかし、「皮膚の目」には見えています、UVA波を感知してメラニンを生成し、暗幕を張って最も恐ろしいUVB波の侵人を阻止するのです。

 「皮膚の目」情報は大脳に伝達されないため、意識はしませんが、全身の皮膚にネットワークされたDNA情報系の『目』としてミクロの外敵から私たちの命を守る大切な働きをしています。
 『目』と『皮膚』は発生学的に見ると、同じ外胚葉から分化した器官です。外胚葉から分化する器官は《脳、神経、目、表皮、色素細胞》などで、大脳の目はマクロの世界を、皮膚の目はミクロの世界を認識し、敵か味方か、攻撃か防御かを判断して行動を指令する、生命が生きてゆくための根源にかかわる重要な器官を構成しています。

 表皮層と真皮層は発生が違います。真皮層は筋肉や骨格と同じ中胚葉から発生するもので、皮膚の構造を形成しています。
 皮膚のハリ、しわ、たるみは皮膚の構造にかかわるトラブルで、真皮層の劣化によるものです。
 シミやくすみは『皮膚の目』情報による生体防御の結果で、表皮層の機能の衰えによるものです。

 一般に皮膚といえば表皮層と真皮層で成り立つと表現されていますが、器官の発生から見ると、外胚葉から分化した表皮層こそ体全身にネットワークされたミクロの『目』であるといえます。

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